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27 離れていて思うこと
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ラウルは半年経っても心が変わらなかったら受け入れてと言って、ウードのところに行った。
王様が変わったはずの町はほとんど変わりがなく、ラウルが来る前のように俺は月にニ、三回町に行く生活に戻っていった。
俺の予想どおり、ラウルはウードの材木屋でも良く働いた。俺との噂があっても、町の年頃の娘たちはあからさまだったり控えめだったり色んなアプローチをラウルに仕掛けているようだ。ラウルは全てきっぱりと断っている。
それでもラウルが周りから嫌われないのは、俺のことが好きだと公言しているからだ。ウードもラウルがどれだけ俺にベタ惚れか語るものだから、いまは俺のほうが町に行くときはコソコソしている。
知らない女の子に罵られるのは一度で懲りた。
ラウルは山で採れた材料で化粧を作って、肌の色を少し暗くした。髪はいつも布で隠すことにした。俺の好きなふわふわの金の髪は、ラウル本人以外では俺しか知らない。
「サク、お酒をもらったから持っていって。これ好きでしょう? 会えて嬉しい。変わらず愛してる」
「はいはい、ありがとな」
ウードのところに行って、ラウルが仕事に出ていなければ会って話す。一緒に軽食を食べたりもするが、男しかいないような食堂かラウルの借りている部屋に持ち込んで話している。
最初の頃に普通の食堂で食べていたら、こんなみすぼらしい男の何がいいのかと女の子に絡まれたからだ。ブチ切れたラウルが立ち上がったのを抑えるのが大変だった。止めなければ、あの子が再起不能になるほどの口撃を仕掛けていただろう。
ウードの材木屋は、ウードの妻以外は見事に男ばかりだ。力仕事が主な奴らは荒っぽく、働き始めた頃はラウルに絡むやつもいたらしいが、腕っ節と心を抉る言葉でぺちゃんこに叩きのめしたらしい。
そいつはすっかり大人しくなって、いまはラウルを兄貴と慕っているそうだ。ラウルの兄弟分は俺だけのはずなんだけど。
ウードが大げさな身振り手振りで、ラウルがすごかったと教えてくれた。誇らしかったが、俺の見ていないところで活躍されることに胸がモヤモヤした。
いっそ女の子の友達でもできれば気持ちも変わるだろうかと飲み屋に行ってみたりもしたが、ラウルと俺は王様が変わって最初に男同士で結婚した人間として有名になっていた。
王様が変わったはずの町はほとんど変わりがなく、ラウルが来る前のように俺は月にニ、三回町に行く生活に戻っていった。
俺の予想どおり、ラウルはウードの材木屋でも良く働いた。俺との噂があっても、町の年頃の娘たちはあからさまだったり控えめだったり色んなアプローチをラウルに仕掛けているようだ。ラウルは全てきっぱりと断っている。
それでもラウルが周りから嫌われないのは、俺のことが好きだと公言しているからだ。ウードもラウルがどれだけ俺にベタ惚れか語るものだから、いまは俺のほうが町に行くときはコソコソしている。
知らない女の子に罵られるのは一度で懲りた。
ラウルは山で採れた材料で化粧を作って、肌の色を少し暗くした。髪はいつも布で隠すことにした。俺の好きなふわふわの金の髪は、ラウル本人以外では俺しか知らない。
「サク、お酒をもらったから持っていって。これ好きでしょう? 会えて嬉しい。変わらず愛してる」
「はいはい、ありがとな」
ウードのところに行って、ラウルが仕事に出ていなければ会って話す。一緒に軽食を食べたりもするが、男しかいないような食堂かラウルの借りている部屋に持ち込んで話している。
最初の頃に普通の食堂で食べていたら、こんなみすぼらしい男の何がいいのかと女の子に絡まれたからだ。ブチ切れたラウルが立ち上がったのを抑えるのが大変だった。止めなければ、あの子が再起不能になるほどの口撃を仕掛けていただろう。
ウードの材木屋は、ウードの妻以外は見事に男ばかりだ。力仕事が主な奴らは荒っぽく、働き始めた頃はラウルに絡むやつもいたらしいが、腕っ節と心を抉る言葉でぺちゃんこに叩きのめしたらしい。
そいつはすっかり大人しくなって、いまはラウルを兄貴と慕っているそうだ。ラウルの兄弟分は俺だけのはずなんだけど。
ウードが大げさな身振り手振りで、ラウルがすごかったと教えてくれた。誇らしかったが、俺の見ていないところで活躍されることに胸がモヤモヤした。
いっそ女の子の友達でもできれば気持ちも変わるだろうかと飲み屋に行ってみたりもしたが、ラウルと俺は王様が変わって最初に男同士で結婚した人間として有名になっていた。
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