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第一章 江田愛との出会い (5)
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『ねぇねぇ、歩くん。世界って広いと思わない?この世界の広さを分かる人は、誰もいないと思うんだよねー。自分の人生で、現実味が無いような出来事を目の前にする事って無い?自分が予想もしなかった事が起きるとか。いわば「奇跡」ってやつ。そう考えると世界の広さは無限大だなって私は思うなー。君も、そう思わない?…………』
「………うん……?」
目が覚めると、カーテンの隙間から、強い日差しが出ていた。
僕は、眠気眼をさすりながら、ベッドから、気だるく感じながら起き上がる。
「朝……か。」
カーテンを開ければ、外の世界は、朝の日光で包まれているというのに、なんだか、朝という実感がない。
しばらく、窓の外を眺めていると、ガチャリと、ドアの音がした。
「なんだ、起きてたの?朝ごはんできてるから、早く食べちゃいなさい。」
母はそう言い残して、去っていった。僕も、急いで身支度を済ませて、リビングに向かった。
リビングでは、テーブルの上に、焼かれた食パンと、目玉焼きと、少量のサラダが並べてあった。いかにも朝食らしい朝食だった。キッチンには母がおり、「早く食べなさーい」という声が響く。
僕は、テーブルの椅子に座り、合掌する。それにしても、さっきの夢は一体なんだったのだろう。夢の中に彼女が出てきたと思ったら、意味不明な事を、僕に言ってきた。思わず苦笑してしまう。
「世界の広さは無限大……か……。」
なんとも、よくわからん事言ってるな。そんなことを思いながら、朝食を食べ進めた。
朝食を済ませ、まだ時間があるので、僕は、昨日の小説の続きを読んでいた。やっと、半分まで読み進めることができたところだ。この本はだいたい四百ページあり、なかなかの厚さだ。僕の場合、小説を買うときは、もちろん面白いと思ったものを選ぶが、本の厚さにもこだわっていて、厚めのあるものを選ぶのだ。「なるべく薄い方が読みやすいし、厚いと読み終えるのに時間もかかるから」という理由で、薄い本を読む人がいるが、時間をかけて読むのが良いと僕は思う。薄い本よりも、厚い本の方が、内容もしっかりと凝縮され、面白味もある。そして夢中になり、次第に読み進めるのも、面白く感じてくる。そう思う人もいるのではないか、と僕は思う。
本の世界に夢中になっていると、「早く学校行きなさいよー。」という声が渡り、時計に目をやると、いつも家を出てる時間の十分も過ぎていた。僕は慌てながら、少し準備をし、鞄を持って、「行ってきます!」と言いながら、玄関の扉を開けた。外に出る瞬間に「行ってらっしゃい。」という声が微かに聞こえた。やはり本は改めて時間を忘れさせる物だなと思いながら、学校に向かって走った。
小走りで学校での道を辿っていると、向かいの角から、見知った奴が出てきた。
「よー!歩!」
昨日大会の誘いをしてきた小笠原だった。
「というか、昨日途中で電話切りやがって。」
「うざいと思ったから、切っただけだ。」
「親友に対して、そんな扱いしてたら周りに人がいなくなるぞ。」
「……はいはい。」
「……一応聞いておこう。お前は俺との関係を何だと思ってるんだ?」
「……知り合い?もしくは腐れ縁?」
「そうか……親友と思ってたのは、俺だけだったのか………」
隣でどんよりした空気が漂っているなか、僕はため息をつきながら、
「置いていくぞ。」
と、言いながら足を早めた。
「お、おい待ってくれよー!」
後方から、少し慌てたような声が聞こえた。
「………うん……?」
目が覚めると、カーテンの隙間から、強い日差しが出ていた。
僕は、眠気眼をさすりながら、ベッドから、気だるく感じながら起き上がる。
「朝……か。」
カーテンを開ければ、外の世界は、朝の日光で包まれているというのに、なんだか、朝という実感がない。
しばらく、窓の外を眺めていると、ガチャリと、ドアの音がした。
「なんだ、起きてたの?朝ごはんできてるから、早く食べちゃいなさい。」
母はそう言い残して、去っていった。僕も、急いで身支度を済ませて、リビングに向かった。
リビングでは、テーブルの上に、焼かれた食パンと、目玉焼きと、少量のサラダが並べてあった。いかにも朝食らしい朝食だった。キッチンには母がおり、「早く食べなさーい」という声が響く。
僕は、テーブルの椅子に座り、合掌する。それにしても、さっきの夢は一体なんだったのだろう。夢の中に彼女が出てきたと思ったら、意味不明な事を、僕に言ってきた。思わず苦笑してしまう。
「世界の広さは無限大……か……。」
なんとも、よくわからん事言ってるな。そんなことを思いながら、朝食を食べ進めた。
朝食を済ませ、まだ時間があるので、僕は、昨日の小説の続きを読んでいた。やっと、半分まで読み進めることができたところだ。この本はだいたい四百ページあり、なかなかの厚さだ。僕の場合、小説を買うときは、もちろん面白いと思ったものを選ぶが、本の厚さにもこだわっていて、厚めのあるものを選ぶのだ。「なるべく薄い方が読みやすいし、厚いと読み終えるのに時間もかかるから」という理由で、薄い本を読む人がいるが、時間をかけて読むのが良いと僕は思う。薄い本よりも、厚い本の方が、内容もしっかりと凝縮され、面白味もある。そして夢中になり、次第に読み進めるのも、面白く感じてくる。そう思う人もいるのではないか、と僕は思う。
本の世界に夢中になっていると、「早く学校行きなさいよー。」という声が渡り、時計に目をやると、いつも家を出てる時間の十分も過ぎていた。僕は慌てながら、少し準備をし、鞄を持って、「行ってきます!」と言いながら、玄関の扉を開けた。外に出る瞬間に「行ってらっしゃい。」という声が微かに聞こえた。やはり本は改めて時間を忘れさせる物だなと思いながら、学校に向かって走った。
小走りで学校での道を辿っていると、向かいの角から、見知った奴が出てきた。
「よー!歩!」
昨日大会の誘いをしてきた小笠原だった。
「というか、昨日途中で電話切りやがって。」
「うざいと思ったから、切っただけだ。」
「親友に対して、そんな扱いしてたら周りに人がいなくなるぞ。」
「……はいはい。」
「……一応聞いておこう。お前は俺との関係を何だと思ってるんだ?」
「……知り合い?もしくは腐れ縁?」
「そうか……親友と思ってたのは、俺だけだったのか………」
隣でどんよりした空気が漂っているなか、僕はため息をつきながら、
「置いていくぞ。」
と、言いながら足を早めた。
「お、おい待ってくれよー!」
後方から、少し慌てたような声が聞こえた。
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