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ある休日 1

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 祐志との結婚生活が落ち着いてきて、子供たちを連れてよくお出かけをするようになった。

 今日は遊園地に来ている。
 子供達は絶賛アズキパンマンに夢中なお年頃だから、アズキパンマンパークに来ている。
 入場券と一緒に貰えるオモチャで、子供達はすでにご機嫌だ。
 でも、中に入った途端、新しい獲物を見つける。

「あーっ。まんと! まんと!」
「こーほしい。けんご、こーほしい!」

 キャラクターのマントを付けている子がいて、二人とも欲しいアピールが激しくなる。光一の言う「こー」は自分の事だ。どこかに飛んで行かないように乗せたベビーカーから、出たくて暴れるから壊れそうだ。

 慌ててマップを取り出すけれど、よくわからない。

「えっと、マントはどこで買えるのかな」

「あっちのゲームコーナーの景品みたいだ。ベビーカーは置いておくみたいだな。子供達を先に連れて行くから、ベビーカー置いて来てくれるか?」

「わかった。祐志、一人で大丈夫?」

「コーナー自体はそう広くないから行っちゃえば大丈夫だろ。健吾はゆっくり来いよ」

 俺は順調に回復していて、もうそんなに弱くないのに、いつまでも過保護な祐志に苦笑するしかない。
 祐志は子供達にも甘くて、欲しがるオモチャはみんな与えようとしてしまうから早く合流しないと。

 双子用のベビーカーは場所を取るから置くのに少し苦労して、ようやく行ったゲームコーナーでは、既に子供達が手に持ちきれない程のオモチャを持っていた。もちろんマントも着用済みだ。


「けんご! みて! みて!」
「こーのも、こーのも!!」

 俺の姿を見つけて、二人ともが戦利品を見せてくれる。
 遅かった。すでにほぼ全てのコーナーを制覇したようだ。
 キラキラした二人がとても可愛い。思わず笑み崩れて、良かったね、と二人を抱きしめた。
 何故かその上から祐志が抱きしめてくる。

「わ、何?」
「ん? うん。感激したんだ。俺の嫁と子供達は世界一可愛い」

 真顔で呟く祐志に恥ずかしくて慌てていると、子供達が祐志の手を取って、あっち! とグイグイ行ってしまった。 
 こういう場で、誰が自分達の欲望を満たしてくれるか、よくわかっている。
 アルファだからかな、それとも子供ってこんなものなのかな。


 人垣の向こうにアズキパンマンがいるようで、祐志が子供達を二人とも抱え上げて見せている。
 さすがに俺はあれはできないから、子供達は大喜びだ。
 子供達は三歳になったばかりだ。結婚してからは四年、俺がまともに覚えているのは二年だ。
 祐志の仕事も少し落ち着いて、やっと休日にのんびりできるようになった。


 パークに来ているお母さんの中には、明らかに妊娠中といった人も多い。
 皆、幸せそうにお腹を撫でながら、子供と話している。
 妊娠中か、幸せだよな……。
 ひたすら穏やかで、子供達と自分だけの世界があって。
 二人を妊娠中の時は、確か、絵本をたくさん読んだんだ。
 声は聞こえるというから、ネットで色んな物語を探してずっと読んでたなぁ。


「けんごきて!」
「こっちー!」

 二人に呼ばれて行くと、アズキパンマンと子供達と祐志と全員で写真を撮って貰えた。
 そのまま写真は売りつけられて、高いと思ったけど、家族で撮った写真は少ないから、すごく嬉しかった。
 勢い余って、アズキパンマンの写真立てまで買ってしまった。


 閉園ギリギリまで遊んで、パーク近くのリゾートホテルへ向かう。
 子供達は閉園の声かけに大泣きして、何とかベビーカーに乗せたらすぐに眠ってしまった。
 俺もかなり疲れてしまったから、正直、ホテルに泊まるのは有り難かった。最初、泊まりと聞いた時は、日帰りできる距離なのにと文句を言ってしまったのに。
 祐志の手の平の上で転がされているようで、少し悔しい。

 子供達を起こしてご飯を食べさせてお風呂に入れたらすぐに眠ってしまった。
 昼間の暴れん坊っぷりが嘘のように、天使の寝顔だ。

「可愛い。天使だよね……」
「健吾も」

 子供達を眺めて幸せを噛み締めていると、祐志が後ろから抱きしめてくる。
 祐志は見えない眼鏡でもかけていて、ピントがずれてるんじゃないかと思う。俺に対して可愛いとか綺麗とか言いすぎだ。
 祐志みたいに格好良い奴に言われると身の置き所がない。

「相変わらず目がおかしいんじゃないか? つがい的補正とか……」
「おかしくない。健吾と番になる前から、そう思ってたよ」

 至近距離で真剣な目で言われて、今更なのに心臓がキュンときた。俺も大概だ。
 恥ずかしいので、祐志の顔を両手で挟んでキスをした。目を閉じればましかと思ったからだ。


 そのまま長いキスになって、ベッドに押し倒された。

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