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17 もしかして:魔力酔い
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旅の開放感は人を変える。
日が沈み、お風呂に入ったあと、そういうことになる流れにもうなってしまっている。最初は優しすぎるくらいに優しい彼の手つきは次第に激しくなってゆき、前は触れることがなかったところに迷いなく手を差し込み、ゆるゆると刺激を与えられる。
「…匂いをつける、なんてな。白状するけど、正直言い訳だった。この、甘くて気持ちの良くなる匂いをめいっぱい吸い込んで食べたかった」
四つん這いにされ、中心は彼の手で支配された。彼のものが臀部の間を行き来している。何の予告もなく挿れられてしまうかも、という怖さが半分期待に変わっている。どれほど痛いか、苦しいかなんてわからないのに、きっと気持ちのいいことだと身体が期待してしまっている。
「あんたは自分のことを大人だなんて言うが、頭では覚えていても心がそれを覚えられない。もう一つ白状すると、俺の心はこの罪悪感を背徳感へとすぐ変換しようとしてしまう。いけないことだと思っているくせに、いけないことをしたがっている自分もいるんだ」
最初は舐めていた首筋も、気がつけば噛む仕草へと変わっている。痛くないが歯を当てられている。凶器を当てられているようで、耳元で感じる荒い息と共に獣の本性を感じてゾクリとする。怖さと性感がせめぎ合う。それが一気に混じって訳が分からなくなる瞬間を、心も期待してしまっている。
「自分がこんな変態野郎だなんて、思ってもみなかった」
「おるふぇくん、もう、もうだめ、もうだめ、あっ、もうだめぇ、あっ…!!あんっ…!!」
全身が痙攣する。また達してしまった。腕がガクガクして、支えていられなくなった身体をオルフェくんに抱きしめられた。彼の早鐘のような心音が聞こえる。興奮している、僕のせいで。そのことに僕は優越感を覚えてしまった。
「大人のオンナの匂いがするのに、身体だけが違う子に、興奮する日が来るとは思っていなかった。俺はもっと、理性的な方だと思っていたな……」
そっと横向きに寝かされた。時々微かに痙攣する身体からはまだ熱が引かない。オルフェくんが何かを取り出している気配がする。なんだろうとは思ったが、身じろぎひとつできやしない。
「力抜いて。大丈夫、挿れたりしないから。痛かったらちゃんと言うんだよ。魔力も多少は流れていくから、それで気持ち悪くなったときも言うんだよ。いい?」
相変わらず小さい子に言い聞かせるような声色で、彼は僕の後孔に指で触れた。僕が小さく痙攣するたびに、彼の手が止まる。身体が勝手に動くだけで、嫌じゃないんだけどなあ、と思いながら、嫌じゃないのか僕は、と自分の思考に少し驚いた。
しばらくすると指じゃない、温かな液体のような何かが後ろから入ってくる感覚がした。内臓の壁を這って進み、血管に侵入し、流れに乗って全身に回ってゆくような不思議な感覚。応えるように心音が少しずつ早まってゆく。怖くはない。なんだろう、覚えがある。頭がふわふわしてくるこの感じ。
「カイ。その、予想以上に柔らかくなってきてるんだが、本当に痛くないのか。気持ち悪くなってないか」
「……ううん、ぜんぜん……なんか……おさけのんらときみらいな、かんりになっへきれんらけろ……」
あれ、なんだこの声。僕か。ベロベロじゃないか。今日飲んだっけ。飲んでないよな。あれ? なんで? …なんか凄く、ドキドキするし。
「わざと強く流したつもりはなかったんだけどな……判断が難しいな、クソ、そこんとこも調べてくれば良かった」
「んへへぇ、おみみぴこぴこしてかあいいねぇ。ねぇ、おるふぇくん、なんかしゅごい、きもちいーよお。むずむずしゅる、ねえ、いえにゃいの…?」
オルフェくんは『いえにゃい…?』と呟いて、しばらくしてから石像になったように固まった。
