拾った悪役令嬢にはアレがついていました

爺誤

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11 不穏な気配

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 俺とラウルの生活は驚くほど順調だった。ラウルは自分のやれる範囲を見つけるのがうまく、そこから少しずつ発展させていった。
 一年が経つ頃にはラウルの身長は俺を抜かした。まだ厚みが出ないから大きめの服の出番はない。この調子だとあと一年……もしかしたら半年ほどで必要になるかもしれない。毎日身体が痛いと言っていたが、たぶんそれは一気に大きくなると痛いやつだ。父に成長期には体中が痛くなってぐんぐん大きくなるって聞いていたけれど、俺にはその痛みは来なかった。悲しい。

 きこりの仕事は長年の勘も必要だから理解するのに時間がかかっているが、素材採集なんかはもう俺よりも見つけるのが早い。
 町のほうは少しざわついているようだが、木材と素材を売りに行くために月に二回ほど出入りしているだけの俺には細かい内容は伝わってこない。だけど、塩やら香辛料の値段が上がっているから少し不安だ。ラウルに話したら、次に行ったら塩を多めに買っておくように言われた。

「多め?」
「うん、一年か……何年か山にこもっていられるぐらい。種芋とかもあったら便利かも」
「わかった」

 何年も山にこもるなら、その間はラウルは出ていかない。次に町に行ったときにはいうとおりにして持ち金全部を使って塩と種芋を買った。
 買い方も教えられていて、一か所で大量に買うのではなく、何か所かで少しずつたくさん買うように言われた。さらには、人目につかないように町を出るように言われたから、一時だけ行商の荷馬車に乗せてもらった。
 帰り道は真っ直ぐ帰るのではなく、迂回して俺しか知らないような道を早足で通り、行きにかけておいた岩場を通るためのロープも帰りに落とした。誰も追ってきていないようだが、これほど念入りに隠れなければならないのは不穏だ。
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