【R18】騎士の涙、乙女の純愛

福永涼弥

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騎士の涙(前・☆)

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 エステルが恐怖や痛みを感じたら必ず止める。
 そんな新しい約束と一緒に指切りを交わした後、セルファースはエステルに口づけをした。何度かそっと触れ合わせてエステルの緊張を解してから涙の味がかすかに残る下唇をやわやわと喰み、拒まれないことを確認してから舌先を挿しいれる。
 そうして少しずつ慣らすうちに、口づけは舌を絡めあうものへと変化していった。拙いながらもセルファースのやり方を真似るようにするエステルを愛しく思うのと同時に、この行為を受け入れてもらえているのだという安堵がこみ上げてくる。
 口づけを終え、セルファースはエステルの服に触れた。

「……脱がせていいかな」

 その問いかけにエステルは小さく頷いてくれた。丈の長いワンピースを頭から抜き取り、現れた素肌に唇を寄せる。本当はそのまま痕を、愛しているという証をつけたいところだったがエステルに痛みを与えるのではないかと思ったらできなかった。

 ……そんなことを気にせずにエステルに触れられる日は、いつか来るのだろうか。

 セルファースは片手でエステルの背中を支え、もう片方の手を肌着の中に滑りこませた。
 柔らかな膨らみに指先が触れた途端にエステルの身体がこわばる。胸に触れている手はそのまま、セルファースはエステルの背中をゆっくりと撫でた。
 ふぅ、と息が吐き出され、エステルの身体のこわばりが緩む。肌着を脱がせて胸の先を口に含み舌先で軽く転がすようにするとエステルからかすかな吐息が漏れる。それを繰り返すうちに吐息は小さな声に変わっていき、エステルの身体からどんどん力が抜けていく。
 セルファースはエステルの下穿きに手を添えて問いかけた。

「いい?」

 エステルの瞳に躊躇いが見えた。不安げに両手を握り合わせたエステルにセルファースはできるだけ穏やかな声で語りかける。

「君が嫌ならしない。約束する」

 ――もう二度と、約束を破ったりはしないから。

 エステルが迷いを振り切るかのように首を縦に振った。
 セルファースはエステルの下穿きを脱がせて寝台に横たえ、指先をエステルの中心へと近づけた。まだ閉ざされたままのそこをそっと撫で、意を決して合わせを開く。
 エステルの身体は、セルファースの愛撫に応えて潤み始めていた。

 でも、まだだ。身体でも、心でも俺を受け入れたいと思ってくれてからでないとこの先には進めない。

 セルファースは自分の親指を舐めて濡らし、合わせの一番上にあるエステルの小さな粒に触れた。
 エステルの唇から少し甘さを含んだ声が漏れた。その声を更に引き出すためにセルファースはエステルのそこを優しく刺激していく。声にはっきりとした甘さを感じるようになったところでその下の潤んだところに指を添える。

「嫌だと思ったら、すぐに教えて」

 エステルが頷いた。
 セルファースはエステルの中へ少しずつ指を沈めていった。ふぅ、と短い呼吸を繰り返しながらエステルがそれを受け入れていく。エステルの行動が痛みをやり過ごすためのものだと気づき、セルファースは叫びだしたくなる衝動を堪えようとエステルの唇を奪い、自分の口を塞いでしまう。
 エステルの身体と記憶に痛みが刻み込まれていることがどうしようもなく悲しくて、悔しかった。
 口づけを止めてセルファースはエステルの中を探る。痛み以外の感覚のありかを早く見つけてエステルに教えてあげたい、そう思いながら潤んだ内襞を指の腹でなぞり、エステルの反応を見極めていく。

「……っ」

 エステルが身体を捩る。セルファースの指に熱いものが絡みついてきたのがわかった。

「エステル。ここが君の気持ちいいところみたいだ。――君は今、俺に愛されて気持ちよくなってるんだ」

 そこを集中的に触りながらセルファースはエステルに語りかける。触れられることが気持ちいいことなのだと、そうさせているのは他の誰でもなく自分なのだとエステルの身体と心に言い聞かせ、痛みを伴う記憶を塗り替えるために。
 エステルの口から小さな声が発せられた。

「……もっと、さわって……っ」
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