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王様から秘密のお願いされちゃった 1

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 ハイクォーリ家の生活は二週間で飽きた。
 学園にいた頃は勉強についていくために必死だったし、代わってもらう侍従もいない下っ端貴族は掃除や見回りなどの当番が回ってきて時間がつぶれていたが、今は何もない。
 俺は自分の趣味のなさに愕然とした。まるで仕事三昧で死んだ前世と変わらないじゃないか。最近は来るものを拒まないエロが趣味と言えそうだったが、さすがにここではディアヴしか相手がいない。相性がいいから気持ちがいいんだけど、先生のように変わったことはしてもらえない。変態プレイがしたい訳じゃないはずなんだけど、あれに慣れちゃったからたまには……っていう。

 日中、ディアヴは魔法や剣術のトレーニングに勤しんでいるが、俺はどっちも興味がない。というか、ディアヴに便乗させてもらおうにもレベルが違いすぎて、眺めているだけになるからつまらない。
 使用人はほとんど女性なんだけど、俺がディアヴの婚約者だと知っているから、お子様ランチ程度のフラグも立たない。みんな優秀だから、困っているところを助けるということもない。ないないずくしで嫌になる。

「暇だ……」

 庭のベンチに座って、ぼーっと白い薔薇を眺めていた。花弁が尖った感じでディアヴっぽい。男でも花に例えられるディアヴと、せいぜい土筆つくし程度の俺じゃどう見ても釣り合わないと思う。はぁ。

「暇そうだな」
「ハイッ!?」

 突然声をかけられて、現れたのは王様だった。お供もつけていない。本物? ここハイクォーリ家の敷地だけど、突然王様が現れるような場所だっけ!?

「魔法で移動して遊びに来たんだ。標的をお前にしたから屋敷内だったら困ると思ったが、ちょうどいい時だったみたいだな」
「あ、はい……」

 王様一人かと思ったら、ボウ王子を連れていた。前はカイン王子の腕ぐらいの太さになっていたが、いまは太さは変わらず二股に分かれている。ちょっと先っぽの形状が違うが、相変わらず卑猥な触手だ。 

「王様もお暇なんですか?」
「うん。暇にしてると襲われるから逃げてきた」

 王様だから陰謀とか暗殺とかあるのだろうか。

「大変ですね」
「お前もだろ」
「ん?」

 王様が何を言っているのかわからない。察しが悪いのは頭が悪いからだから許してください。話題を変えよう。

「ボウ王子、大きくなりましたね」
「ああ、このまま成長したら人型にもなるかもしれない」
「触手が人に? なんでもありすぎません?」
「なんでもありなんだよ、この世界は。男が卵産むぐらいだから」

 王様は俺と話をしたくて遊びに来てくれたようだった。あまり王宮の外は好きではないらしいが、俺なら安全そうだからって言われた。人畜無害なモブとして太鼓判を押されたということだろう。
 王様も前世の記憶を取り戻してからはモブレ三昧だったらしくて、遠い目をしている。王子として断罪スタートからの王様に出世ってすごいと思う。

「国で一番偉くなったんだから、すごく頑張ったんですね」
「わかってくれるか。もしかしたら、そう言って貰えるんじゃないかって期待してた」

 両手を握られて、ちょっとドキドキしてしまう。ディアヴやカイン王子ほどじゃないけど、王様も美形だから。

「そんなロンにお願いがあって来た」
「何ですか?」
「ヤらせてくれ」

 何で!?
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