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10 初夜(後)*
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「本、ですぅ……っ」
「テディの勤勉さ、好きだ」
「あーーっ!」
好きだ、の言葉と同時に挿入され、焦らされすぎた僕はイってしまった。官能小説で見たトコロテンという現象だ。トコロテンとは、はるか昔に侯爵家に嫁いだオメガがもたらした言葉だと言われている。
なんでこんな豆知識語ってるかって、恥ずかしいからだよ!
クラース様は僕が落ち着くのを待ってくれているみたいで、動かないでくれる。
少しだけ落ち着いてきて、クラース様を見ると、我慢している顔だった。お預けを食らっている実家の小さな犬の健気な様子と似ている。クラース様は犬といっても大型の軍用犬だろうけど。
「よ……よし」
「なに?」
つい犬に言うやつを言ってしまった。怪訝な表情も可愛い……ちがう、愛おしいんだ。僕を傷付けない優しいアルファ。
強いのに、強いから優しいのかな。
「好きです」
「うん、俺も」
ちゅ、と額にキスをされ、ナカのモノがぐぐっとかさを増すのを感じる。あんな大きなモノを受け入れて、気持ちいいままでいられる……僕はオメガで良かった。
ずっと、オメガの権利が強いこの国で良かったと思っていたけど、ほんとうはベータだったなら、アルファだったならという思いがあった。
優しい家族に囲まれて、不自由なく暮らせているのに言ってはいけないことだったけど。
「あっ、いい、クラース、さまぁ……ああっ」
「テディ、つらく、ないか」
「いいから、ぁあん! めちゃくちゃに……し、ひぁあっ!」
運命のつがいなんて信じていないけど、クラース様とこうなるためだったならオメガに生まれて良かった。
激しい抽挿の合間にも、僕を気遣ってくれるクラース様。前も後ろも悦楽の証に濡れているのに。
快感に身体が跳ね、クラース様にしがみつくしかない僕に、耳元で優しく名前を呼んでくれる。
クラース様の吐息も荒く、普段と違う様子にまた、心が、身体が反応する。
どうしようもなく空を蹴る伸びた僕の足を掴んで、クラース様の唇が触れる。えっちすぎる。
勉強のために読んだ小説の表現は僕にとって過激なものだったけど、リアルは比べものにならない。
「ぁ、ああっ、ぁひんっ……クラースさまぁ」
「可愛い、テディ……っ」
「あ、ぃ、ああああああっ!」
隙間もないほど身体を密着させて、クラース様が動きを止めた。中に注がれる感覚に、身体が歓喜しているのを感じる。
発情期じゃなくても、好きな人を相手にしたらこうなれるんだ……。
「ぁ……はぁ……はぁ……」
「ふー……」
二人で身体を重ねたまま余韻に浸った。
すごかった……こんなの、発情期にしたらどうなっちゃうんだろう。前回の事故の時のは、薬のせいか発情期だからか、よく覚えていない。
「テディ、今日はここまでにしておこうか」
「……え?」
「疲れただろう」
ゆっくりと身体を離すクラース様のものは、全く終わっていなかった。完全に臨戦体勢のままだ。
「え?」
「俺が本気を出したらすぐに壊れてしまいそうだ」
「えええ!」
僕はすっかり満足して、もう次回のことを考えていたのに、クラース様はぜんぜん足りなかったらしい! 体力の違いがこんなところに出るなんて!
「……クラース様、今はまだこんな僕だけど、頑張って鍛えて、絶対満足させますからね」
「はは、楽しみにしてる」
「とりあえず今日は手でさせてください」
「してくれるのか。ありがとう」
この日、自分は落ち着いた状態でクラース様のを処理するという体験をし、新しい扉を開いてしまった。
僕たちの結婚生活は楽しみに溢れている。
「テディの勤勉さ、好きだ」
「あーーっ!」
好きだ、の言葉と同時に挿入され、焦らされすぎた僕はイってしまった。官能小説で見たトコロテンという現象だ。トコロテンとは、はるか昔に侯爵家に嫁いだオメガがもたらした言葉だと言われている。
なんでこんな豆知識語ってるかって、恥ずかしいからだよ!
クラース様は僕が落ち着くのを待ってくれているみたいで、動かないでくれる。
少しだけ落ち着いてきて、クラース様を見ると、我慢している顔だった。お預けを食らっている実家の小さな犬の健気な様子と似ている。クラース様は犬といっても大型の軍用犬だろうけど。
「よ……よし」
「なに?」
つい犬に言うやつを言ってしまった。怪訝な表情も可愛い……ちがう、愛おしいんだ。僕を傷付けない優しいアルファ。
強いのに、強いから優しいのかな。
「好きです」
「うん、俺も」
ちゅ、と額にキスをされ、ナカのモノがぐぐっとかさを増すのを感じる。あんな大きなモノを受け入れて、気持ちいいままでいられる……僕はオメガで良かった。
ずっと、オメガの権利が強いこの国で良かったと思っていたけど、ほんとうはベータだったなら、アルファだったならという思いがあった。
優しい家族に囲まれて、不自由なく暮らせているのに言ってはいけないことだったけど。
「あっ、いい、クラース、さまぁ……ああっ」
「テディ、つらく、ないか」
「いいから、ぁあん! めちゃくちゃに……し、ひぁあっ!」
運命のつがいなんて信じていないけど、クラース様とこうなるためだったならオメガに生まれて良かった。
激しい抽挿の合間にも、僕を気遣ってくれるクラース様。前も後ろも悦楽の証に濡れているのに。
快感に身体が跳ね、クラース様にしがみつくしかない僕に、耳元で優しく名前を呼んでくれる。
クラース様の吐息も荒く、普段と違う様子にまた、心が、身体が反応する。
どうしようもなく空を蹴る伸びた僕の足を掴んで、クラース様の唇が触れる。えっちすぎる。
勉強のために読んだ小説の表現は僕にとって過激なものだったけど、リアルは比べものにならない。
「ぁ、ああっ、ぁひんっ……クラースさまぁ」
「可愛い、テディ……っ」
「あ、ぃ、ああああああっ!」
隙間もないほど身体を密着させて、クラース様が動きを止めた。中に注がれる感覚に、身体が歓喜しているのを感じる。
発情期じゃなくても、好きな人を相手にしたらこうなれるんだ……。
「ぁ……はぁ……はぁ……」
「ふー……」
二人で身体を重ねたまま余韻に浸った。
すごかった……こんなの、発情期にしたらどうなっちゃうんだろう。前回の事故の時のは、薬のせいか発情期だからか、よく覚えていない。
「テディ、今日はここまでにしておこうか」
「……え?」
「疲れただろう」
ゆっくりと身体を離すクラース様のものは、全く終わっていなかった。完全に臨戦体勢のままだ。
「え?」
「俺が本気を出したらすぐに壊れてしまいそうだ」
「えええ!」
僕はすっかり満足して、もう次回のことを考えていたのに、クラース様はぜんぜん足りなかったらしい! 体力の違いがこんなところに出るなんて!
「……クラース様、今はまだこんな僕だけど、頑張って鍛えて、絶対満足させますからね」
「はは、楽しみにしてる」
「とりあえず今日は手でさせてください」
「してくれるのか。ありがとう」
この日、自分は落ち着いた状態でクラース様のを処理するという体験をし、新しい扉を開いてしまった。
僕たちの結婚生活は楽しみに溢れている。
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キャ───(*ノдノ)───ァ(勝手に盛りあがってすみません💦)
ノア吉様ありがとうございます!
現金なオメガのテディ君を楽しんでいただけたら嬉しいでーす!