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悪役王子だるまにされて世界に復讐したかったのに触手が生えてしまう3
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その割に最初酷かったけどな。慣らしも慣らしもせずにぶち込まれて、血塗れで犯された恨みは忘れられない。
「普通好きなら優しくするもんじゃないのか?」
「私はドゥルマ様が初めてでしたので、勝手が分からず、手に入れられ喜びのあまり目が眩んでいました。書物で男性同士の交合はああいうものだと読んだもので……」
変態の読む書物がどんなものか気になるが、きっとSM的な何かだったのだろう。本当にこの世界の雑なことといったらない。もうちょい人を思いやれる世界にならないものなのか。
隣国の王子ゲイヴにしても、手に入れるために洗脳するとか人権意識が低すぎる。
触手を召喚したせいで魔力はからっけつだ。もともと少ないのをコツコツ貯めたのに、宿主を犯す触手とかほんと勘弁してくれ。
あーでも、大きな鳥を召喚できたら羽が生えて空を飛べるだろうか。……空飛ぶだるま人間(触手つき)……あとのことは考えないでおこう。
とりあえず体力を回復しよう。なんかもう簡単に死なせて貰えなさそうだし、せめてシャイオの手を借りずに生きられるようになりたい。
「シャイオ……おれは触手じゃない手足が欲しい。おれを想ってくれるなら、お前の癒しの力でどうにかできないのか」
「かわいいのに」
「は?」
「あ、いえ、欠損を補うには膨大な魔力が必要なので、私には無理です」
かわいい? シャイオの野郎、だるま状態をかわいいだと言った。もしかして、おれのこの状態は全部こいつに仕組まれていたんじゃないか?
魔法研究なんてしていた奴だ、おれが魔力を貯めてなにかをしようとしてきたのは気付いていた可能性が高い。触手にしてもこいつのせいで喚び出す羽目になった。
何もかもこいつが。
「魔力を貯められる魔石が見つかったそうなので、手に入れられないか聞いてみますね。今のままでも愛らしいですが、やはりドゥルマ様は手足があった方が美しいですし」
もじもじしながら、チラッチラっとおれを見て顔を赤くしているシャイオ。一瞬膨れ上がった不信感がシュンと萎んでいき、行き場のないやるせなさが全身を支配した。
これだ、この世界の中途半端な優しさ。憎みきれない消化不良な展開。絶望も希望も突き抜けない微妙さ。
もしかしてエロメインのゲームだったから、世界の作り込みが甘いのか? 悪いやつはとりあえず酷い目にあわせとけ、でもゲームだしそこまで酷くしなくても良いよね的な……。まさかな。まさか……。
「普通好きなら優しくするもんじゃないのか?」
「私はドゥルマ様が初めてでしたので、勝手が分からず、手に入れられ喜びのあまり目が眩んでいました。書物で男性同士の交合はああいうものだと読んだもので……」
変態の読む書物がどんなものか気になるが、きっとSM的な何かだったのだろう。本当にこの世界の雑なことといったらない。もうちょい人を思いやれる世界にならないものなのか。
隣国の王子ゲイヴにしても、手に入れるために洗脳するとか人権意識が低すぎる。
触手を召喚したせいで魔力はからっけつだ。もともと少ないのをコツコツ貯めたのに、宿主を犯す触手とかほんと勘弁してくれ。
あーでも、大きな鳥を召喚できたら羽が生えて空を飛べるだろうか。……空飛ぶだるま人間(触手つき)……あとのことは考えないでおこう。
とりあえず体力を回復しよう。なんかもう簡単に死なせて貰えなさそうだし、せめてシャイオの手を借りずに生きられるようになりたい。
「シャイオ……おれは触手じゃない手足が欲しい。おれを想ってくれるなら、お前の癒しの力でどうにかできないのか」
「かわいいのに」
「は?」
「あ、いえ、欠損を補うには膨大な魔力が必要なので、私には無理です」
かわいい? シャイオの野郎、だるま状態をかわいいだと言った。もしかして、おれのこの状態は全部こいつに仕組まれていたんじゃないか?
魔法研究なんてしていた奴だ、おれが魔力を貯めてなにかをしようとしてきたのは気付いていた可能性が高い。触手にしてもこいつのせいで喚び出す羽目になった。
何もかもこいつが。
「魔力を貯められる魔石が見つかったそうなので、手に入れられないか聞いてみますね。今のままでも愛らしいですが、やはりドゥルマ様は手足があった方が美しいですし」
もじもじしながら、チラッチラっとおれを見て顔を赤くしているシャイオ。一瞬膨れ上がった不信感がシュンと萎んでいき、行き場のないやるせなさが全身を支配した。
これだ、この世界の中途半端な優しさ。憎みきれない消化不良な展開。絶望も希望も突き抜けない微妙さ。
もしかしてエロメインのゲームだったから、世界の作り込みが甘いのか? 悪いやつはとりあえず酷い目にあわせとけ、でもゲームだしそこまで酷くしなくても良いよね的な……。まさかな。まさか……。
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