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第二章 探り合い
探り合い(後・☆)
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リクエストに応えて腰の動かし方を少し変えてみる。外の弱いところを相手の身体に擦り付けるようにすると気持ちいいことは、今までの経験でわかってる。
「ん……っ」
「美波、さっきよりずっといい顔してる。そのまま続けてみて」
続けるうちに背中がぞくぞくしてきて一瞬身体が揺らぎ、爽太のおなかの上に乗せた手に力が入る。
爽太はその手を軽く持ち上げるようにしながら握ってくれた。
「爽太、指」
「大丈夫。ちゃんと支えてるから」
痛めていない指はぴったりと私の手の甲に触れているのに、それ以外はさっきと同じように肌に当たらないように離されている。
……爽太、すごく気を遣ってくれてる。
そう思ったらなんだか急に胸とおなかの奥がせつなくなってきて、その感覚に衝き動かされるようにして腰を揺らす。
次の瞬間、下からぐっと突き上げられてせつなさが一気に消し飛んだ。
「や、だめ、動かないでっ」
「こうした方がどっちも気持ちいいのに、なんで?」
「だって、こんなの、したことな……」
この体勢で動かれたことなんてない。動くのは上にいる私だけのはず、なのに。
爽太が動きを止め、何かを探るような目で私を見上げる。けれどもそれはほんの一瞬のことで、すぐに和らいで甘い色が浮かぶ。
「だから、今から俺とするんだよ」
もう一度下から、今度はさっきよりも軽めに奥に触れられる。はぁっ、と吐息を漏らす私に爽太が優しい声で語りかけてきた。
「動けそうなら、さっきみたいにやってみて。俺も時々ちょっかい出すから」
そうするのが『どっちも気持ちいい』と言われてしまったら頑張るしかない。
意を決して動きを再開させる。くちゅ、くちゅという音に合わせ、なくはないけどあるとも言いがたい胸のふくらみが一定のリズムで揺れる。
「ん、ん……きゃっ」
それが、下にいる爽太の動きで乱された。仕返しに前後だけじゃなく上下の動きを追加してこっちからもちょっかいを出してみる。
「こら」
「好きなように、動いて、いいんでしょ」
爽太が楽しそうに笑って腰を揺らす。まだまだ余裕がありそうな顔がどう変わるのか見たくておへその下に力を入れ、自分の中にいる爽太をぎゅっと包む。
こじ開けるように奥まで捩じ込まれ、今度は勝手にそこが狭まった。
「っ、ぁあ」
「じゃ、こっちも遠慮なくいかせてもらう」
『時々』『ちょっかい出す』はずのそれが、次第に『絶え間なく』『ガンガン突き上げながら捏ねられる』に変わってくる。そうされるとこっちは動くどころじゃなくなってしまって、爽太の手を支えに身体を起こしているのが精一杯。
でも、そろそろそれすらできなくなりそうで。
「や、そーた、もうむり……っ」
一番奥を抉られて息が詰まる。全身に入った力が一気に抜けて、繋いだ手が緩む。
ぐらりと揺らいだ身体を抱きとめられるのと同時にもう一度奥を突かれて、私は慌てて爽太にしがみついた。
「自分が先にイった時のこと考えてなかったでしょ。――詰めが甘いよ、美波」
身体を起こして私を抱きしめた爽太が耳元で囁く。そのまま下から揺さぶられてまた高いところまで押し上げられる。すぐ近くで聞こえていた爽太の呼吸が一瞬乱れ、狭くなった私の中に埋め込まれたものが脈打つ。
それが治まったところでまた声が聞こえてきた。
「美波、ちょっとだけ動け……なさそうだな」
私をゆっくりとベッドに転がしながら爽太が離れていく。ゴムの先端に溜まったものがずるり、と抜け出す感覚があったということは。
……ゴム、無事だね。
爽太は私の脚の間をティッシュで軽く拭ってから自分の後始末を済ませ、まだ少しぼんやりしている私の横に寝転がった。布団の中で抱き寄せられてぴったり身体をくっつけたまま余韻に浸るのは心地いいけれど。
「……なんか、悔しい」
「なんで?」
「返り討ちに遭ったから」
こっちから仕掛けたくせに主導権を奪われてあっけなくイかされてしまったのだから返り討ち以外の何物でもない。
爽太がくくっと笑う。
「ちゃんと気持ちよくするって言ったからには俺も頑張らないと」
「……言ってた、ね」
「それに」
おでこにキスを落とした唇が耳元へと移動してくる。
「あんなにやらしくてかわいいところ見せられたら、こっちも動きたくなるに決まってる」
優しくて甘い声で囁かれるのが恥ずかしくて照れくさくて、私は爽太にしがみついて目を閉じる。
次の瞬間、頬を親指でぐりぐりと押された。
「このまま寝ない。せっかく枕買ったんだからちゃんと使おう。あと、汗かいたからシャワー浴びるよ」
「……無理」
あれだけ脚酷使したのに降りてシャワーとか絶対無理。おなかにも背中にも力入ってたから、明日は寝違えじゃなくて全身の筋肉痛で悶えるのは間違いない。
「下まで連れてって」
「それは無理」
「えー」
「担いでもいいなら連れてくけど?」
その言葉に、コントラバスを担ぐようにしながら舞台裏の狭い通路を進んでいた高校時代の爽太の姿を思い出す。そういう時は手が空いている他の人が弓や譜面台を持ってあげていて、私もよく一緒に移動していた。
「私は楽器か」
「じゃあ、もっと上手く鳴らせるようにたくさん練習しないとな」
