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学園に帰ってきましたが同棲状態で何をどこまでできるかな 7

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 無性に悲しい気持ちで目が覚めると、目の前にディアヴの寝顔があった。お互い全裸で、事態を把握するのに時間がかかった。

「え……っと、もしかしてあれは夢だけどディアヴだったのか?」

 寝ている時に同意もなしにされてしまったことは今更だ。夢の中で見知らぬ羊にやられて悦んでしまったのでなくて良かった。誰でも良かったはずなのに、ハイクォーリ家に滞在していた期間で気持ちが変わってしまったのかもしれない。身体は変わっていないから困るんだが。
 彫像のようなディアヴの寝顔を眺めて、鋭利な刃物ような銀の髪に触れる。印象とは違って柔らかく、手触りがいい。やめられなくなって、髪を撫でながら夢のことや学園に戻ってからの自分について考えた。

「誰でも気持ちよくなれるのに……」

 王様にだって構わないと思ったのに、俺はどうして王様に襲い掛かるほうを選んだんだろう。
 ロン・ビチュードの常識では、王様が望むことを俺みたいなみそっかす貴族が断るなんてあっていいはずがない。前世の記憶があるといっても、俺はロンだ。童貞のまま死んだ前世のことに関して、どうでもいいような気もしてきている。
 誰にでも気持ちよくなる性欲過多の身体が嫌だから、そうなった原因である世界の力に抗おうと思ったけれど、ディアヴが俺の性欲を満たし続けるなら……。

「難しいこと苦手なんだよ……」
「知っている。黙って従っておけ」
「ひっ」

 俺の手があるほうは閉じたまま、片目だけを開けたディアヴが俺の心を読んだ!! イケメンのウインクありがとうございます。そんな趣味はないはずだし見慣れているはずなのに、ディアヴの顔面偏差値が高すぎてつらい。

「……釣り合わない」
「今更」
「俺、魔法できるようになりたい」
「勉強しろ」

 あ、はい。

「街の魔法薬屋さんやってみたい」

 前世の知識を活かして……ってのは無理にしても、魔法薬は魔力の多寡ではなく分量の正確さだったから、応用の効かない俺に向いているような気がした。睡眠薬がうまくいった勢いだけかもだけど。

「やればいい」
「いいの?」
「不採算でも養ってやる」

 初めてディアヴの提案に心がときめいた。でも侯爵家はどうするんだ?

「家は出る。十分稼ぐ手立てはある。家は生まれてくる弟か妹が継ぐ」
「え。うぬぼれじゃなくてそれ俺のため?」
「他に何があるんだ」

 大きなため息とともに、馬鹿にしたように吐き捨てられた。態度わる!!
 まさか男にときめく時が来るなんて。いや、この動機は夢の庶民生活が現実になろうとしている興奮からだろう。ディアヴに対して俺がときめくはずがない。

「大通りに店を構えるから、その裏に薬屋は併設する。外からは繋がっているように見えない」
「え、え?」

 ディアヴは魔法で俺の思考でも読んでいるのか?
 これ断る理由がないような……。

「だから」




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