77 / 79
学園に帰ってきましたが同棲状態で何をどこまでできるかな 7
しおりを挟む
無性に悲しい気持ちで目が覚めると、目の前にディアヴの寝顔があった。お互い全裸で、事態を把握するのに時間がかかった。
「え……っと、もしかしてあれは夢だけどディアヴだったのか?」
寝ている時に同意もなしにされてしまったことは今更だ。夢の中で見知らぬ羊にやられて悦んでしまったのでなくて良かった。誰でも良かったはずなのに、ハイクォーリ家に滞在していた期間で気持ちが変わってしまったのかもしれない。身体は変わっていないから困るんだが。
彫像のようなディアヴの寝顔を眺めて、鋭利な刃物ような銀の髪に触れる。印象とは違って柔らかく、手触りがいい。やめられなくなって、髪を撫でながら夢のことや学園に戻ってからの自分について考えた。
「誰でも気持ちよくなれるのに……」
王様にだって構わないと思ったのに、俺はどうして王様に襲い掛かるほうを選んだんだろう。
ロン・ビチュードの常識では、王様が望むことを俺みたいなみそっかす貴族が断るなんてあっていいはずがない。前世の記憶があるといっても、俺はロンだ。童貞のまま死んだ前世のことに関して、どうでもいいような気もしてきている。
誰にでも気持ちよくなる性欲過多の身体が嫌だから、そうなった原因である世界の力に抗おうと思ったけれど、ディアヴが俺の性欲を満たし続けるなら……。
「難しいこと苦手なんだよ……」
「知っている。黙って従っておけ」
「ひっ」
俺の手があるほうは閉じたまま、片目だけを開けたディアヴが俺の心を読んだ!! イケメンのウインクありがとうございます。そんな趣味はないはずだし見慣れているはずなのに、ディアヴの顔面偏差値が高すぎてつらい。
「……釣り合わない」
「今更」
「俺、魔法できるようになりたい」
「勉強しろ」
あ、はい。
「街の魔法薬屋さんやってみたい」
前世の知識を活かして……ってのは無理にしても、魔法薬は魔力の多寡ではなく分量の正確さだったから、応用の効かない俺に向いているような気がした。睡眠薬がうまくいった勢いだけかもだけど。
「やればいい」
「いいの?」
「不採算でも養ってやる」
初めてディアヴの提案に心がときめいた。でも侯爵家はどうするんだ?
「家は出る。十分稼ぐ手立てはある。家は生まれてくる弟か妹が継ぐ」
「え。うぬぼれじゃなくてそれ俺のため?」
「他に何があるんだ」
大きなため息とともに、馬鹿にしたように吐き捨てられた。態度わる!!
まさか男にときめく時が来るなんて。いや、この動機は夢の庶民生活が現実になろうとしている興奮からだろう。ディアヴに対して俺がときめくはずがない。
「大通りに店を構えるから、その裏に薬屋は併設する。外からは繋がっているように見えない」
「え、え?」
ディアヴは魔法で俺の思考でも読んでいるのか?
これ断る理由がないような……。
「だから」
「え……っと、もしかしてあれは夢だけどディアヴだったのか?」
寝ている時に同意もなしにされてしまったことは今更だ。夢の中で見知らぬ羊にやられて悦んでしまったのでなくて良かった。誰でも良かったはずなのに、ハイクォーリ家に滞在していた期間で気持ちが変わってしまったのかもしれない。身体は変わっていないから困るんだが。
彫像のようなディアヴの寝顔を眺めて、鋭利な刃物ような銀の髪に触れる。印象とは違って柔らかく、手触りがいい。やめられなくなって、髪を撫でながら夢のことや学園に戻ってからの自分について考えた。
「誰でも気持ちよくなれるのに……」
王様にだって構わないと思ったのに、俺はどうして王様に襲い掛かるほうを選んだんだろう。
ロン・ビチュードの常識では、王様が望むことを俺みたいなみそっかす貴族が断るなんてあっていいはずがない。前世の記憶があるといっても、俺はロンだ。童貞のまま死んだ前世のことに関して、どうでもいいような気もしてきている。
誰にでも気持ちよくなる性欲過多の身体が嫌だから、そうなった原因である世界の力に抗おうと思ったけれど、ディアヴが俺の性欲を満たし続けるなら……。
「難しいこと苦手なんだよ……」
「知っている。黙って従っておけ」
「ひっ」
俺の手があるほうは閉じたまま、片目だけを開けたディアヴが俺の心を読んだ!! イケメンのウインクありがとうございます。そんな趣味はないはずだし見慣れているはずなのに、ディアヴの顔面偏差値が高すぎてつらい。
「……釣り合わない」
「今更」
「俺、魔法できるようになりたい」
「勉強しろ」
あ、はい。
「街の魔法薬屋さんやってみたい」
前世の知識を活かして……ってのは無理にしても、魔法薬は魔力の多寡ではなく分量の正確さだったから、応用の効かない俺に向いているような気がした。睡眠薬がうまくいった勢いだけかもだけど。
「やればいい」
「いいの?」
「不採算でも養ってやる」
初めてディアヴの提案に心がときめいた。でも侯爵家はどうするんだ?
