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34  家に帰って

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「サク、お風呂に入る?」
「ああ、用意しよう。先に入るといい」

 俺の父親が母親のために作った風呂はかなり快適だ。家は小さいが、別に建てられている風呂用の建物は家と大きさが変わらない。きこりという仕事柄、薪はいくらでもある。

 水も簡単に貯められるようになっているから、俺たちは毎日風呂を沸かして入っている。ラウルが来る以前は二日に一回ぐらいしか沸かしていなかったことは秘密だ。

 広めの風呂だが、一緒に入ったことはない。令嬢として育ったラウルは、最初服を着たまま風呂に入った。きっと肌を晒すことに抵抗があるのだろうと、俺も風呂の時は見ないようにしている。
 狭い家だから着替えの時に丸見えだけど。

「えっと、その、私たち結婚したでしょう?」
「ああ」

 言葉だけを見ていると優し気な女性だが、声は低く、身長も俺より頭一つ分高く、さらには俺よりずっと美形だ。
 話し方は男らしくできるようになったが、俺と二人のときは気が緩んで戻ってしまう。俺も慣れたから気にならない、
 長かったころは縦に巻いていた髪は、短くしているとゆるく波打っているのに綺麗にまとまっている。金髪はきらきらと眩しいし、瞳は宝石のように煌めいている。

 口調が女性のようだとしても十分に男として魅力的に育ったラウルは、風呂の前でもじもじしている。
 もしかして、結婚したから一緒に入らなければならないと考えているのだろうか。無理しなくていいのに。

 結婚したといっても男同士なんだから、今までと変わらないだろう。法律で俺とラウルが家族と認められたというだけだ。
 ラウルが俺に嫁が来るのを嫌がったし、俺もラウルが俺以外の誰かを家族にするのは嫌だと思った。と、まぁ、そういうことで、諦めた部分もある。

「結婚したけど変わらないだろ? 男同士で子供ができるわけじゃないし」
「サク……あのね、子供はできないけど、同じようなことはできるの」
「同じようなこと?」

 そわそわと視線をうろつかせたラウルが、さりげなく股間を押さえている。ああ、アレが勃ってしまっているのだろうか。あまりにも抜かない生活が続いたせいで、俺のはすっかり勃起することを忘れてしまっているから忘れていた。
 そうか、ラウルも健康な男なんだな。外見が作り物のように綺麗だから、そういう欲がないかと思っていた。

 女性との経験のない俺だが、アレを女の子の穴に挿れて、子種を中に出したら子どもができることぐらいは知っている。文字を習うときに神殿で教えられるからだ。

 男にはその穴がない代わりに、穴に入れるためのちんこが生えている。
 大人になるとちんこが硬くなるようになって穴に挿れやすくなる。女の子の穴は硬くなったちんこを受け入れる準備が整うと濡れるらしい。男は穴もなければ濡れないが……同じようなこととはなんだろう。
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