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5.書き手になったいきさつ
しおりを挟むもともとぼくが書いていた小説は、既存のキャラを使った二次小説と呼ばれる類いのもので、
そのキャラを主人公にした、いろんな状況での男同士のセクシュアルな話なのだ。
性交渉に重点が置かれたやらしい話は、やおい小説では必ずしもなくてよい要素だが、ゲイ板では必須なのだ。
というよりもはや、濃厚な、“おかずにできる(自慰行為に使える)”グレードのものが求められていた。
ぼくはもともとそのキャラが大好きだっただけで、やらしい妄想に使ったことなんかなかったし、
小説を書く趣味があったわけでもなかった。
それが、ぼくが書くことになったのは、ただ、
その当時、同じ掲示板サイトの中の、小説板でない、キャラを褒め称える、今でいうツイッターに相当する場所で、俺らの推しキャラ(気に入っているキャラクターのこと)の小説も欲しいよね、という話題があったためだ。
文章を作ること自体に苦労を要しなかったので、とりあえずいつか書く人が現れるだろうという、それまでのつなぎのつもりだったのだ。
また、ぼくには特技があった。ある程度知ったひとについて、ある状況に置かれた折りにどんな行動や反応を起こすか、そしてどんなセリフを言うか、もっともらしい予測を立てることができるというものだ。
小説においては、この“もっともらしさ”が読者にとっとも“らしい”と思えることが要求される。
ぼくの紡ぎ出すキャラの妄想上の行動は、その条件をクリアできるものだった上に、そもそも妄想力に自信があったため、こうして今の今まで創作しつづけることになったというわけだ。
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