【完結】婚活オメガはNTRれアルファと結ばれる

爺誤

文字の大きさ
上 下
10 / 10

10 初夜(後)*

しおりを挟む
「本、ですぅ……っ」
「テディの勤勉さ、好きだ」
「あーーっ!」

 好きだ、の言葉と同時に挿入され、焦らされすぎた僕はイってしまった。官能小説で見たトコロテンという現象だ。トコロテンとは、はるか昔に侯爵家に嫁いだオメガがもたらした言葉だと言われている。
 なんでこんな豆知識語ってるかって、恥ずかしいからだよ!

 クラース様は僕が落ち着くのを待ってくれているみたいで、動かないでくれる。
 少しだけ落ち着いてきて、クラース様を見ると、我慢している顔だった。お預けを食らっている実家の小さな犬の健気な様子と似ている。クラース様は犬といっても大型の軍用犬だろうけど。

「よ……よし」
「なに?」

 つい犬に言うやつを言ってしまった。怪訝な表情も可愛い……ちがう、愛おしいんだ。僕を傷付けない優しいアルファ。
 強いのに、強いから優しいのかな。

「好きです」
「うん、俺も」

 ちゅ、と額にキスをされ、ナカのモノがぐぐっとかさを増すのを感じる。あんな大きなモノを受け入れて、気持ちいいままでいられる……僕はオメガで良かった。

 ずっと、オメガの権利が強いこの国で良かったと思っていたけど、ほんとうはベータだったなら、アルファだったならという思いがあった。
 優しい家族に囲まれて、不自由なく暮らせているのに言ってはいけないことだったけど。

「あっ、いい、クラース、さまぁ……ああっ」
「テディ、つらく、ないか」
「いいから、ぁあん! めちゃくちゃに……し、ひぁあっ!」

 運命のつがいなんて信じていないけど、クラース様とこうなるためだったならオメガに生まれて良かった。

 激しい抽挿の合間にも、僕を気遣ってくれるクラース様。前も後ろも悦楽の証に濡れているのに。
 快感に身体が跳ね、クラース様にしがみつくしかない僕に、耳元で優しく名前を呼んでくれる。

 クラース様の吐息も荒く、普段と違う様子にまた、心が、身体が反応する。
 どうしようもなく空を蹴る伸びた僕の足を掴んで、クラース様の唇が触れる。えっちすぎる。

 勉強のために読んだ小説の表現は僕にとって過激なものだったけど、リアルは比べものにならない。

「ぁ、ああっ、ぁひんっ……クラースさまぁ」
「可愛い、テディ……っ」
「あ、ぃ、ああああああっ!」

 隙間もないほど身体を密着させて、クラース様が動きを止めた。中に注がれる感覚に、身体が歓喜しているのを感じる。
 発情期じゃなくても、好きな人を相手にしたらこうなれるんだ……。

「ぁ……はぁ……はぁ……」
「ふー……」

 二人で身体を重ねたまま余韻に浸った。
 すごかった……こんなの、発情期にしたらどうなっちゃうんだろう。前回の事故の時のは、薬のせいか発情期だからか、よく覚えていない。

「テディ、今日はここまでにしておこうか」
「……え?」
「疲れただろう」

 ゆっくりと身体を離すクラース様のものは、全く終わっていなかった。完全に臨戦体勢のままだ。

「え?」
「俺が本気を出したらすぐに壊れてしまいそうだ」
「えええ!」

 僕はすっかり満足して、もう次回のことを考えていたのに、クラース様はぜんぜん足りなかったらしい! 体力の違いがこんなところに出るなんて! 

「……クラース様、今はまだこんな僕だけど、頑張って鍛えて、絶対満足させますからね」
「はは、楽しみにしてる」
「とりあえず今日は手でさせてください」
「してくれるのか。ありがとう」

 この日、自分は落ち着いた状態でクラース様のを処理するという体験をし、新しい扉を開いてしまった。
 僕たちの結婚生活は楽しみに溢れている。
しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

ノア吉
2023.08.14 ノア吉

ワクワク(っ ॑꒳ ॑c)
もう始まりからして楽しいです!
テディ君の名前も可愛くて♥️
いつか攻め様にも「テディ…」って甘く呼びかけられるなかしら!
キャ───(*ノдノ)───ァ(勝手に盛りあがってすみません💦)

2023.08.14 爺誤

ノア吉様ありがとうございます!
現金なオメガのテディ君を楽しんでいただけたら嬉しいでーす!