「おるふぇくん…ねえ、いえにゃいのお」
「いやっ…そりゃ……本当は、したいことはしたい。けど、していいのかがわからない。身体がおかしくなるかも。そうなったら俺じゃ対処が────」
「いいよお。きっときもちいーよお。ちょっといえてみれよお」
「挿れてみてって、あんたな、そんな簡単に…………」
このときの僕は、挿れたらどうなるんだろー、気持ちいいんじゃないかなー、みたいなフワフワしたことしか考えてなかった。頭がおかしくなってる自覚も、馬鹿になってる自覚もなかった。完全に正常だと思っていた。
こんな感じにするのかなー、と働かない頭で考えたような記憶はある。僕はその時、大きく脚を開いて彼を誘ったそうだ。…それ本当に僕? オルフェくんの幻覚じゃない? この辺からは、記憶が断片的だ。
「はっ…!! はあっ…!! あんた…! 悪魔だ、悪魔!!」
「あっあっあっ、 おるふぇくん、あっ…、はあ、きもちい、きもちい、もっと、つよく、こすってえ、おるふぇくん、あっ…、おるふぇくぅん」
「ああ擦ってやるよ、畜生どうなってんだ、大丈夫なのかよこれっ…!! ああ、もう、ダメだっ…!!」
「あんっ!! あんっ!! はあ、きもちい…、きもちい…、おるふぇくん…、」
あれー、これ誰の声だろー。なんだかすっごく気持ちいいなー。ウトウトするときの
何千倍って感じがするなー。いやーそれとは違うかなー。
「ああもう、ダメだ、収まんない、カイ、ごめん、ごめん…!!」
「あ、おるふぇくん、まだだめ、いってゆ、いってゆから、あっ…だめ…! んんっ…! あっあっあっ」
肉のぶつかる音が響き、身体を激しく揺さぶられ、唯一繋がっているところからは恐ろしいくらいの性感がダラダラと流れてきていた。肉欲に溺れるとはこういうことだ。こんなこと、ちょっと試しに、で済むわけがなかった。
繰り返すが、僕は正常なつもりだった。目が覚めてから、断片的だが思い出し、やってしまった自分の痴態に戦慄した。そして結婚どころか婚約前の性交渉。まさに後の祭りである。
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© 2023 清田いい鳥
日が沈み、お風呂に入ったあと、そういうことになる流れにもうなってしまっている。最初は優しすぎるくらいに優しい彼の手つきは次第に激しくなってゆき、前は触れることがなかったところに迷いなく手を差し込み、ゆるゆると刺激を与えられる。
「…匂いをつける、なんてな。白状するけど、正直言い訳だった。この、甘くて気持ちの良くなる匂いをめいっぱい吸い込んで食べたかった」
四つん這いにされ、中心は彼の手で支配された。彼のものが臀部の間を行き来している。何の予告もなく挿れられてしまうかも、という怖さが半分期待に変わっている。どれほど痛いか、苦しいかなんてわからないのに、きっと気持ちのいいことだと身体が期待してしまっている。
「あんたは自分のことを大人だなんて言うが、頭では覚えていても心がそれを覚えられない。もう一つ白状すると、俺の心はこの罪悪感を背徳感へとすぐ変換しようとしてしまう。いけないことだと思っているくせに、いけないことをしたがっている自分もいるんだ」
最初は舐めていた首筋も、気がつけば噛む仕草へと変わっている。痛くないが歯を当てられている。凶器を当てられているようで、耳元で感じる荒い息と共に獣の本性を感じてゾクリとする。怖さと性感がせめぎ合う。それが一気に混じって訳が分からなくなる瞬間を、心も期待してしまっている。
「自分がこんな変態野郎だなんて、思ってもみなかった」
「おるふぇくん、もう、もうだめ、もうだめ、あっ、もうだめぇ、あっ…!!あんっ…!!」
全身が痙攣する。また達してしまった。腕がガクガクして、支えていられなくなった身体をオルフェくんに抱きしめられた。彼の早鐘のような心音が聞こえる。興奮している、僕のせいで。そのことに僕は優越感を覚えてしまった。