爽太が含みのある視線を向けてくる。
何を言いたいのかは、雰囲気で何となくわかった。
「……お手柔らかにお願いします」
「ん……っ」
「美波、さっきよりずっといい顔してる。そのまま続けてみて」
続けるうちに背中がぞくぞくしてきて一瞬身体が揺らぎ、爽太のおなかの上に乗せた手に力が入る。
爽太はその手を軽く持ち上げるようにしながら握ってくれた。
「爽太、指」
「大丈夫。ちゃんと支えてるから」
痛めていない指はぴったりと私の手の甲に触れているのに、それ以外はさっきと同じように肌に当たらないように離されている。
……爽太、すごく気を遣ってくれてる。
そう思ったらなんだか急に胸とおなかの奥がせつなくなってきて、その感覚に衝き動かされるようにして腰を揺らす。
次の瞬間、下からぐっと突き上げられてせつなさが一気に消し飛んだ。
「や、だめ、動かないでっ」
「こうした方がどっちも気持ちいいのに、なんで?」
「だって、こんなの、したことな……」
この体勢で動かれたことなんてない。動くのは上にいる私だけのはず、なのに。
爽太が動きを止め、何かを探るような目で私を見上げる。けれどもそれはほんの一瞬のことで、すぐに和らいで甘い色が浮かぶ。
「だから、今から俺とするんだよ」
もう一度下から、今度はさっきよりも軽めに奥に触れられる。はぁっ、と吐息を漏らす私に爽太が優しい声で語りかけてきた。
「動けそうなら、さっきみたいにやってみて。俺も時々ちょっかい出すから」
そうするのが『どっちも気持ちいい』と言われてしまったら頑張るしかない。
意を決して動きを再開させる。くちゅ、くちゅという音に合わせ、なくはないけどあるとも言いがたい胸のふくらみが一定のリズムで揺れる。
「ん、ん……きゃっ」
それが、下にいる爽太の動きで乱された。仕返しに前後だけじゃなく上下の動きを追加してこっちからもちょっかいを出してみる。
「こら」
「好きなように、動いて、いいんでしょ」
爽太が楽しそうに笑って腰を揺らす。まだまだ余裕がありそうな顔がどう変わるのか見たくておへその下に力を入れ、自分の中にいる爽太をぎゅっと包む。
こじ開けるように奥まで捩じ込まれ、今度は勝手にそこが狭まった。
「っ、ぁあ」
「じゃ、こっちも遠慮なくいかせてもらう」
『時々』『ちょっかい出す』はずのそれが、次第に『絶え間なく』『ガンガン突き上げながら捏ねられる』に変わってくる。そうされるとこっちは動くどころじゃなくなってしまって、爽太の手を支えに身体を起こしているのが精一杯。
でも、そろそろそれすらできなくなりそうで。
「や、そーた、もうむり……っ」
一番奥を抉られて息が詰まる。全身に入った力が一気に抜けて、繋いだ手が緩む。
ぐらりと揺らいだ身体を抱きとめられるのと同時にもう一度奥を突かれて、私は慌てて爽太にしがみついた。
「自分が先にイった時のこと考えてなかったでしょ。――詰めが甘いよ、美波」
身体を起こして私を抱きしめた爽太が耳元で囁く。そのまま下から揺さぶられてまた高いところまで押し上げられる。すぐ近くで聞こえていた爽太の呼吸が一瞬乱れ、狭くなった私の中に埋め込まれたものが脈打つ。
それが治まったところでまた声が聞こえてきた。
「美波、ちょっとだけ動け……なさそうだな」
私をゆっくりとベッドに転がしながら爽太が離れていく。ゴムの先端に溜まったものがずるり、と抜け出す感覚があったということは。
……ゴム、無事だね。
爽太は私の脚の間をティッシュで軽く拭ってから自分の後始末を済ませ、まだ少しぼんやりしている私の横に寝転がった。布団の中で抱き寄せられてぴったり身体をくっつけたまま余韻に浸るのは心地いいけれど。
「……なんか、悔しい」
「なんで?」
「返り討ちに遭ったから」
こっちから仕掛けたくせに主導権を奪われてあっけなくイかされてしまったのだから返り討ち以外の何物でもない。
爽太がくくっと笑う。
「ちゃんと気持ちよくするって言ったからには俺も頑張らないと」
「……言ってた、ね」
「それに」
おでこにキスを落とした唇が耳元へと移動してくる。
「あんなにやらしくてかわいいところ見せられたら、こっちも動きたくなるに決まってる」
優しくて甘い声で囁かれるのが恥ずかしくて照れくさくて、私は爽太にしがみついて目を閉じる。
次の瞬間、頬を親指でぐりぐりと押された。
「このまま寝ない。せっかく枕買ったんだからちゃんと使おう。あと、汗かいたからシャワー浴びるよ」
「……無理」
あれだけ脚酷使したのに降りてシャワーとか絶対無理。おなかにも背中にも力入ってたから、明日は寝違えじゃなくて全身の筋肉痛で悶えるのは間違いない。
「下まで連れてって」
「それは無理」
「えー」
「担いでもいいなら連れてくけど?」
その言葉に、コントラバスを担ぐようにしながら舞台裏の狭い通路を進んでいた高校時代の爽太の姿を思い出す。そういう時は手が空いている他の人が弓や譜面台を持ってあげていて、私もよく一緒に移動していた。
「私は楽器か」
「じゃあ、もっと上手く鳴らせるようにたくさん練習しないとな」
爽太が含みのある視線を向けてくる。
何を言いたいのかは、雰囲気で何となくわかった。
「……お手柔らかにお願いします」
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