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俺が〇器の証明をしろと言われましても 7
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「ただし、おじさんが婚約者ではないと言うなら話は別だ。ディアヴの正当性は失われて、さすがのディアヴも処刑される。命までは取られないかもしれないけれど四肢切断ぐらいあるかもしれないな」
「ひぇっ!? そんな怖い刑罰があるんですか?」
「ある。前例もある」
ディアヴの魔法によって吹っ飛ばされた奴らは、身体のあちこちを損傷して治らないものも多いらしい。俺は無傷だけど、ボウ王子が守ってくれたのだろうか。それとも、俺の上に乗っていた誰かが盾になったのか。
「おじさんは、足がちぎれていたけれど、国王陛下の采配で治癒魔法使いが派遣されて綺麗に治ったんだよ。よかったね」
「お、王様が?」
「ボウの件でおじさんについて気にして調べていたらしいよ」
カイン王子の腕に巻き付いているグロテスクな触手を見つめる。ずっと見ていても気持ち悪いし触りたくない感じだけど、ボウ王子……本当に王子だったんだ。
「で、ディアヴは君の甥? それとも婚約者?」
究極の選択が突き付けられた。甥だと言えばディアヴは処刑されて手足を失くして、婚約者だと言えばディアヴと結婚しなければならなくなる。もしかしたら大怪我をしたらしい先生と同級生も処刑されるのだろうか。少ない脳みそではどうしたらいいかわからない。
王様もことの顛末に噛んでいるなら逃げようがない。
「……ディアヴと話がしたい、です」
「話ができる状態かな。今ディアヴは拘束されているから。とりあえず会わせてあげよう」
鼻歌でも歌いそうに上機嫌な様子のカイン王子に、馬車に乗せられて学園からほど近い王宮に連れていかれた。貴族といっても嫡男でもない俺は王宮なんてほとんど行ったことがない。
ボウ王子はカイン王子の上着の中に隠れたようで見えなくなっている。人間の腕ほども太くなっていたのにどうやって隠したのか。
カイン王子と同じ制服を着ているのに、纏う人間の質が違いすぎてつらい。門番には「ご学友さまですか?」なんて聞かれて朗らかに「そうだよ、ディアヴの親戚なんだ」なんて朗らかに答えている。カイン王子は気さくで好かれているようだった。
声はかけられるものの咎められるようなこともなく、カイン王子はどんどん王宮の先に進んでいった。
いかにもこの先立ち入り禁止というように、前に屈強な兵士が二人立っている堅牢そうな扉にたどり着いた。
「ディアヴに会いにきたんだ」
「封印はされていますが、気が立っておられるようでおさまっていません。お気をつけて」
「大丈夫」
おさまっていないって何が。ここも特に俺の存在に咎められることがなく、半地下になっている独房が両側に並んでいるような廊下に入った。
鉄の扉に、小窓の鉄格子はどう見ても牢屋だろう。
「気が立ってて大変だから、とりあえず周りに影響が及びにくいここに入れているんだ。囚人確定というわけじゃないから安心して」
「はぁ……」
俺、ディアヴをどうしたらいいんだろう。
「ひぇっ!? そんな怖い刑罰があるんですか?」
「ある。前例もある」
ディアヴの魔法によって吹っ飛ばされた奴らは、身体のあちこちを損傷して治らないものも多いらしい。俺は無傷だけど、ボウ王子が守ってくれたのだろうか。それとも、俺の上に乗っていた誰かが盾になったのか。
「おじさんは、足がちぎれていたけれど、国王陛下の采配で治癒魔法使いが派遣されて綺麗に治ったんだよ。よかったね」
「お、王様が?」
「ボウの件でおじさんについて気にして調べていたらしいよ」
カイン王子の腕に巻き付いているグロテスクな触手を見つめる。ずっと見ていても気持ち悪いし触りたくない感じだけど、ボウ王子……本当に王子だったんだ。
「で、ディアヴは君の甥? それとも婚約者?」
究極の選択が突き付けられた。甥だと言えばディアヴは処刑されて手足を失くして、婚約者だと言えばディアヴと結婚しなければならなくなる。もしかしたら大怪我をしたらしい先生と同級生も処刑されるのだろうか。少ない脳みそではどうしたらいいかわからない。
王様もことの顛末に噛んでいるなら逃げようがない。
「……ディアヴと話がしたい、です」
「話ができる状態かな。今ディアヴは拘束されているから。とりあえず会わせてあげよう」
鼻歌でも歌いそうに上機嫌な様子のカイン王子に、馬車に乗せられて学園からほど近い王宮に連れていかれた。貴族といっても嫡男でもない俺は王宮なんてほとんど行ったことがない。
ボウ王子はカイン王子の上着の中に隠れたようで見えなくなっている。人間の腕ほども太くなっていたのにどうやって隠したのか。
カイン王子と同じ制服を着ているのに、纏う人間の質が違いすぎてつらい。門番には「ご学友さまですか?」なんて聞かれて朗らかに「そうだよ、ディアヴの親戚なんだ」なんて朗らかに答えている。カイン王子は気さくで好かれているようだった。
声はかけられるものの咎められるようなこともなく、カイン王子はどんどん王宮の先に進んでいった。
いかにもこの先立ち入り禁止というように、前に屈強な兵士が二人立っている堅牢そうな扉にたどり着いた。
「ディアヴに会いにきたんだ」
「封印はされていますが、気が立っておられるようでおさまっていません。お気をつけて」
「大丈夫」
おさまっていないって何が。ここも特に俺の存在に咎められることがなく、半地下になっている独房が両側に並んでいるような廊下に入った。
鉄の扉に、小窓の鉄格子はどう見ても牢屋だろう。
「気が立ってて大変だから、とりあえず周りに影響が及びにくいここに入れているんだ。囚人確定というわけじゃないから安心して」
「はぁ……」
俺、ディアヴをどうしたらいいんだろう。
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