「大人のオンナの匂いがするのに、身体だけが違う子に、興奮する日が来るとは思っていなかった。俺はもっと、理性的な方だと思っていたな……」
そっと横向きに寝かされた。時々微かに痙攣する身体からはまだ熱が引かない。オルフェくんが何かを取り出している気配がする。なんだろうとは思ったが、身じろぎひとつできやしない。
「力抜いて。大丈夫、挿れたりしないから。痛かったらちゃんと言うんだよ。魔力も多少は流れていくから、それで気持ち悪くなったときも言うんだよ。いい?」
相変わらず小さい子に言い聞かせるような声色で、彼は僕の後孔に指で触れた。僕が小さく痙攣するたびに、彼の手が止まる。身体が勝手に動くだけで、嫌じゃないんだけどなあ、と思いながら、嫌じゃないのか僕は、と自分の思考に少し驚いた。
しばらくすると指じゃない、温かな液体のような何かが後ろから入ってくる感覚がした。内臓の壁を這って進み、血管に侵入し、流れに乗って全身に回ってゆくような不思議な感覚。応えるように心音が少しずつ早まってゆく。怖くはない。なんだろう、覚えがある。頭がふわふわしてくるこの感じ。
「カイ。その、予想以上に柔らかくなってきてるんだが、本当に痛くないのか。気持ち悪くなってないか」
「……ううん、ぜんぜん……なんか……おさけのんらときみらいな、かんりになっへきれんらけろ……」
あれ、なんだこの声。僕か。ベロベロじゃないか。今日飲んだっけ。飲んでないよな。あれ? なんで? …なんか凄く、ドキドキするし。
「わざと強く流したつもりはなかったんだけどな……判断が難しいな、クソ、そこんとこも調べてくれば良かった」
「んへへぇ、おみみぴこぴこしてかあいいねぇ。ねぇ、おるふぇくん、なんかしゅごい、きもちいーよお。むずむずしゅる、ねえ、いえにゃいの…?」
オルフェくんは『いえにゃい…?』と呟いて、しばらくしてから石像になったように固まった。
「おるふぇくん…ねえ、いえにゃいのお」
「いやっ…そりゃ……本当は、したいことはしたい。けど、していいのかがわからない。身体がおかしくなるかも。そうなったら俺じゃ対処が────」
「いいよお。きっときもちいーよお。ちょっといえてみれよお」
「挿れてみてって、あんたな、そんな簡単に…………」
このときの僕は、挿れたらどうなるんだろー、気持ちいいんじゃないかなー、みたいなフワフワしたことしか考えてなかった。頭がおかしくなってる自覚も、馬鹿になってる自覚もなかった。完全に正常だと思っていた。
こんな感じにするのかなー、と働かない頭で考えたような記憶はある。僕はその時、大きく脚を開いて彼を誘ったそうだ。…それ本当に僕? オルフェくんの幻覚じゃない? この辺からは、記憶が断片的だ。
「はっ…!! はあっ…!! あんた…! 悪魔だ、悪魔!!」
「あっあっあっ、 おるふぇくん、あっ…、はあ、きもちい、きもちい、もっと、つよく、こすってえ、おるふぇくん、あっ…、おるふぇくぅん」
「ああ擦ってやるよ、畜生どうなってんだ、大丈夫なのかよこれっ…!! ああ、もう、ダメだっ…!!」
「あんっ!! あんっ!! はあ、きもちい…、きもちい…、おるふぇくん…、」
あれー、これ誰の声だろー。なんだかすっごく気持ちいいなー。ウトウトするときの
何千倍って感じがするなー。いやーそれとは違うかなー。
「ああもう、ダメだ、収まんない、カイ、ごめん、ごめん…!!」
「あ、おるふぇくん、まだだめ、いってゆ、いってゆから、あっ…だめ…! んんっ…! あっあっあっ」
肉のぶつかる音が響き、身体を激しく揺さぶられ、唯一繋がっているところからは恐ろしいくらいの性感がダラダラと流れてきていた。肉欲に溺れるとはこういうことだ。こんなこと、ちょっと試しに、で済むわけがなかった。
繰り返すが、僕は正常なつもりだった。目が覚めてから、断片的だが思い出し、やってしまった自分の痴態に戦慄した。そして結婚どころか婚約前の性交渉。まさに後の祭りである。
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