解除

あなたにおすすめの小説

あなたと過ごした五年間~欠陥オメガと強すぎるアルファが出会ったら~

華抹茶
BL
子供の時の流行り病の高熱でオメガ性を失ったエリオット。だがその時に前世の記憶が蘇り、自分が異性愛者だったことを思い出す。オメガ性を失ったことを喜び、ベータとして生きていくことに。 もうすぐ学園を卒業するという時に、とある公爵家の嫡男の家庭教師を探しているという話を耳にする。その仕事が出来たらいいと面接に行くと、とんでもなく美しいアルファの子供がいた。 だがそのアルファの子供は、質素な別館で一人でひっそりと生活する孤独なアルファだった。その理由がこの子供のアルファ性が強すぎて誰も近寄れないからというのだ。 だがエリオットだけはそのフェロモンの影響を受けなかった。家庭教師の仕事も決まり、アルファの子供と接するうちに心に抱えた傷を知る。 子供はエリオットに心を開き、懐き、甘えてくれるようになった。だが子供が成長するにつれ少しずつ二人の関係に変化が訪れる。 アルファ性が強すぎて愛情を与えられなかった孤独なアルファ×オメガ性を失いベータと偽っていた欠陥オメガ ●オメガバースの話になります。かなり独自の設定を盛り込んでいます。 ●最終話まで執筆済み(全47話)。完結保障。毎日更新。 ●Rシーンには※つけてます。

【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。

桜月夜
BL
 前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。  思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。

【完結】何一つ僕のお願いを聞いてくれない彼に、別れてほしいとお願いした結果。

N2O
BL
好きすぎて一部倫理観に反することをしたα × 好きすぎて馬鹿なことしちゃったΩ ※オメガバース設定をお借りしています。 ※素人作品です。温かな目でご覧ください。 表紙絵 ⇨ 深浦裕 様 X(@yumiura221018)

トップアイドルα様は平凡βを運命にする

新羽梅衣
BL
ありきたりなベータらしい人生を送ってきた平凡な大学生・春崎陽は深夜のコンビニでアルバイトをしている。 ある夜、コンビニに訪れた男と目が合った瞬間、まるで炭酸が弾けるような胸の高鳴りを感じてしまう。どこかで見たことのある彼はトップアイドル・sui(深山翠)だった。 翠と陽の距離は急接近するが、ふたりはアルファとベータ。翠が運命の番に憧れて相手を探すために芸能界に入ったと知った陽は、どう足掻いても番にはなれない関係に思い悩む。そんなとき、翠のマネージャーに声をかけられた陽はある決心をする。 運命の番を探すトップアイドルα×自分に自信がない平凡βの切ない恋のお話。

白金の花嫁は将軍の希望の花

葉咲透織
BL
義妹の身代わりでボルカノ王国に嫁ぐことになったレイナール。女好きのボルカノ王は、男である彼を受け入れず、そのまま若き将軍・ジョシュアに下げ渡す。彼の屋敷で過ごすうちに、ジョシュアに惹かれていくレイナールには、ある秘密があった。 ※個人ブログにも投稿済みです。

元ベータ後天性オメガ

桜 晴樹
BL
懲りずにオメガバースです。 ベータだった主人公がある日を境にオメガになってしまう。 主人公(受) 17歳男子高校生。黒髪平凡顔。身長170cm。 ベータからオメガに。後天性の性(バース)転換。 藤宮春樹(ふじみやはるき) 友人兼ライバル(攻) 金髪イケメン身長182cm ベータを偽っているアルファ 名前決まりました(1月26日) 決まるまではナナシくん‥。 大上礼央(おおかみれお) 名前の由来、狼とライオン(レオ)から‥ ⭐︎コメント受付中 前作の"番なんて要らない"は、編集作業につき、更新停滞中です。 宜しければ其方も読んで頂ければ喜びます。

さよならの向こう側

よんど
BL
''Ωのまま死ぬくらいなら自由に生きようと思った'' 僕の人生が変わったのは高校生の時。 たまたまαと密室で二人きりになり、自分の予期せぬ発情に当てられた相手がうなじを噛んだのが事の始まりだった。相手はクラスメイトで特に話した事もない顔の整った寡黙な青年だった。 時は流れて大学生になったが、僕達は相も変わらず一緒にいた。番になった際に特に解消する理由がなかった為放置していたが、ある日自身が病に掛かってしまい事は一変する。 死のカウントダウンを知らされ、どうせ死ぬならΩである事に縛られず自由に生きたいと思うようになり、ようやくこのタイミングで番の解消を提案するが... 運命で結ばれた訳じゃない二人が、不器用ながらに関係を重ねて少しずつ寄り添っていく溺愛ラブストーリー。 (※) 過激表現のある章に付けています。 *** 攻め視点 ※当作品がフィクションである事を理解して頂いた上で何でもOKな方のみ拝読お願いします。 ※2026年春庭にて本編の書き下ろし番外編を無配で配る予定です。BOOTHで販売(予定)の際にも付けます。 扉絵  YOHJI@yohji_fanart様

【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜

ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。 そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。 幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。 もう二度と同じ轍は踏まない。 そう決心したアリスの戦いが始まる。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。