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俺が〇器の証明をしろと言われましても 8

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 捕らえられているディアヴは、すごい状態だった。
 呪文のような紋様の入った太い鎖にぐるぐる巻きにされて、口にも呪文の書いたお札のようなものがべたりと貼られている。そんな状態でもフーフーっと興奮状態の獣のように荒い息を吐いて、血走った眼をカッっと見開いている。動いていないのに鎖がカチカチと細かく震えていて、ディアヴの圧に今にもブチ切られそうだ。

 なにこれラスボス?
 俺の中の厨二心がきゅんとする。初めてディアヴを純粋に格好いいと思ってしまった。

「えっと、カイン王子、これは」
「ディアヴは魔力が強いから、かなり頑丈な封印をしても今にも吹っ飛ばされそうなんだ。おじさん、婚約者として宥めてあげてくれるかな」
「宥めるって……」

 俺のことはわかっているのだろうか。俺が輪姦されているのを見てこうなったのなら、自業自得だと思うんだ。俺の身体を目覚めさせたのはディアヴだし、ディアヴが周りに煙たがられてたから嫌がらせに俺が使われたんだろうし。

「ディアヴ、俺があんな目に合っていたのはお前のせいだよ?」

 ビシィ! っと鎖に亀裂が入る。なんで怒るんだ。額に血管浮き出ていて怖いじゃないか。

「おじさん、それじゃ逆効果だって」
「えー? だってディアヴに証明するためにアレをやったんですし」

カイン王子も見たいたなら、どうしてあんな展開になったのか知っているはずだ。いつも飄々と穏やかな笑顔のカイン王子が、困ったように問いかけてきた。

「いつもあんなことされているのか?」
「久しぶりだったから長めでしたが、おおむねあんな感じです」

 二本挿れられたのは初めてだったが、気持ちよかったから裂けなかったんだろう。無事でよかった俺のあそこ。これからも使いたいから壊れたら困る。ディアヴのは太いけど、さすがに二本分はないから新境地だった。

「ディアヴ、俺だって男なんだし、本気で嫌ならもっと暴れて逃げるよ」

 ディアヴの魔力に共鳴していたような鎖の音が止まった。ちょっと聞く気になってくれたようだ。

「そもそもお前は何なの? 俺を婚約者にするって言ってるけど、俺のことが好きなの?」
「ディアヴ、暴れないなら口の外すけど、どうする?」

 カイン王子がもの言いたげな様子になったディアヴに提案すると、ディアヴは頷いた。鎖に繋がれてたら身体で篭絡されないから、冷静な会話ができるだろう。
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