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悪役王子だるまにされたけど四肢を取り戻した 10
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「おぎゃー」
サイズは小さいが、ごく普通の人間の赤ん坊が生まれた。おれの娘……むす……こ?
「ついてる」
全裸の赤ん坊には可愛いゾウさんがついていた。
「ドゥルマ、俺の娘だ!」
「……触手、離してあげて」
さっとローブを羽織ってくるところは流石のイリアスだが、赤ん坊を見て困惑している。
「カリデュカはサキュバスだって言ってたよな。男の子みたいだけど」
「世継ぎか……」
「あっ、本当だ。じゃあもう卵産まなくていいんじゃないか?」
「一人で足りるはずがないだろう。だが、元気な子だ。俺と同じ色の瞳だ」
優しい顔でイリアスが赤ん坊を抱き上げる。おれより先に!!
イリアスに抱かれた赤ん坊は驚くほど似ている。赤ん坊の顔なんてみんな同じだと思っていたのに、イリアスが幼いころはこんな風だったのだろうかと思わせる雰囲気だ。
「本当だ、アレで本当に性質が似るんだ……」
「おめでとうございます、ドゥルマ様。王子であらせられるようですが、サキュバスは間違いありません」
存在を忘れかけていたシャイオを見ると、片眼鏡をかけて赤ん坊を見ている。いや、片眼鏡風に巻いているだけの、ただの触手だ。
「鑑定か?」
「触手の能力です」
何ということでしょう、シャイオが触手と融合してマルチ能力者に。便利すぎる。
「サキュバスといっても成分は四分の一ですから、能力が開花しなければ普通の男性として一生を過ごせるのではないでしょうか」
「それだといいな。カリデュカと逆に男性メインのふたなりになるわけじゃない、よな?」
イリアスに抱かれてご機嫌の赤ん坊の股を覗き込んだが、穴があるわけではなさそうだ。
「インキュバスとしての目覚めがなければ大丈夫でしょう」
「カリデュカみたいに能力を使ったら目が覚めるのも相手に可哀想だし、何事も起きないよう見守っていこう」
生まれた命は祝福するだけでいいだろう。このエロBL世界にこんな清らかな生き物がいるなんて、捨てたもんじゃない。今までの苦難が浄化されていくような気分だ。
「ドゥルマ様はお優しい」
「そうだな。この子一人に期待をかけすぎて負担になってはいけないから、これからも頑張ろう」
「私もお手伝いさせていただきます」
良い話だなーで終わらせてくれよ!
……おれの戦いは続く。
サイズは小さいが、ごく普通の人間の赤ん坊が生まれた。おれの娘……むす……こ?
「ついてる」
全裸の赤ん坊には可愛いゾウさんがついていた。
「ドゥルマ、俺の娘だ!」
「……触手、離してあげて」
さっとローブを羽織ってくるところは流石のイリアスだが、赤ん坊を見て困惑している。
「カリデュカはサキュバスだって言ってたよな。男の子みたいだけど」
「世継ぎか……」
「あっ、本当だ。じゃあもう卵産まなくていいんじゃないか?」
「一人で足りるはずがないだろう。だが、元気な子だ。俺と同じ色の瞳だ」
優しい顔でイリアスが赤ん坊を抱き上げる。おれより先に!!
イリアスに抱かれた赤ん坊は驚くほど似ている。赤ん坊の顔なんてみんな同じだと思っていたのに、イリアスが幼いころはこんな風だったのだろうかと思わせる雰囲気だ。
「本当だ、アレで本当に性質が似るんだ……」
「おめでとうございます、ドゥルマ様。王子であらせられるようですが、サキュバスは間違いありません」
存在を忘れかけていたシャイオを見ると、片眼鏡をかけて赤ん坊を見ている。いや、片眼鏡風に巻いているだけの、ただの触手だ。
「鑑定か?」
「触手の能力です」
何ということでしょう、シャイオが触手と融合してマルチ能力者に。便利すぎる。
「サキュバスといっても成分は四分の一ですから、能力が開花しなければ普通の男性として一生を過ごせるのではないでしょうか」
「それだといいな。カリデュカと逆に男性メインのふたなりになるわけじゃない、よな?」
イリアスに抱かれてご機嫌の赤ん坊の股を覗き込んだが、穴があるわけではなさそうだ。
「インキュバスとしての目覚めがなければ大丈夫でしょう」
「カリデュカみたいに能力を使ったら目が覚めるのも相手に可哀想だし、何事も起きないよう見守っていこう」
生まれた命は祝福するだけでいいだろう。このエロBL世界にこんな清らかな生き物がいるなんて、捨てたもんじゃない。今までの苦難が浄化されていくような気分だ。
「ドゥルマ様はお優しい」
「そうだな。この子一人に期待をかけすぎて負担になってはいけないから、これからも頑張ろう」
「私もお手伝いさせていただきます」
良い話だなーで終わらせてくれよ!
……おれの戦いは続く。
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