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おっさん、王国へ行く

依頼

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「僕としては、この国の民には平等に機会を与えてあげたいんだよね。アッパークラスとかミドルクラスとか関係なく、親がいようがいまいが」
「アッパー……?」
「アッパークラスは貴族、ミドルクラスは貴族の中でも長男以外が分類されることが多いです。裕福な一般市民がミドルクラスとして扱われることもありますね」

 シャーロットが補足説明をしてくれるが、いまいちよく分からない。
 よっぽど俺の顔に疑問符が浮かんでいたのか、王が突然笑い出す。

「あぁいいよ、シャーロットちゃん説明してあげて。ごめんねジオくん、いきなり呼び出して違う文化の話をされてもよく分からないよね。王反省!」
「あ、ありがとうございます……?」
 
 王が許しをくれたのでシャーロットの解説をじっくり聞いてみたが、アッパークラスは説明のまま貴族。
 だが、貴族の中でも親の財産を継ぐことができるのは長男のみで、次男からは自ら働く必要があるらしい。
 また、親の財産を継げないという関係上、長男以外は財力が著しく落ちてしまうため、扱いを一つ降格させてミドルクラスとすることが多いようだ。
 一方、一般市民の中には運や才能に恵まれて、アッパークラスに迫る財力を持つものがいるらしい。
 彼らは血筋が足りていないのでアッパークラスにはなれないが、ミドルクラスに昇格することはできるようだ。
 つまり、ミドルクラスには落ちぶれた貴族と波に乗っている一般市民が混在していることになる。
 ミドルクラスの貴族は資金の援助を受け、市民は資金を援助する代わりに貴族の人脈を得る。
 両者は互いに利用し合ってのしあがろうとしているらしい。
 そして、エドワード王はアッパークラスだろうがミドルクラスだろうが、才能があるものが上にいける国を目指しているようだ。
 しかし現状、地域によっては重税にあえぐ民がいて、貧富の差は埋まっていない。

「……どうして王は理想を掲げながら貴族に媚を売っているんだ、って思ってるよね?」
「……はい」

 王の間に来る前のホールにいたのは全員が貴族だろう。
 彼らは、この世には苦しみなどないとでもいうような呑気な顔で談笑していた。
 王は彼らをどうにかしたいのに、どうして機嫌を取るような真似をしているのか。

「僕は現在の制度を変えたい、大幅な改革を目指してはいるんだ。でも、アッパークラスたちはそれを望んでいない。彼らは基本的には気ままな暮らしをしているけど、権力自体は相当なものなんだよ」
「つまり、貴族たちと対立すると王の立場が危うくなると?」
「そういうことよ! 改革のためには貴族を敵に回さないといけない。でも貴族を敵に回すとそもそも僕が王座から降ろされてしまう危険性がある! だから堂々と動けないのよ!」

 隣でルーエが頷いている。
 俺も少しは彼の言っていることを理解できている……たぶん。

「そこで、今回僕がジオくんを呼んだのが、解決策を考えてもらいたいからなんだよね!」
「……私が、ですか?」

 こんな田舎のおっさんに一国の問題を任せるとか、この人正気か?

「ジオくんは闇討ちされないくらい強くて、その上この国の常識に染まっていないでしょ? 書の守護者様って呼ばれるくらいだから賢いだろうし、そうでしょシャーロットちゃん?」
「それはもう! 先生はこの世で一番賢いお方です!」
「なら頼むしかないでしょ! ジオくんお願い!」
「そんな丸投げされても……」

 魔物を倒すのとは訳が違うだろう。

「もちろん、こういう場所に行って感想を教えて欲しいっていうのがあるのよ。ジオくんにはしばらく滞在してもらって、観光がてらいろいろ見て回ってくれないかな?」
「いやぁ……あんまり気乗りはしないっていうか」
「そうかぁ……残念だなぁ。限られた王族しか飲めない貴重なワインがあって、それをお礼にしようと思ってたんだけど――」
「やります! ぜひやらせてください!」

 山にいた時には酒なんて幻の存在だった。
 マルノーチで何度か口にして、俺は心底感動したのを覚えている。
 その中でも最高級のものがもらえるとあれば、国の問題だろうがなんだろうがチャレンジするしかない。
 王は俺の変わりようをみて満足そうに頷き、口を開いた。

「それじゃあまず、エドガーという小説家を訪ねてもらおうかな」
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