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13 脱獄しなくても
しおりを挟む想いが通じ合ったその晩は、食事を取る余裕もなく抱き合った。激しすぎて粗末な寝台が壊れてしまった。
「あっ、ダール、ダールぅ、わた、私は、食事を、あぁぅ」
「コッチで俺のを食ってるだろ」
「あ、ああ、ひど、あああっ」
すっかり開発された乳首は舐められ吸われて齧られ、性器と化した後孔はダールのものを迎えて歓喜している。俺は胸元のダールの頭を掻き抱いて、足はダールの腰に巻き付けてより深い結合を求めた。
この男は間違いなく俺のものだという確信が、なによりも嬉しかった。
◇
俺たちが両想いとなった三日後、スャイハーラの船がガダクツク監獄にたどり着いた。ダールによく似た年嵩の一回り小さな男が接岸しようとする船の看板に立っている。
「親父!!」
「ダール!! 下手こきやがって!! 帰るぞ!」
俺はその様子を監獄の上の方から見ていた。ダールの求婚以来、監獄内を自由に動けるようになったのだ。
しかし俺を見る男の半分ほどが股間を押さえてそそくさと姿を消す。なぜなら、ダールが毎晩通っていたのはバレているし、どうも声が丸聞こえだったらしい。
ダールのお気に入りの男がどんな顔をしているのかと興味津々だった奴らが、俺の顔を見て具体的に想像してしまうようだ。
ダールは未だにはっきりと言わないが、やはり俺は美しいのだろう。ダール以外の男にどうこうされたいとは思わないが、娯楽の少ない監獄生活なのだから妄想ぐらいは許してやるつもりだ。
しかし、もし襲ってきたら、不埒者のイチモツを魔法で斬り飛ばすつもりだ。
「親父ぃ、紹介する。俺の伴侶のヒューゴだ!」
「美人だけど男じゃねえか!!」
「いいだろ兄弟はほかにもいるんだから!!」
「しゃーねえな!!」
え、それでいいのか?
驚くほどあっさりとダールと俺の関係を認めた親父さんは、乗れるだけの人間を船に乗せた。乗りたいやつはまた来るからなんて安請け合いをしている。帝国は大丈夫なのだろうか。
「えーっと、帝国の船が定期的にここに来ているはずなんですが」
「あれな、沈めた!!」
「え」
「航路は確保したからガダクツク監獄は俺たちのものだ!」
「やるな親父!」
「お前が監獄掌握してたから楽だったわ!! ガハハハ!」
帝国は内部でゴタついているから、ガダクツク監獄周辺への注意がおろそかになっているらしい。
あれかモブ顔の乙女。うまく帝国を堕落させているらしい。正直ざまあみろとしか思わない。
「ヒューゴはスャイハーラに着いたら枷外せるからな!!」
ダールの親父さんは、俺の手枷について一瞥しただけでどういうものか理解した。スャイハーラにも優れた魔道具職人がいるらしく、その者なら外せるという。
「ありがとうございます。これでもそこそこ魔法が使えるので、必要になったら使ってください」
「おお! 期待してる!」
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