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悪役王子だるまにされて世界に復讐したかったのに触手が生えてしまう5
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エロBLゲームのモブ不憫受けとして散々な毎日を過ごしているが、生きているしちょっと体力も戻ってきた。移動は無理だけど、身体を起こせるようになっただけでも嬉しい。他人には見せられない姿だけど。
「シャイオ、おれの服はないのか」
「……あり……ます……」
おれの問いに、シャイオは絞り出すような声を出した。ものすごく不本意そうに出してきたのは、袖の短いワンピースのような服だった。短パン履かせるよりはこっちのほうが楽ってことか。でも下着は必要だろう。めくれたら見たほうもトラウマものだろう。何せ足は切断面しかない。
「下着は?」
「……必要でしょうか」
「必要だ」
おれに基本的人権を返せ。だるまで触手憑きなんていう有様だが、王籍が剥奪されていないと言っていたから、今でも身分は第二王子のままのはずだ。さすがに継承権はなくなっているだろうが。兄に万一のことがあって触手憑きだるまが王になるとか、全方位不幸だろう。おれもべつに王になりたい欲はない。責任のある仕事なんて死んでも御免だ。
それがフラグになったのか。
兄が死んだ。完全な不慮の事故だったそうだ。
そして、間抜けな王家はおれの継承権を消していなかったそうで、王太子の地位が回ってきてしまった。おれはだるまの姿で人前に出たくない。だるまで大勢に輪姦されているところは父王も見ていたはずだ。
「まあ、こうなるよな」
「ドゥルマ様のことは私の命にかけてお守りします」
いまは王家から暗殺者が送られてきたのを察知したシャイオが、おれを抱えて逃げている。絶倫なだけあって体力がある。
人目を避けて森の中を進んでいると、廃村にたどり着いた。かろうじて屋根の残っている廃屋に潜りこんで、一息をついた。
「疲れていませんか? 水を探してきます」
抱えられていただけのおれより疲れているはずのシャイオが頼もしい。崩れそうな扉に触れないように出て行く後ろ姿を見送った。
……酷い死に方じゃないなら諦めても良いじゃないか?
シャイオは変態でどうしようもないが、それなりに優秀な魔術師だろう。死んでもおかしくない怪我を一瞬で跡形も無く治せる腕がある。
このおかしな世界ではあいつが標準で、おれが異質だ。本当におれがこの世界の住人なら、シャイオに惚れて良いはずだ。BLなら犯されても相手に惚れてしまうなんてことは多い。
でもおれは、未だに痛みもないのにあいつが憎い。おれの意志を確認しない人間が許せない。触手もそうだ。おれが喚んだからここにいられるのに、主人であるおれを犯してくるから便利さへの喜びも半減以下だ。
「シャイオ、おれの服はないのか」
「……あり……ます……」
おれの問いに、シャイオは絞り出すような声を出した。ものすごく不本意そうに出してきたのは、袖の短いワンピースのような服だった。短パン履かせるよりはこっちのほうが楽ってことか。でも下着は必要だろう。めくれたら見たほうもトラウマものだろう。何せ足は切断面しかない。
「下着は?」
「……必要でしょうか」
「必要だ」
おれに基本的人権を返せ。だるまで触手憑きなんていう有様だが、王籍が剥奪されていないと言っていたから、今でも身分は第二王子のままのはずだ。さすがに継承権はなくなっているだろうが。兄に万一のことがあって触手憑きだるまが王になるとか、全方位不幸だろう。おれもべつに王になりたい欲はない。責任のある仕事なんて死んでも御免だ。
それがフラグになったのか。
兄が死んだ。完全な不慮の事故だったそうだ。
そして、間抜けな王家はおれの継承権を消していなかったそうで、王太子の地位が回ってきてしまった。おれはだるまの姿で人前に出たくない。だるまで大勢に輪姦されているところは父王も見ていたはずだ。
「まあ、こうなるよな」
「ドゥルマ様のことは私の命にかけてお守りします」
いまは王家から暗殺者が送られてきたのを察知したシャイオが、おれを抱えて逃げている。絶倫なだけあって体力がある。
人目を避けて森の中を進んでいると、廃村にたどり着いた。かろうじて屋根の残っている廃屋に潜りこんで、一息をついた。
「疲れていませんか? 水を探してきます」
抱えられていただけのおれより疲れているはずのシャイオが頼もしい。崩れそうな扉に触れないように出て行く後ろ姿を見送った。
……酷い死に方じゃないなら諦めても良いじゃないか?
シャイオは変態でどうしようもないが、それなりに優秀な魔術師だろう。死んでもおかしくない怪我を一瞬で跡形も無く治せる腕がある。
このおかしな世界ではあいつが標準で、おれが異質だ。本当におれがこの世界の住人なら、シャイオに惚れて良いはずだ。BLなら犯されても相手に惚れてしまうなんてことは多い。
でもおれは、未だに痛みもないのにあいつが憎い。おれの意志を確認しない人間が許せない。触手もそうだ。おれが喚んだからここにいられるのに、主人であるおれを犯してくるから便利さへの喜びも半減以下だ。
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