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悪役王子だるまにされて世界に復讐したい6
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「殿下、今日はお客様がお見えです」
シャイオがおれが幽閉されて初めての客とやらを連れてきた。それは、おれが好きだったあの子だった。
人目を避けるようにフードを被り、おれを見て泣き崩れた。
「ドゥルマ様、ごめんなさい、ごめんなさい」
弱った体ではまともな反応もできず、シャイオが彼にどういうことか聞いてくれた。シャイオが初めて役に立った瞬間だ。
「僕は洗脳されていたようなんです。ゲイヴ様を愛していると錯覚させられていました。僕が本当に愛していたのは、ドゥルマ様だったのに」
ゲイヴは隣国の王子だ。俺が犯されているのを見下ろしていたあの野郎。憎しみのまなざしはこの子の心がおれにあると知っていたからだろうか。
ふっと、復讐なんてしなくても誰も幸せになんてなっていないことを理解した。
「シャイオ……」
おれは小さな声でシャイオに指示を出した。それは彼に元通りゲイヴを愛していると思い込ませることだ。
おれはもうこの子を好きじゃないから、おれのところに来られても困る。シャイオは嬉しそうに暗示魔法をかけていた。
「殿下、よろしかったのですか」
「……」
あの子が帰っていき、きっとその行動はゲイヴに知られているのだろうと思った。わざと暗示を外したのは、おれに会ったあの子が自分のもとに戻ってくるか賭けに出たのではないだろうか。
手足もなく犯されつくしたおれは、さぞかし様変わりしていることだろう。現に彼も「愛していた」と過去形で語った。普通に考えて今も愛し続けられるはずがない。人間はそこまで愛を貫ける生き物じゃないだろう。
「私は、殿下が彼とともに生きたいと仰るのではないかと思っていました」
そういえばこいつは態度を変えなかった。むしろ手足のないおれに大興奮していた。特殊性癖なだけだろう。おい、ちんこ舐めるな。
感極まったらしいシャイオが、おれの性器から尻から全て舐めている。あの子を捨ててお前を選んだんじゃないぞ。失った手足は戻らない。あの子を好きだったおれも戻らない。それだけなのに。
「……ん」
性器や穴を舐めた口でキスをされて嫌な気分になる。こいつのこういうデリカシーのない行動が大嫌いだ。
舐められても勃起する力もないおれの可哀想な性器。今世も童貞のまま死ぬしかないのだろうか。フェラはされるのもするのも体験してしまったが、どっちも楽しくなかった。
このまま死ぬの、おれ? 嫌だ。せっかくため込んだ魔力をどうにか使いたい。
「シャイオ……」
「なんですかドゥルマ様」
こいつに聞いても仕方がないけど、話し相手はこいつしかいない。おれ可哀想。ほんとひたすら可哀想なおれ。やっぱりムカつくんだ。この世界に多少の嫌がらせをしてから死んでもいいじゃないか。
「召喚……するなら、なにがいい?」
「……テンタクー」
テンタクーが何かわからないが、少し迷ったシャイオの口から具体的な名称が出てきたのに驚いた。
「テンタクー……?」
それは何かと聞きたかったが、おれの命の限界が来たようだった。肉体に閉じ込められていた召喚術が溢れ出す。指向性を失ってはじけて消えるはずの力は、おれが最期に呟いた言葉を聞き届けた。
シャイオがおれが幽閉されて初めての客とやらを連れてきた。それは、おれが好きだったあの子だった。
人目を避けるようにフードを被り、おれを見て泣き崩れた。
「ドゥルマ様、ごめんなさい、ごめんなさい」
弱った体ではまともな反応もできず、シャイオが彼にどういうことか聞いてくれた。シャイオが初めて役に立った瞬間だ。
「僕は洗脳されていたようなんです。ゲイヴ様を愛していると錯覚させられていました。僕が本当に愛していたのは、ドゥルマ様だったのに」
ゲイヴは隣国の王子だ。俺が犯されているのを見下ろしていたあの野郎。憎しみのまなざしはこの子の心がおれにあると知っていたからだろうか。
ふっと、復讐なんてしなくても誰も幸せになんてなっていないことを理解した。
「シャイオ……」
おれは小さな声でシャイオに指示を出した。それは彼に元通りゲイヴを愛していると思い込ませることだ。
おれはもうこの子を好きじゃないから、おれのところに来られても困る。シャイオは嬉しそうに暗示魔法をかけていた。
「殿下、よろしかったのですか」
「……」
あの子が帰っていき、きっとその行動はゲイヴに知られているのだろうと思った。わざと暗示を外したのは、おれに会ったあの子が自分のもとに戻ってくるか賭けに出たのではないだろうか。
手足もなく犯されつくしたおれは、さぞかし様変わりしていることだろう。現に彼も「愛していた」と過去形で語った。普通に考えて今も愛し続けられるはずがない。人間はそこまで愛を貫ける生き物じゃないだろう。
「私は、殿下が彼とともに生きたいと仰るのではないかと思っていました」
そういえばこいつは態度を変えなかった。むしろ手足のないおれに大興奮していた。特殊性癖なだけだろう。おい、ちんこ舐めるな。
感極まったらしいシャイオが、おれの性器から尻から全て舐めている。あの子を捨ててお前を選んだんじゃないぞ。失った手足は戻らない。あの子を好きだったおれも戻らない。それだけなのに。
「……ん」
性器や穴を舐めた口でキスをされて嫌な気分になる。こいつのこういうデリカシーのない行動が大嫌いだ。
舐められても勃起する力もないおれの可哀想な性器。今世も童貞のまま死ぬしかないのだろうか。フェラはされるのもするのも体験してしまったが、どっちも楽しくなかった。
このまま死ぬの、おれ? 嫌だ。せっかくため込んだ魔力をどうにか使いたい。
「シャイオ……」
「なんですかドゥルマ様」
こいつに聞いても仕方がないけど、話し相手はこいつしかいない。おれ可哀想。ほんとひたすら可哀想なおれ。やっぱりムカつくんだ。この世界に多少の嫌がらせをしてから死んでもいいじゃないか。
「召喚……するなら、なにがいい?」
「……テンタクー」
テンタクーが何かわからないが、少し迷ったシャイオの口から具体的な名称が出てきたのに驚いた。
「テンタクー……?」
それは何かと聞きたかったが、おれの命の限界が来たようだった。肉体に閉じ込められていた召喚術が溢れ出す。指向性を失ってはじけて消えるはずの力は、おれが最期に呟いた言葉を聞き届けた。
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