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魔王の手綱を握れと言われましても 8
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ディアヴの家、ハイクォーリ家は意外に快適だった。後継者が連れてきた男の自称婚約者なんて冷たくされてもおかしくないと思ったのに。今までの流れなら、地下牢に入れられて使用人に肉便器にされるとか。あ、これは断じて願望じゃないからね?
ディアヴが許さないからできないのだろうか。家格は違っても叔父だからだろうか。
姉は穏やかで優しい人だから、使用人達も真面目で穏やかだ。この環境で育ってディアヴが、どうしてこうなったのかわからない。
学園は補修ついでにあちこち改修することにしたそうで、一か月間の休みになった。生徒たちは全員里帰りしていると聞いた。ディアヴの従者も実家に帰っているようで、こちらには来ていない。
俺はディアヴの隣の部屋を与えられたが、寝るときはディアヴのベッドになっている。一人で寝るのは諦めた。ヤられるのは嫌じゃないし、この屋敷内ではディアヴも変態プレイをする気はないようで身体も楽だ。
体力に余裕があるからディアヴとの会話も増えて、どうも俺が幼い頃に天使みたいだったディアヴに結婚の申し込みをしていたことが判明した。全然記憶にない。何人もいる姉がどんどん嫁いでいった頃だから、結婚式を見て触発されていたのかもしれない。
「ディアヴ、俺はお前と違って頭の出来が良くないんだから、そんな昔の話を覚えているはずがないだろう」
開き直って胸を張ると、大きなため息をつかれた。話せば話すほどディアヴに人間味が出てきて面白くなってくる。毎日ヤっているからディアヴの精神も安定しているようで、魔王化の兆候はない。怒り狂っているディアヴは絵にしたいぐらい格好良かったが、お前のせいだと怒られそうだから言わない。
「頭を使え。そんな風だから身体に流されるんだ」
「俺みたいになんの力もない奴は、流されてるぐらいのほうが楽なんだよ」
「開き直るな」
それはお前にも言いたい台詞なんですけど。俺の意見なんてガン無視で顔を合わせるとヤりまくってたよね?
「じゃあ、お前とヤるのも拒んでいいのか?」
「相手を選べと言っている」
「俺は俺のものだ」
何で男のディアヴを選ばなければならないのかわからない。王様の相手も男になっていたし、この世界は転生してきたら相手が男になる呪いの世界なのか?
童貞? って聞かれたし、王様も童貞で死んでここに来て……まさか未だに童貞なんだろうか。転生したらチートで面白おかしく生きられるものじゃないのか?
「ディアヴ……俺は女の子とエッチしてみたい」
「却下」
「なんで!」
「婚約しているのに堂々と浮気宣言するな」
俺が散々いろんな奴にヤられていたのは浮気に当たらないのか? 合意じゃないから浮気じゃないとか?
今の俺に進んで肉体関係を持とうとしてくれる女の子がいるとは思えない。もともとモテないのに、ディアヴの婚約者だって知られたら無理無理無理。
「お前は女の子としたことがあるのか?」
「婚約前の話だ」
「そ、それこそ不誠実じゃないか。俺はお前が初めてだったのに」
我ながらめちゃくちゃな抗議だけど、本心でもある。侯爵家のディアヴにとっては閨教育も当たり前だろうけど、やっぱり羨ましい。まだ幼さの残るディアヴに手取り足取り教えるとか……じゃなくて、ナイスバディの美女に乗っかられるなんて羨ましい? なんかピンとこない。
「男はおじさんが初めてだ」
「ふ、ふーん?」
やだ、ちょっと嬉しいとか、俺おかしい。
ディアヴが許さないからできないのだろうか。家格は違っても叔父だからだろうか。
姉は穏やかで優しい人だから、使用人達も真面目で穏やかだ。この環境で育ってディアヴが、どうしてこうなったのかわからない。
学園は補修ついでにあちこち改修することにしたそうで、一か月間の休みになった。生徒たちは全員里帰りしていると聞いた。ディアヴの従者も実家に帰っているようで、こちらには来ていない。
俺はディアヴの隣の部屋を与えられたが、寝るときはディアヴのベッドになっている。一人で寝るのは諦めた。ヤられるのは嫌じゃないし、この屋敷内ではディアヴも変態プレイをする気はないようで身体も楽だ。
体力に余裕があるからディアヴとの会話も増えて、どうも俺が幼い頃に天使みたいだったディアヴに結婚の申し込みをしていたことが判明した。全然記憶にない。何人もいる姉がどんどん嫁いでいった頃だから、結婚式を見て触発されていたのかもしれない。
「ディアヴ、俺はお前と違って頭の出来が良くないんだから、そんな昔の話を覚えているはずがないだろう」
開き直って胸を張ると、大きなため息をつかれた。話せば話すほどディアヴに人間味が出てきて面白くなってくる。毎日ヤっているからディアヴの精神も安定しているようで、魔王化の兆候はない。怒り狂っているディアヴは絵にしたいぐらい格好良かったが、お前のせいだと怒られそうだから言わない。
「頭を使え。そんな風だから身体に流されるんだ」
「俺みたいになんの力もない奴は、流されてるぐらいのほうが楽なんだよ」
「開き直るな」
それはお前にも言いたい台詞なんですけど。俺の意見なんてガン無視で顔を合わせるとヤりまくってたよね?
「じゃあ、お前とヤるのも拒んでいいのか?」
「相手を選べと言っている」
「俺は俺のものだ」
何で男のディアヴを選ばなければならないのかわからない。王様の相手も男になっていたし、この世界は転生してきたら相手が男になる呪いの世界なのか?
童貞? って聞かれたし、王様も童貞で死んでここに来て……まさか未だに童貞なんだろうか。転生したらチートで面白おかしく生きられるものじゃないのか?
「ディアヴ……俺は女の子とエッチしてみたい」
「却下」
「なんで!」
「婚約しているのに堂々と浮気宣言するな」
俺が散々いろんな奴にヤられていたのは浮気に当たらないのか? 合意じゃないから浮気じゃないとか?
今の俺に進んで肉体関係を持とうとしてくれる女の子がいるとは思えない。もともとモテないのに、ディアヴの婚約者だって知られたら無理無理無理。
「お前は女の子としたことがあるのか?」
「婚約前の話だ」
「そ、それこそ不誠実じゃないか。俺はお前が初めてだったのに」
我ながらめちゃくちゃな抗議だけど、本心でもある。侯爵家のディアヴにとっては閨教育も当たり前だろうけど、やっぱり羨ましい。まだ幼さの残るディアヴに手取り足取り教えるとか……じゃなくて、ナイスバディの美女に乗っかられるなんて羨ましい? なんかピンとこない。
「男はおじさんが初めてだ」
「ふ、ふーん?」
やだ、ちょっと嬉しいとか、俺おかしい。
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