ヰタ・セクスアリス

Kotetsu Saita

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第三章

【5.ナオの家で④】

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「ナオ・・・・急がなくても、いいんじゃないかな」

俺は、こうやって抱きしめるだけで、
ナオを満たそうとした。
こんな風に、身体を密着して
顔と顔がすぐ近くにある。
まず、
こんなことから始めよう、とでもいうように。

ぴったりくっついて、ナオの体温を感じる。
俺の太ももの上側も。
ナオの肩に顔を乗せることで、
ナオの身体からのいい匂いを吸い込む。

ナオはさ、こういうことでさえ、初めてなんじゃない?
キスまで、
すぐに叶えるものじゃないんじゃない?
俺たちは、
まずは手をつなぐ、なんてことできないけれど・・・

ほら
ナオがおずおず、俺の手にナオの手を重ねてきた。

それでいいんだ。



そのまま、俺たちは黙って過ごした。
ナオもその間、じっとしていて、
自然体というには無理があるが、カチコチというほどでもなかった。
しばらく、お互いの鼓動や呼吸や体温や匂いを感じているうちに、
俺の携帯のアラームが
終了を告げた。

「ナオ、時間だ」
ナオのこめかみに唇を寄せて告げ、
やんわりナオの手から片手を外し、
尻ポケットから携帯を取り出し、アラームをストップさせる。

ナオの腹に置いた手を重ねられたナオの手を無視してスライドし、
ナオを抱きしめる。
もう一度、ナオのこめかみに唇を寄せ、

「ナオ、時間だ」

とささやく。
ナオがわずかに、こくりと頷く。

ナオの腰を両手で持ち上げるように力を加えると、
ナオが少し遅れて身体を持ち上げる。

立ち上がったナオが、ベッドに腰掛ける俺の方へ振り向く。
ナオは口を閉ざしたまま、俺を見下ろす。
見上げる俺は、ナオの腕に手を伸ばし、
腕をさすりながら

「今日は、保健体育の日だったかな」

と言って、手を離し立ち上がった。

帰ろうと、持ってきていた鞄の方へ移動する俺に、
背後からナオの声が聞こえた。

「また、してくれる?」

「保健体育の授業?」

俺が振り返ってナオを見ると、ナオは恥ずかしそうなカオで頷く。

「いいよ。でもいつもの勉強もちゃんとしないとね」

俺がそう言うと、ナオはほっとした顔を見せる。
不安を感じていたみたいで。

俺はナオの頭を撫でて、ナオの家を後にした。
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