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王様から秘密のお願いされちゃった 2

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 王様が言うには、俺が誰を相手にしても嫌がっていない様子を見て希望を抱いたらしい。そりゃ俺は突っ込まれたらもう嫌とは言わないけど、全部合意じゃありませんからね?
 俺の視線に後ろめたい気持ちになったようで、王様が膝にのの字を書きながら言い訳をする。前世日本人を実感させられる行動だ。

「オレ童貞で死んで、この世界でも未だに童貞なんだよ」
「……それは、お気の毒です」
「童貞捨てられそうなチャンスはあったんだけど、エロBLの世界力みたいなのに負けて結局だめでさ」

 王様は無理矢理が嫌だそうだ。自分が散々無理やりされてきたからだって。
 その気持ちはよくわかるけど、何で俺。
 別に俺のこと好きでも何でもないよね。本当は女の子がいいみたいなことも言っていたのに。
 ディアヴと親戚らしい王配の摂政閣下は、やばそうな匂いがぷんぷんしているからお断りしたい。俺にメリットもないし。姉ののほほんとした様子を見る限り、ディアヴの性格は父方の遺伝だろうから、そちらの縁戚はきっとやばい。

「無理じゃないですか?」
「ロンならうまくいくんじゃないかな」
「王様、俺で勃つんですか?」
「う―――――――ん」

顎に手を置いて、俺を頭のてっぺんから足先まで見てうなっている。ヤらせてと言ってきたわりに失礼な反応だ。

「ほら、無理でしょう」
「あ、後ろ弄れば勃つから」

 必死な様子に憐みが募る。俺のメリット……そうだ。

「いいですよ。その代わり、俺も王様で童貞卒業させてください」
「ええ!?」

 俺だって童貞卒業したい。話を聞く限り、王様もさんざんな目に合っているみたいだから二つ返事かと思ったら「考えさせてくれ」と言った。予想外。
 王様はヤられる相手を選べる立場になっているんだな。
 俺は……選べるなら誰を選ぶのだろう。

 二人でベンチに並んで座って白薔薇を見るともなしに眺めた。むっつりと黙っている王様は、きつい顔立ちだから怒っているようだ。ディアヴやカイン王子が怒ると怖いが、王様は怖くない。
 せっかくだから、前から疑問に思っていたことを聞いてみることにした。

「男が卵を産むって、どういうことなんですか?」
「触手が持ってる卵を体内に産み付けて、そこに相手の魔力がたっぷり入った体液を注ぎ続ける。魔力量が規定量に達すると卵が体外に出てきて、しばらくすると孵化してくる」

「産卵BL……まさか実在するなんて」
「それそれ、お前どこまで理解してる? ここはエロBLゲームの世界だってわかってる?」
「そうなんですか? ゲームはやったことがないんですけど、前世の姉が腐女子だったから、知識だけはあります」
「そこが違いなのか? オレはゲームキャラに転生して、お約束通りに断罪される側でさ、処刑から始まるっていうハードモードだったけど」

処刑……。そういえば手足を切る刑罰があるって言っていたけど、王様手足あるよね。あ、王宮にいるっていう治癒魔法使いのおかげなのかな。王様になったから治してもらえたとか? 
 ディアヴに何かあっても王様と仲良くさせてもらっていたら助けてもらえるだろうか。
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