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30 罪人の引渡し
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俺に捕まった奴は、泣きながら許してくれと言っている。あんな細い相手に石を投げつけて平気な奴の言うことなど聞く気はない、ズルズルと引きずって、ウードの材木屋までたどり着いた。
さっきのラウルもどきが乗っていた馬と、お付きの人間らしい奴が立っている。
「なんだお前は」
「俺はきこりのサクだ。ここに木材を卸してる」
どいつもこいつもでかい。ラウルよりもでかそうな黒髪のいかつい男が、剣に手をかけて威嚇してくる。素手の人間相手に剣をちらつかせるなんて、自分は剣がなければ弱いと叫んでいるようなものだ。俺が小さいから、少し脅せばどうにでもなると舐められているのがわかる。
「それは木材ではなさそうだが?」
「こいつは罪人だ。引き渡しに来た。親玉が中にいるんだろ」
「中におられるのは一介のきこりが話しかけていい御方じゃない」
その御方とやらは、フローリアを守れなかったポンコツだ。今更出てきてラウルを見つけているのに腹が立つ。あんなに変わったのに見つけるなんて……。
「その御方とやらが、俺の男を連れてたんだよ! 返せ」
「ぐぇっ」
止められたことにムカつきすぎて、連れていた男の首を掴む手に力が入ってしまった。変な声を出して舌を出すから気持ち悪い。身体が大きくないから舐められがちだが、きこりの力は町の男たちとは比べ物にならないほど強い。
舐めてかかられているうちに、首を掴んでねじ切ってやれば俺が勝つ。そこまで考えてから、やっと気持ちが落ち着いた。無性に気が立っている。ふーっと長い息を吐いて、男を睨みつけた。言い方を、考えなければ。
「おい、そいつを殺す気か」
「あんたの親玉にこいつを渡す。……フローリア様に石を投げた張本人だそうだ」
「なに!! 少し待て!」
俺に捕まっている男は、祈りの言葉を唱えて泣いている。泣くぐらいなら、初めからやらなければいいのに。神様は弱いものいじめをしろだなんて言っていないんだから。
白けた気持ちで男の泣き声を聞いていたが、すぐにさっきの男が戻って来た。
「きこりのサク、入れ」
「……」
顎で示されてイラっと来たが、黙って泣きべそをかいている男を引きずって入った。
さっきのラウルもどきが乗っていた馬と、お付きの人間らしい奴が立っている。
「なんだお前は」
「俺はきこりのサクだ。ここに木材を卸してる」
どいつもこいつもでかい。ラウルよりもでかそうな黒髪のいかつい男が、剣に手をかけて威嚇してくる。素手の人間相手に剣をちらつかせるなんて、自分は剣がなければ弱いと叫んでいるようなものだ。俺が小さいから、少し脅せばどうにでもなると舐められているのがわかる。
「それは木材ではなさそうだが?」
「こいつは罪人だ。引き渡しに来た。親玉が中にいるんだろ」
「中におられるのは一介のきこりが話しかけていい御方じゃない」
その御方とやらは、フローリアを守れなかったポンコツだ。今更出てきてラウルを見つけているのに腹が立つ。あんなに変わったのに見つけるなんて……。
「その御方とやらが、俺の男を連れてたんだよ! 返せ」
「ぐぇっ」
止められたことにムカつきすぎて、連れていた男の首を掴む手に力が入ってしまった。変な声を出して舌を出すから気持ち悪い。身体が大きくないから舐められがちだが、きこりの力は町の男たちとは比べ物にならないほど強い。
舐めてかかられているうちに、首を掴んでねじ切ってやれば俺が勝つ。そこまで考えてから、やっと気持ちが落ち着いた。無性に気が立っている。ふーっと長い息を吐いて、男を睨みつけた。言い方を、考えなければ。
「おい、そいつを殺す気か」
「あんたの親玉にこいつを渡す。……フローリア様に石を投げた張本人だそうだ」
「なに!! 少し待て!」
俺に捕まっている男は、祈りの言葉を唱えて泣いている。泣くぐらいなら、初めからやらなければいいのに。神様は弱いものいじめをしろだなんて言っていないんだから。
白けた気持ちで男の泣き声を聞いていたが、すぐにさっきの男が戻って来た。
「きこりのサク、入れ」
「……」
顎で示されてイラっと来たが、黙って泣きべそをかいている男を引きずって入った。
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