うちの娼館に元貴族で記憶喪失な新人くんが入店したが懐くを通り越してきた

清田いい鳥

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14 真の男のなかにはひとりの子供が隠れている。この子供が遊びたがるのだ

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 遠慮がちにいいですか、と言いながら潤んだ目をしてワガママを言っていたあの子を返してほしい。あの子をどこへやったのだ。艶のある黒髪を揺らして、目の端や頬を赤く染めて、上目遣いで僕を見ていたあの子は。

「ここにいるけど。俺がリカルド・ワイエルシュトラスですが?」
「誰だよ! 家名が違うじゃないか、あっ、んむ…………っそれダメ、ずるいっ」

「俺は一旦離籍してるから。作り直した。王様がそれでいいんじゃないって。ほら、脚閉じないで」
「ふ、フランクな……、んっ……くそう、上手いな……君ほんと上達したね……」

「レオさんのここに挿れたくて、何度も何度も想像したからね。客を全員レオさんだと思ってやった。いい練習になったよ。ただ細かく分析してると人の身体の個人差がよく見えてくるから萎えそうになったけどね。そこは自慢の記憶力で補った。思わず突っ込んじゃったときの鮮明な記憶でね」
「お、お客さんを練習台に……、それに突っ込んじゃった、じゃないよ、強姦だよっ、あんなのっ」

 リカルドは学習意欲が凄かった。彼は学園に入る前からこうだったらしい。これは何だ、どうなるのだと気になったら止まらない。邸の広い庭や噴水なんかを利用して、家庭教師の魔術師からまだ教わっていないはずの危険な実技を予習と称して繰り返していたそうだ。よく命があったな。

「強姦とか、興奮すること言わないでよ。あーでもこれもそうかな。出資者だからって自分が雇った店主を脱がして脚を広げて犯してる。でもいいんだよね。出資者になったらねって言ったもんね、レオさんが。じゃあ合意だね」
「いやっ、そ、それはっ……でもっ……あっ!! あっあっあっ、あっ、」

「でも、じゃないよ。そもそも出資者になる前からもう何度もシたじゃないか……はあ、これからレオさんの性欲を管理するのは俺なんだ。楽しみだなあ。明日、結婚証明書提出しに行くから。わかった? ほら、言って、わかった?」
「わっ…わかっ…、ん、あ、あっ…………!! わかった! わかっ…あ!!」

 頭の回転がいいからか、行動も早い。学園で身につけられることは大体先回りしていたので、卒業相当の学力はあるらしい。『あとは免許取りに行くだけ』と言っていた。仕事上、箔がつくから取りに行くと。そんな、忘れ物を取りに行くみたいな気軽さで。

「良さそうな相手がいたら、キスなんかをしてる最中に魔力をめいっぱい流してみろって先輩が言ってたのも思い出した。無意識に実行してたんだな。ラベルの剥がれた記憶の引き出しに入ってたらしい」
「せ、先輩…なんてことを……あっ、それ無理! 無理いい! ああっ、あん! あん!」

 触れたときに稲妻のような衝撃が走る。どうにも目で追ってしまう。いい匂いがする気がする。どうにかして触りたい。そういったやけに気になる相手に口づけ、閨に引きずり込むことに成功したら。学園では勉強以外のことも覚えてきてしまったらしい。

「俺は落馬したとき欠線した。魔力回路の分断だ。完全に千切れはしないが糸一本で繋がってるような状態。これを治すには外から来る別の魔力が必要だが、ある程度相性が良くないと駄目だ。馴染みが悪い。治療院で治してはもらったが、あと一押しが必要だった。で、俺にとっての極上の魔力はあなたが持っていたわけ」
「ぼ、僕、学園行ってないから理解が……っ、あ、あ、もう、そこ揉まないで、リカルド、リカルドくんっ」

 汗で髪を張り付かせ、完全に据わった目をしているのに、彼の口だけは理路整然と言葉を紡ぎ続ける。口ごもったり、拗ねた子供のようなことばかり言っていたあの子とはまるで別人だった。

 その知らない男が触れてくるたびにピリピリと走る何か。背中が反って太股が痙攣する。全身が性感体になってしまい、休みたくても身体がそれを許してくれない。

「ゆ、夕方にはアーロンと会うんでしょ、体力使い切っちゃうよ、ね? もう休もう、ほら書類とか、しっかり作らなきゃいけないんでしょ。ね? ……リカルド?」
「……あいつの名前出さないでくれる。そうだ、何回ヤったか俺聞いたよね。答えてもらってねえなあ。なあレオさん、何回ヤって何回イったの。教えて、ほら」

「えっ……あ、あ、あ、あ! わ、わかんな、ごめ、だって、だって、…っんあ!! ああ!! ゆるして、ゆるして、ごめんなさいいい!!」

 手を変え品を変え体位を変え、リカルドはお店で覚えたことを思いっきり僕に試した。ここまでやるお客さんは記憶を浚えどいなかった。貸切に出来るのはお金持ちのご年配ばかりだったし、少し若い人が相手のときは時間制限があったからだ。ここまで気持ちいいこともなかった。魔力の多い魔術師のお客さんともこんなことにはならなかった。

