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誘い道
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昨日はよく眠れなかった。
あの後の話だがガーシャはそんな僕の気苦労を知らずか、面白がっているのかあまりいつもと態度を変えずに「さて、優希よ。茶の時間も終わったことだしゲームを行うぞ」などと言っていた。
正直、僕も電気を消して寝る気にはなれなかったのでほぼ一晩中付き合っていたのだ。
彼女が原因だけに、おかげと言うのもなんだが少しだけ気をまぎらすことが出来たので助かっている。
そんな僕の憂鬱な気分をあざ笑うかのように、今日も晴天。良い天気であった。いくら、明るくても昨日も似たような天気だったのでやはり通学路を変更することにした。
普段はまっすぐ行く道を迂回する。昨日帰り道に使った道だ。
しばらく歩いていると、聞き慣れた足音がいつもより早いペースで鳴らされてきた。
「おはよ、優希。今日は道変えてどうしたんだ?」
その主はもちろん紀糸だった。紀糸は平然を装っているが少し息のペースが速いようだ。
「おはよう。いやぁ、ちょっと気分を変えてみようかと思って」
紀糸は昨日の霊が見えなかったこともあっていつもの道を通っても大丈夫だと思っていたが、こちらの道を通ってくれるとやはりほっとしている自分がいた。
結果的に遠回りになってしまうため、気を利かして黙っていたつもりだがどうやら余計な心配をさせてしまったようだ。
「気分って……。急に変な方向に曲がるもんだから何があったのかと思ったよ!」
紀糸は「ハァ」と大きなため息をついてあきれ顔で言った。あまり人の真意を読むのは苦手なようで、言ったことの大抵は信じる。申し訳ないが、彼女に隠し事をする分にはすごく助かっている。
「たまにはそんな気分に日もあるんだよ。あ、一応しばらくこれからは今日みたいに早めに出てこっち道から登校するつもりだから」
「ハァ? なんで? ん……まぁいっか。じゃあ、あたしも付き合うよ」
紀糸は口に指を当てて暫く考えた後に呟くように言った。
「ほんとに? 助かるよ!」
「え? なっ何が?」
思わず上げてしまった大きな声に紀糸が小さく飛び上がる。
「え、ああ。ごめん何でもない」
「変なの……」
紀糸は怪訝そうな表情で横を歩く僕の顔を見上げていた。
あの後の話だがガーシャはそんな僕の気苦労を知らずか、面白がっているのかあまりいつもと態度を変えずに「さて、優希よ。茶の時間も終わったことだしゲームを行うぞ」などと言っていた。
正直、僕も電気を消して寝る気にはなれなかったのでほぼ一晩中付き合っていたのだ。
彼女が原因だけに、おかげと言うのもなんだが少しだけ気をまぎらすことが出来たので助かっている。
そんな僕の憂鬱な気分をあざ笑うかのように、今日も晴天。良い天気であった。いくら、明るくても昨日も似たような天気だったのでやはり通学路を変更することにした。
普段はまっすぐ行く道を迂回する。昨日帰り道に使った道だ。
しばらく歩いていると、聞き慣れた足音がいつもより早いペースで鳴らされてきた。
「おはよ、優希。今日は道変えてどうしたんだ?」
その主はもちろん紀糸だった。紀糸は平然を装っているが少し息のペースが速いようだ。
「おはよう。いやぁ、ちょっと気分を変えてみようかと思って」
紀糸は昨日の霊が見えなかったこともあっていつもの道を通っても大丈夫だと思っていたが、こちらの道を通ってくれるとやはりほっとしている自分がいた。
結果的に遠回りになってしまうため、気を利かして黙っていたつもりだがどうやら余計な心配をさせてしまったようだ。
「気分って……。急に変な方向に曲がるもんだから何があったのかと思ったよ!」
紀糸は「ハァ」と大きなため息をついてあきれ顔で言った。あまり人の真意を読むのは苦手なようで、言ったことの大抵は信じる。申し訳ないが、彼女に隠し事をする分にはすごく助かっている。
「たまにはそんな気分に日もあるんだよ。あ、一応しばらくこれからは今日みたいに早めに出てこっち道から登校するつもりだから」
「ハァ? なんで? ん……まぁいっか。じゃあ、あたしも付き合うよ」
紀糸は口に指を当てて暫く考えた後に呟くように言った。
「ほんとに? 助かるよ!」
「え? なっ何が?」
思わず上げてしまった大きな声に紀糸が小さく飛び上がる。
「え、ああ。ごめん何でもない」
「変なの……」
紀糸は怪訝そうな表情で横を歩く僕の顔を見上げていた。
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