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触手な王子様をお持ち帰り 7
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鼻がむずむずして、くしゃみをして目が覚めた。
ここはどこだ。狭いけれどやけに高級そうな丁度品……ってすぐに記憶が蘇る。ここはディアヴの部屋だ!
ばっと起き上がったけれど、ディアヴはおろか従者の気配もない。起き上がった拍子に何かが俺の膝にぼたっと落ちて、恐る恐る見ると見覚えのある触手……もといボウ王子だ。ちょっと大きくなっている。針金みたいだったのが、小指ぐらいの太さになっていて気持ち悪さが出てきた。まじまじ見たい感じではない。
「ボウ王子……服、着ませんか?」
返事はないが、俺はサイドテーブルに綺麗に畳んで置かれていた自分の制服からハンカチを出した。触手なボウ王子をハンカチに包む。直接触るのは抵抗がある。とりあえず自室に戻って今後の対応を考えるべきだろう。
昨日はディアヴにヤり倒されて気絶したのだろう。誰とやっても意識はだいたい保っているんだが、ディアヴだけは保てない。相当相性がいいんだろう。……あいつと結婚か。一生生活が楽なら悪くないのかもしれないが、きっとそうならない。
昨日は優しくなったかと思ったら、とんだ焦らしプレイで死にそうだった。毎晩あんな目に合ったらエロ廃人になりそうだ。身体はエロ好きだけど、普段の生活も楽しみたい。
前世の記憶が蘇ったから、魔法のある世界には心ときめくものがある。貴族社会には馴染めそうにないから、庶民として生きていけるだけの仕事をして第二の人生を満喫したいんだ。
ボウ王子をハンカチごとポケットに入れて、ディアヴの部屋のドアを開けようとしたが。
開かない。
「鍵がかかっているのか? なんで鍵が縦でも横でも開かないんだ?」
ドアノブをガチャガチャと押しても引いても開かない。こうなったら窓から? と見たが、ここは五階建ての最上階だし、侵入防止のための柵がしっかり窓を覆っている。貴族のための学園の寮だから仕方がない。学生でも貴重品を持ち込んでいる人間は多いから。現にディアヴの部屋も高級なものが揃っている。
「もしかして監禁……まさかな。俺の存在を忘れて鍵をかけてっただけだ。あいつら俺の人権無視してるし」
名残惜しくドアノブを握って額をドアに当ててぶつぶつ言っていると、ポケットからシュルっと出たボウ王子が俺の腕を伝って手の甲までやってきた。うぇ。細い時は気にならなかった、表面のぼこぼことした模様が気持ち悪い。
俺の手の甲に胴体の三分の一を載せたまま立ち上がったボウ王子は、ゆらゆらと揺れて少しだけ発光した。動けないでじっと見ていると、パッとフラッシュがたかれるように光った。目がぁ!!
すると、さっきまで押しても引いても開かなかったドアが、開いた。
「もしかして魔法!? 王子、ありがとうございます」
心なしかふんぞり返っているような雰囲気のボウ王子に礼を言うと、また俺のポケットの中にシュルっと入っていった。魔法生物のペットだと思えば可愛い……かもしれない。
ここはどこだ。狭いけれどやけに高級そうな丁度品……ってすぐに記憶が蘇る。ここはディアヴの部屋だ!
ばっと起き上がったけれど、ディアヴはおろか従者の気配もない。起き上がった拍子に何かが俺の膝にぼたっと落ちて、恐る恐る見ると見覚えのある触手……もといボウ王子だ。ちょっと大きくなっている。針金みたいだったのが、小指ぐらいの太さになっていて気持ち悪さが出てきた。まじまじ見たい感じではない。
「ボウ王子……服、着ませんか?」
返事はないが、俺はサイドテーブルに綺麗に畳んで置かれていた自分の制服からハンカチを出した。触手なボウ王子をハンカチに包む。直接触るのは抵抗がある。とりあえず自室に戻って今後の対応を考えるべきだろう。
昨日はディアヴにヤり倒されて気絶したのだろう。誰とやっても意識はだいたい保っているんだが、ディアヴだけは保てない。相当相性がいいんだろう。……あいつと結婚か。一生生活が楽なら悪くないのかもしれないが、きっとそうならない。
昨日は優しくなったかと思ったら、とんだ焦らしプレイで死にそうだった。毎晩あんな目に合ったらエロ廃人になりそうだ。身体はエロ好きだけど、普段の生活も楽しみたい。
前世の記憶が蘇ったから、魔法のある世界には心ときめくものがある。貴族社会には馴染めそうにないから、庶民として生きていけるだけの仕事をして第二の人生を満喫したいんだ。
ボウ王子をハンカチごとポケットに入れて、ディアヴの部屋のドアを開けようとしたが。
開かない。
「鍵がかかっているのか? なんで鍵が縦でも横でも開かないんだ?」
ドアノブをガチャガチャと押しても引いても開かない。こうなったら窓から? と見たが、ここは五階建ての最上階だし、侵入防止のための柵がしっかり窓を覆っている。貴族のための学園の寮だから仕方がない。学生でも貴重品を持ち込んでいる人間は多いから。現にディアヴの部屋も高級なものが揃っている。
「もしかして監禁……まさかな。俺の存在を忘れて鍵をかけてっただけだ。あいつら俺の人権無視してるし」
名残惜しくドアノブを握って額をドアに当ててぶつぶつ言っていると、ポケットからシュルっと出たボウ王子が俺の腕を伝って手の甲までやってきた。うぇ。細い時は気にならなかった、表面のぼこぼことした模様が気持ち悪い。
俺の手の甲に胴体の三分の一を載せたまま立ち上がったボウ王子は、ゆらゆらと揺れて少しだけ発光した。動けないでじっと見ていると、パッとフラッシュがたかれるように光った。目がぁ!!
すると、さっきまで押しても引いても開かなかったドアが、開いた。
「もしかして魔法!? 王子、ありがとうございます」
心なしかふんぞり返っているような雰囲気のボウ王子に礼を言うと、また俺のポケットの中にシュルっと入っていった。魔法生物のペットだと思えば可愛い……かもしれない。
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