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甥っ子と王子様と王子……さま? 3

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 ディアヴは感情の見えない表情で俺たちを見ている。カイン王子が俺と話しているから遠慮しているのか?
 てことは自分で王子の言葉の謎を解明しなければならない。

「兄弟って」
「異父兄弟だよ」

 父親が違うなら王の子供じゃないんじゃないか?

「えっと、こちらは王子様ではないので?」
「いや、王が産んだから王子だよ」

 王が産む……なんかそんな話どっかで聞いたような……。

「もう忘れたのか、おじさんの頭はどうなっているんだ? ハメられる事しか考えられないのか?」

 お、思い出した! ディアヴが俺にハメている時に説明された話だ。あんな時に細かい事を覚えていられるか!
 しかも思い出させられたせいで、不完全燃焼の身体がまた疼きだした。これじゃディアヴの言葉を否定できない。

「ハメって、そんな言い方」
「今も欲しくてたまらない顔をしている。淫乱」

 悔しいけど否定できないからぐっと口を結んで、ディアヴを睨みつけた。自分だけすっきりしやがったの覚えてる。言ってやりたい、言うか、早漏って!!

「――そ」
「ディアヴ、おじさんはおれと話してたんだけど? あとボウのことはくれぐれも内密に。王宮で隠れているだけでは可哀想だから内緒で連れだしたんだ」

 襟首をぐいっと引かれて、カイン王子のほうに向きなおさせられた。怒ってはいなさそうだが、王子と会話しないと許されない雰囲気。怒ったところは見たことがないが、ここは王族を怒らせたら処刑されても文句の言えない社会だ。慎重に慎重に。

「あの、王子なのに隠れているんですか?」
「こんな外見だから王子として名乗りを上げられないんだよ」
「呪いか何かでしょうか」

 慎重に……でも好奇心のほうが勝ってしまう。にょろにょろした王子(?)は俺の腕に絡みついてきていてちょっとペットっぽくて可愛い。いや、これは王子様。王子ってなんだっけ。

「いいや? 国王がこっそり産んだ子だから隠しているだけだよ。もう一人の父は心が狭いから」
「浮気……?」

 人間の常識はさておき話を整理すると、王が浮気して生まれた子供がこのにょろっとした生き物ということ? 浮気すると子供がこういうのになる呪いでもかけられているのだろうか。王様、そんな厄介な呪いがあるのに子供を隠れて産むなんて……隠れて産めるもんなの?

 俺ネイティブこの世界の住人のはずだよな。どれだけ今までの知識をかき集めても、男同士で子供を生んだなんて話、王様以外で聞いたことがないんですけど。

「この国はすべて王のものだ。浮気も何も、王を咎められるものはいない」

 あ、はい。そうです。でもにょろっとした生き物はどうしたらいいの。

「ボウ王子、それはオレの婚約者です」
「え? 婚約はしてないって……」
「ディアヴ、少しだけ君の婚約者をボウに貸してくれないか? ずいぶんおじさんが気に入っているようだ」
「……ここでは、いつ人が入ってくるかわかりません。場所の移動をしましょう」
「いいだろう」

 なんだか嫌な予感……。
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