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9話 小さな白い玉
作戦の全貌
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楕円形の窓から望む李依の視界には真っ青な空、さらにその下を埋め尽くす雲海。そして張り出した主翼が彼女の居場所を決定づけた。
「ブレックファーストの後のコーヒーは格別よね。しかもそれが空の上でっていうんだから最高よね、界人」
「そうですね。でも主任それお代わり何杯目ですか?」
「いいじゃない、お代わり自由なんだから」
「それより界人、いつまでシートベルトしてるのよ、あなたもしかして怖いの?」
その時、遥のコーヒーカップがソーサーの上でカタカタと揺れた。そこから先は一瞬の出来事だった。けたたましい爆発音。それとほぼ同時に猛烈な爆風が機内を襲った。シートベルトが辛うじて私と座席を繋ぎ止めていたが、機体と座席がいつ分離してもおかしくない状況である。隣に座っていたはずの遥は気付けば数メートル先まで吹き飛ばされ、すでに気を失っているようだ。そして私も覚悟を決めた。
「界人おじさん、すごいよ! どうやったんだい!!」
「記憶の干渉における時間の非連続性理論の応用だよ。あの日、私は外の世界からヒコウキノルナと言う神の啓示を受け取った。この荒唐無稽な啓示に遥を従わせる為とはいえ私は決して李依には見せることのできないある言動を取ってしまった」
遥は一人で搭乗ゲートに向かって歩き出した。私は遥のところまでかけより後ろから強く抱きしめた。
「遥、結婚しよう……」
「どうしても私を救いたいという純真無垢な李依の願いを目の当たりにしたあの時、その直後に起こり得るあの日の言動をどうしても李依に見せたくないとう強烈な感情に襲われた。そんな言動は取れなかったのだと自分の記憶を意図的ではなく衝動的にすり替えることができた。思い違いという行為の結果、私たちは神の啓示には従わず飛行機に搭乗することになった。つまり、世界は修正されなかったってことさ」
目を開くと、そこには異様な光景が広がっていた。まるで、時間が止まっているようだった。カップからこぼれ落ちたコーヒーの雫が空中に留まっている。実際にはスローモーションなのだろう。だが、余りにも超低速のため、時が止まって見えるのだ。
「おじさん、ここからは時間との戦いなんだ。カップからこぼれ落ちたコーヒーの雫が床に落ちるまでに、乗客の半数の魂を取り込んでもらわないと……」
界人は信人のこの発言で常軌を逸した作戦の全貌を理解した。
「どんな思考回路してるんだ!? 正気の沙汰とは思えない!! 信人、お前!! やっぱりどうかしてるぞ!!」
「ブレックファーストの後のコーヒーは格別よね。しかもそれが空の上でっていうんだから最高よね、界人」
「そうですね。でも主任それお代わり何杯目ですか?」
「いいじゃない、お代わり自由なんだから」
「それより界人、いつまでシートベルトしてるのよ、あなたもしかして怖いの?」
その時、遥のコーヒーカップがソーサーの上でカタカタと揺れた。そこから先は一瞬の出来事だった。けたたましい爆発音。それとほぼ同時に猛烈な爆風が機内を襲った。シートベルトが辛うじて私と座席を繋ぎ止めていたが、機体と座席がいつ分離してもおかしくない状況である。隣に座っていたはずの遥は気付けば数メートル先まで吹き飛ばされ、すでに気を失っているようだ。そして私も覚悟を決めた。
「界人おじさん、すごいよ! どうやったんだい!!」
「記憶の干渉における時間の非連続性理論の応用だよ。あの日、私は外の世界からヒコウキノルナと言う神の啓示を受け取った。この荒唐無稽な啓示に遥を従わせる為とはいえ私は決して李依には見せることのできないある言動を取ってしまった」
遥は一人で搭乗ゲートに向かって歩き出した。私は遥のところまでかけより後ろから強く抱きしめた。
「遥、結婚しよう……」
「どうしても私を救いたいという純真無垢な李依の願いを目の当たりにしたあの時、その直後に起こり得るあの日の言動をどうしても李依に見せたくないとう強烈な感情に襲われた。そんな言動は取れなかったのだと自分の記憶を意図的ではなく衝動的にすり替えることができた。思い違いという行為の結果、私たちは神の啓示には従わず飛行機に搭乗することになった。つまり、世界は修正されなかったってことさ」
目を開くと、そこには異様な光景が広がっていた。まるで、時間が止まっているようだった。カップからこぼれ落ちたコーヒーの雫が空中に留まっている。実際にはスローモーションなのだろう。だが、余りにも超低速のため、時が止まって見えるのだ。
「おじさん、ここからは時間との戦いなんだ。カップからこぼれ落ちたコーヒーの雫が床に落ちるまでに、乗客の半数の魂を取り込んでもらわないと……」
界人は信人のこの発言で常軌を逸した作戦の全貌を理解した。
「どんな思考回路してるんだ!? 正気の沙汰とは思えない!! 信人、お前!! やっぱりどうかしてるぞ!!」
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