「…すげえ。ベットベトのテッカテカじゃん。挿れるたび前から後ろから出てくるよ。わかる? ごめんねレオさん、これ見てたら永久に興奮しちゃう。興奮の永久機関」
「ん、…あ、…わかんな、…わかんないよお、時間、遅れちゃうよお…、あ…、あ…、」

 唇が腫れるほど吸われ、余すところなく全身を舐められ、指を舐られ首を噛まれ、しつこく乳首を弄られて引っ張られたと思ったら腰を掴まれて打ちつけられ、脚を持たれてひっくり返され。またのし掛かられ。

 何度も絶頂を迎え、頭を真っ白にさせられ、火花を見て、ふと気づくとまた男の腕の中にいる。あのね、僕はね、君より年を取っているんだ。君とは基礎体力が違うんだよ。体力は年を取るごとにゆるい坂道状じゃなくて、階段状にガクンと落ちていくんだよ。知らないだろ。これだから若者は。



 何度出したかわからない。リカルドは長く息を吐いて僕を腕に乗せ寝転んだ。終わったらしい。約束の時間まであと二時間。余裕を持って出られるように調整していたな。しかしベッドに連れ込まれたときは確か午前中で…逆算したくない。

「どうするの。僕はもう歩けないよ。明日の役所は延期だね」
「馬車を呼ぶから問題ない。窓口まで抱えていくさ」

「やめてください。杖をついても歩いて行く」
「ええ? 俺に縋りなよ。その方が可愛いじゃない」

「何がだよ。君はあんなに可愛かったのに…返してよ僕のリカルドくんを」
「ぶはっ、可愛いと思ってくれてたの。そりゃ嬉しいな」

「そうだよ。おめめうるうるさせてさぁ、ちょっともじもじしながら何か言いたげにしてるのとか、ほんとすっごく可愛いかった。もう一回やってみてよ」

 リカルドは手を胸の辺りに置いて、何かを思い出すような顔をして停止した。…………長いな。



「駄目だ。思い出せない。ご愁傷様。かつてのリカルドは死んだ」
「リカルド…いい子だったのに……」

 リカルドは遠い目をする僕に目線を寄越し、わはは、と鋭い犬歯を見せて豪快に笑っていた。




────────────────────

周回遅れでほとんど歩いている子をがんばれー!と応援してるうちにどんどんペースを上げてきて、ラリアットされたかと思ったら誘拐されていた系小説をここまで読んでくださりありがとう!美しいお嬢さん!

そのうちまた何か出すからね!ん?もういいって?ノンノン、いけないよーお嬢さん。私、拉致監禁犯になっちゃうよー。

衛兵さんこっちです、と叫びたくなったお嬢さんはエールと、お気に入りユーザー登録お願いしまーす!愛してるよ!またねー!

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感想 2

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みんなの感想(2件)

ミア
2023.05.04 ミア

チョロインもといヒロインがいい塩梅にチョロくてこりゃあ可愛がりたくなるじゃろうてと言う気分で読ませていただきました!

リカルドくんを落っことした飛馬は途中で賄いになった個体とは別ですかね?さらっと復讐的なやつなのかなと笑
何にせよ愛でてよし食べてよしとはまさに鳥であり馬であるなぁと人でなしな事を感じました
私、鳥も馬も好きなんですよ!この書き方じゃ信憑性ゼロですが

次回作も楽しみにしてます!今回も読ませて頂きありがとうございました!!

2023.05.04 清田いい鳥

ありがとう美しいお嬢さん!確かにチョロい。だが書いててほんと楽しいです笑

落馬の馬と食べた馬は別馬…いや、何も考えていませんでした!!(大声)
一応ポルシェ〜それ以上の価格設定なんですが、報復で食らったってことにしてもクレイジーでいいですね。金持ち怖、みたいなね。

鳥さんが好き、ってことはつまり私が好き、と同義ですね!(違う)
またいらしてくださいね!お待ちしてまーす!

解除
tea
2023.05.03 tea

清田いい鳥様のヒロイン(?)ちゃん達は、いつもせっせせっせと健気に一生懸命フラグを立てて本当に可愛いですね。
そしてスパダリさん達がしっかりその旗を回収して優しく美味しくいただいていくお約束が流れるようにスムーズで、もぉ本当に素晴らしいなと思っています(*^_^*)

後書きも毎回楽しみにしてます。
あとサブタイの最後を格言にして、ガッチガッチに外堀埋めて逃げらんないよう囲い込んだスパダリさん達の執着を、なんかいい話風にごまかしてある所もめっちゃ好きです☆

次作も楽しみにしてます。

2023.05.03 清田いい鳥

ありがとう美しいお嬢さん!可愛いのはあなただよ!
いやあコメントに母性を感じるなあ。ちょっと膝貸してもらえませんか。ついでに耳かきしていただけたらまたいい話書ける気がするなぁ〜(何歳だよ)

ふふ、ごまかしに気づかれましたか。ヒロインちゃんの『そういう話じゃなくない!?』の副音声を拾っていただき感無量です。是非また見てね!お待ちしてまーす!

解除

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