「家は出る。十分稼ぐ手立てはある。家は生まれてくる弟か妹が継ぐ」
「え。うぬぼれじゃなくてそれ俺のため?」
「他に何があるんだ」
大きなため息とともに、馬鹿にしたように吐き捨てられた。態度わる!!
まさか男にときめく時が来るなんて。いや、この動機は夢の庶民生活が現実になろうとしている興奮からだろう。ディアヴに対して俺がときめくはずがない。
「大通りに店を構えるから、その裏に薬屋は併設する。外からは繋がっているように見えない」
「え、え?」
ディアヴは魔法で俺の思考でも読んでいるのか?
これ断る理由がないような……。
「だから」
31
お気に入りに追加
1,234
あなたにおすすめの小説
王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜
・不定期
王道学園なのに、王道じゃない!!
主食は、blです。
BL
今作品の主人公、レイは6歳の時に自身の前世が、陰キャの腐男子だったことを思い出す。
レイは、自身のいる世界が前世、ハマりにハマっていた『転校生は愛され優等生.ᐟ.ᐟ』の世界だと気付き、腐男子として、美形×転校生のBのLを見て楽しもうと思っていたが…
イケメンチート王子に転生した俺に待ち受けていたのは予想もしない試練でした
和泉臨音
BL
文武両道、容姿端麗な大国の第二皇子に転生したヴェルダードには黒髪黒目の婚約者エルレがいる。黒髪黒目は魔王になりやすいためこの世界では要注意人物として国家で保護する存在だが、元日本人のヴェルダードからすれば黒色など気にならない。努力家で真面目なエルレを幼い頃から純粋に愛しているのだが、最近ではなぜか二人の関係に壁を感じるようになった。
そんなある日、エルレの弟レイリーからエルレの不貞を告げられる。不安を感じたヴェルダードがエルレの屋敷に赴くと、屋敷から火の手があがっており……。
* 金髪青目イケメンチート転生者皇子 × 黒髪黒目平凡の魔力チート伯爵
* 一部流血シーンがあるので苦手な方はご注意ください
モラトリアムは物書きライフを満喫します。
星坂 蓮夜
BL
本来のゲームでは冒頭で死亡する予定の大賢者✕元39歳コンビニアルバイトの美少年悪役令息
就職に失敗。
アルバイトしながら文字書きしていたら、気づいたら39歳だった。
自他共に認めるデブのキモオタ男の俺が目を覚ますと、鏡には美少年が映っていた。
あ、そういやトラックに跳ねられた気がする。
30年前のドット絵ゲームの固有グラなしのモブ敵、悪役貴族の息子ヴァニタス・アッシュフィールドに転生した俺。
しかし……待てよ。
悪役令息ということは、倒されるまでのモラトリアムの間は貧困とか経済的な問題とか考えずに思う存分文字書きライフを送れるのでは!?
☆
※この作品は一度中断・削除した作品ですが、再投稿して再び連載を開始します。
※この作品は小説家になろう、エブリスタ、Fujossyでも公開しています。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが
松林 松茸
BL
私は「南 明日香」という平凡な会社員だった。
ありふれた生活と隠していたオタク趣味。それだけで満足な生活だった。
あの日までは。
気が付くと大好きだった乙女ゲーム“ときめき魔法学院”のモブキャラ「レナンジェス=ハックマン子爵家長男」に転生していた。
(無いものがある!これは…モブキャラハーレムを作らなくては!!)
その野望を実現すべく計画を練るが…アーな方向へ向かってしまう。
元日本人女性の異世界生活は如何に?
※カクヨム様、小説家になろう様で同時連載しております。
5月23日から毎日、昼12時更新します。
小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~
朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」
普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。
史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。
その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。
外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。
いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。
領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。
彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。
やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。
無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。
(この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)
全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話
みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。
数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる