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ペットの真意を知った時、淫魔王は決断する。
1 愛する淫魔と支配する闘神
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銀色の長い髪を靡かせた美丈夫の淫魔王に、三神の視線は集中する。ロキとオーディンはエリザベータと抗戦するも、トールの背後を取ろうとしたアルカシスを見て二人は一気に殺気立った。
対してアルカシスは殺気立つ二人を見据えた後、トールの腕の中で自失する彰に視線を向けた。
瞼を固く閉じ、ぐったりしている。
トールの腕が彼をしっかりと抱えている姿を見ていると否が応にも彼を殺したくなる衝動に駆られ、自分の中で怒りが渦巻いていく。
その怒りの感情が、自分の中の【闘神】というもう一つの魂を沸々と滾(たぎ)らせる。
それは、彰と出会った事で得た【手放したくない】という気持ちそのものだった。
彼を抱えるトールをオーディンとロキがエリザベータから離れそれぞれ槍と弓矢を構えて警戒している。
アルカシスは大剣を構えながら、彰を抱えて自分に視線を向けるトールに言った。
「ショウに何をしたのですか?」
問われたトールはアルカシスを見下すようにクスッと嗤う。
「少し術を施しただけさ。この子はロキの妻になるから。過去の記憶はこれからこの子には必要ないものだ。特に、君との関係はね。アルカシス」
トールの言葉にアルカシスは大剣を握るその拳を震わせ、歯を食いしばって彼に鋭い眼光を向ける。
「叔父上、ユダに続いてショウまで同じ末路を辿らせるつもりか?」
震える拳からは掌を傷つけた事により微量の血が流れている。
淫魔界へ帰還したユダは、カラマーゾフにずっと怯えていた。結局ユダは自殺を謀り、カラマーゾフは長い期間精気を得られず飢餓に苛まれ命を失いかけた。あれを、一番近くで見ていたのは他ならぬ自分だ。後にトールによって洗脳が施されている事を知った時、一時険悪な歓迎に陥った。
彼の自殺は、それを見抜けなかった浅はかな自身の失態だった。
だがその原因を仕立てたこいつだけは、何があっても許せない。
トールは表情を変えずアルカシスに言った。
「それはユダを淫魔界へ連れて行った君達の責任だろ?私はあの子に本来の感情を表に出す【きっかけ】を与えたに過ぎない」
彼の言う【きっかけ】という言葉の真意が理解できず、アルカシスは眉を顰める。
「あの時、ユダの心はカラマーゾフに向き始めていた。だが同時に彼はカラマーゾフに対する【怖さ】も持っていた。私はその【怖さ】を前面に引き出す手伝いをしただけだよ。記憶と向き始めた心を封印して、ね」
「「ーーっ!!」」
トールのこの言葉に、アルカシスとエリザベータは驚いたように息を呑んだ。これを聞いたアルカシスは大剣を持つ手をフルフルと震え上がらせる。
「貴様っ・・・!」
淫魔界に連れ帰って、カラマーゾフに極端に怯えるユダが気になっていた。
そのままトールは話を続ける。
「そしてショウも同じだ。君に心を向き始めている。だが彼も君に対する【怖さ】も持っている。そんな状態で淫魔界へ連れ帰ったとしても、どうなるかな?」
トールの言葉にアルカシスはカラマーゾフに怯え続けたユダの姿と、ユダを喪って悲嘆にくれるカラマーゾフの姿が脳裏に蘇る。
怒りでアルカシスの形相が変化したと同時、彼の緋色の瞳が鮮やかな赤色から赤黒い色に変色していくと同時に、彼に向けた殺気も迸る。
これを見てトールは甥の考えが手に取るように分かった。
今すぐにも腕の中の青年を取り戻し、自分を殺したいのだろう。
神すら魅了する『魅惑の人』とはいえ人間の青年に半分神の血を引く淫魔王がこれほど乱されるとは失笑ものだ。
ならば、少し揺さぶりをかけてみようか。
彼の表情と瞳の色の変化の意味を察したトールは、自らの腕の中で眠る彰へ穏やかな視線を向ける。
「アルカシス。なぜ『命の契約』が存在するのか、考えた事があるかい?」
「何を一体・・・」
突如振られたトールの問いに、アルカシスは困惑する。彼のその表情を見て次は彼の姉であるエリザベータへ視線を移した。
「分からなければ対象を変えよう。エリザベータ、君はどうだい?」
トールはアルカシスからエリザベータへ同様の問いを投げかける。その問いを聞いたエリザベータは、ロキとオーディンと抗戦時見られた優雅な雰囲気とは一変し、冷たい表情でトールに視線を向けた。
「あら?戦闘狂のトール様にしては珍しい事をお聞きになるのね。」
エリザベータはそう言うと、見下すようにトールを見据える。
「それはわらわが、凪ちゃんを愛しているから。それだけよ。だからわらわは、凪ちゃんがやりたい事を応援するし、凪ちゃんもわらわとパートナーになってくれた。わらわ達は、愛で繋がっているからよ」
彼女の答えを聞いたトールは、突如フフフと笑い出した。
「そうだろうね。君が羨ましいよ、エリザベータ。君も闘神の血を引いているとはいえ、女性体の君は母親の【淫魔の性】を強く受け継いでいる。サキュバスは共感能力を持つ淫魔。人間と同じように誰かに関心を向ける能力も備わっている。だから君はペットに出会った時【愛】がどんなモノか分かっただろう?だが君以上に闘神の血が濃い弟はどうだ?彼に【愛】を説明できるかい?」
笑うトールを白ける目でエリザベータはにっこりと笑う。
「叔父様、それは口で言って理解できるモノではないわ。人間でいうところの勘というモノよ。わらわはペットちゃんとは常に対等な立場。でなければ自身の感情も相手の感情も分からないわ」
「それは困った答えだね。私達闘神は戦神(いくさがみ)だ。戦神は相手を支配下に置き、従僕させる事で関係が成立する。アルカシスは淫魔とはいえ受け継いだのは【闘神の性】だ。君の理論ではアルカシスは【愛】を得る事はできない。彼に共感能力は備わっていない。故に彼は『命の契約』をしなかった。そうだろ?アルカシス」
トールの言葉にアルカシスに怒りが込み上げる一方、エリザベータはにっこりと崩す事なくフフフと笑う。彼女のその笑みは、トールを見下したかのように吊り上げている。
「あら、それは尚早なご判断ですわ。アルちゃんも半分は淫魔の血があるのですから、淫魔だから闘神だからと決めつけるのは極論に過ぎません。むしろ、戦神の貴方の下にいる取り巻きちゃんがショウちゃんに釣り合うのかしらん♡わらわぁ、ショウちゃんが心配ぃ」
そう言うエリザベータはアルカシスに目配せする。彼女の合図を察したアルカシスは瞳の色を鮮やかな赤色へ変化させると、彰とこれまでのやり取りを回想する。
儚さが印象的だった、繊細な人間の青年。
あの人間界の夜、出会った当初はやつれていて、瞳が濁っておりそのまま死んでしまうと思った。
だが自分の城へ連れてきて、丁寧に世話をしていくと、彼に宿った瞳の濁りが消え、美しくなっていく彼を見ているのが楽しくなった。
だがあの時、淫魔界に降り続く雨の調査に赴く直前に見たベッドで眠る彼が流した涙に、どうして泣くのか分からなかった。
あの涙の意味を、知らなければ彼の美しさが消えてしまう。
アルカシスはもう一度、大剣をトールに向けて言った。
「叔父上、不要なご配慮は謹んで辞退致します。貴方が人間を支配して夫婦関係を成立するならば、私に反抗するショウの姿を見るまで貴方に殺されるわけにはいきません」
* * *
ーーガキィンッ!
大剣を構えるアルカシスを見てオーディンは大槍を構え彼に襲いかかる。
「諦めろ、アルカシス」
自分に降りかかる槍を、アルカシスは大剣で受け止める。目の前の槍は、持ち主の背丈を超える長さだった。
「接近戦でその槍を使われると、貴方に勝機を見出す事はできません、オーディン殿」
「ならばそのまま私に殺されてもらおうか、アルカシス。あの青年はロキの妻だ」
「ーーだから今回は貴方を卑怯な手段で倒させて頂きます」
アルカシスは片手で大剣を持ったまま槍を受け止め、懐から小さな巾着袋を取り出すと素早くオーディンの眼前に投げる。
「うわっ!?これはっ!」
「オーディン兄さんっ!?」
「オーディンっ!?」
突然の不意打ちを受けたオーディンは、開眼できず槍を持ったままアルカシスから離れた。
視界が霧がかっているようで見えづらい。一体何をした。
目を手で覆ったままオーディンは言った。
「なっ、何をしたっ・・・」
すぐに強い目の痛みを感じる。痛みで開眼ができない。
「私が調合した毒粉です。一時的に視界不良になるのみで時間が経てば自然に視力は戻ります」
瞬時にオーディンと距離を詰めたアルカシスは大剣をオーディンの腹に一太刀裂いた。
「グッ・・・、貴様っ」
「すいませんが時間がありません。あの洗脳は時間が経てば経つほど解除する事が不可能になるのは知っていますから、手短にさせて頂きました。恨みがあるなら、いつでもお相手します」
「グッ・・・くそっ」
アルカシスに一太刀裂かれた腹から出血が止まらない。これを見て驚いたライアンがオーディンのもとへ駆けつけた。
「オーディン!しっかりして!」
「心配するなライアン・・・、出血はすぐ止まる・・・」
「オーディン殿の言う通り、すぐに止血されます。殺生は好みません」
アルカシスのその背後から、彰を抱えたままトールが巨大なハンマーを振りかざす。気づいたアルカシスは、ひょいっとトールの頭上を一回転するとギィン!!と大剣をハンマーに撃ちつけた。しかしトールは、ハンマーで剣を防御する。
トールの緋色の瞳は、アルカシスを捉えるとさらに赤い輝きを増す。
「やってくれたね、アルカシス。また250年前のように、どちらか倒れるまで暴れ回ろうか?」
対してアルカシスは殺気立つ二人を見据えた後、トールの腕の中で自失する彰に視線を向けた。
瞼を固く閉じ、ぐったりしている。
トールの腕が彼をしっかりと抱えている姿を見ていると否が応にも彼を殺したくなる衝動に駆られ、自分の中で怒りが渦巻いていく。
その怒りの感情が、自分の中の【闘神】というもう一つの魂を沸々と滾(たぎ)らせる。
それは、彰と出会った事で得た【手放したくない】という気持ちそのものだった。
彼を抱えるトールをオーディンとロキがエリザベータから離れそれぞれ槍と弓矢を構えて警戒している。
アルカシスは大剣を構えながら、彰を抱えて自分に視線を向けるトールに言った。
「ショウに何をしたのですか?」
問われたトールはアルカシスを見下すようにクスッと嗤う。
「少し術を施しただけさ。この子はロキの妻になるから。過去の記憶はこれからこの子には必要ないものだ。特に、君との関係はね。アルカシス」
トールの言葉にアルカシスは大剣を握るその拳を震わせ、歯を食いしばって彼に鋭い眼光を向ける。
「叔父上、ユダに続いてショウまで同じ末路を辿らせるつもりか?」
震える拳からは掌を傷つけた事により微量の血が流れている。
淫魔界へ帰還したユダは、カラマーゾフにずっと怯えていた。結局ユダは自殺を謀り、カラマーゾフは長い期間精気を得られず飢餓に苛まれ命を失いかけた。あれを、一番近くで見ていたのは他ならぬ自分だ。後にトールによって洗脳が施されている事を知った時、一時険悪な歓迎に陥った。
彼の自殺は、それを見抜けなかった浅はかな自身の失態だった。
だがその原因を仕立てたこいつだけは、何があっても許せない。
トールは表情を変えずアルカシスに言った。
「それはユダを淫魔界へ連れて行った君達の責任だろ?私はあの子に本来の感情を表に出す【きっかけ】を与えたに過ぎない」
彼の言う【きっかけ】という言葉の真意が理解できず、アルカシスは眉を顰める。
「あの時、ユダの心はカラマーゾフに向き始めていた。だが同時に彼はカラマーゾフに対する【怖さ】も持っていた。私はその【怖さ】を前面に引き出す手伝いをしただけだよ。記憶と向き始めた心を封印して、ね」
「「ーーっ!!」」
トールのこの言葉に、アルカシスとエリザベータは驚いたように息を呑んだ。これを聞いたアルカシスは大剣を持つ手をフルフルと震え上がらせる。
「貴様っ・・・!」
淫魔界に連れ帰って、カラマーゾフに極端に怯えるユダが気になっていた。
そのままトールは話を続ける。
「そしてショウも同じだ。君に心を向き始めている。だが彼も君に対する【怖さ】も持っている。そんな状態で淫魔界へ連れ帰ったとしても、どうなるかな?」
トールの言葉にアルカシスはカラマーゾフに怯え続けたユダの姿と、ユダを喪って悲嘆にくれるカラマーゾフの姿が脳裏に蘇る。
怒りでアルカシスの形相が変化したと同時、彼の緋色の瞳が鮮やかな赤色から赤黒い色に変色していくと同時に、彼に向けた殺気も迸る。
これを見てトールは甥の考えが手に取るように分かった。
今すぐにも腕の中の青年を取り戻し、自分を殺したいのだろう。
神すら魅了する『魅惑の人』とはいえ人間の青年に半分神の血を引く淫魔王がこれほど乱されるとは失笑ものだ。
ならば、少し揺さぶりをかけてみようか。
彼の表情と瞳の色の変化の意味を察したトールは、自らの腕の中で眠る彰へ穏やかな視線を向ける。
「アルカシス。なぜ『命の契約』が存在するのか、考えた事があるかい?」
「何を一体・・・」
突如振られたトールの問いに、アルカシスは困惑する。彼のその表情を見て次は彼の姉であるエリザベータへ視線を移した。
「分からなければ対象を変えよう。エリザベータ、君はどうだい?」
トールはアルカシスからエリザベータへ同様の問いを投げかける。その問いを聞いたエリザベータは、ロキとオーディンと抗戦時見られた優雅な雰囲気とは一変し、冷たい表情でトールに視線を向けた。
「あら?戦闘狂のトール様にしては珍しい事をお聞きになるのね。」
エリザベータはそう言うと、見下すようにトールを見据える。
「それはわらわが、凪ちゃんを愛しているから。それだけよ。だからわらわは、凪ちゃんがやりたい事を応援するし、凪ちゃんもわらわとパートナーになってくれた。わらわ達は、愛で繋がっているからよ」
彼女の答えを聞いたトールは、突如フフフと笑い出した。
「そうだろうね。君が羨ましいよ、エリザベータ。君も闘神の血を引いているとはいえ、女性体の君は母親の【淫魔の性】を強く受け継いでいる。サキュバスは共感能力を持つ淫魔。人間と同じように誰かに関心を向ける能力も備わっている。だから君はペットに出会った時【愛】がどんなモノか分かっただろう?だが君以上に闘神の血が濃い弟はどうだ?彼に【愛】を説明できるかい?」
笑うトールを白ける目でエリザベータはにっこりと笑う。
「叔父様、それは口で言って理解できるモノではないわ。人間でいうところの勘というモノよ。わらわはペットちゃんとは常に対等な立場。でなければ自身の感情も相手の感情も分からないわ」
「それは困った答えだね。私達闘神は戦神(いくさがみ)だ。戦神は相手を支配下に置き、従僕させる事で関係が成立する。アルカシスは淫魔とはいえ受け継いだのは【闘神の性】だ。君の理論ではアルカシスは【愛】を得る事はできない。彼に共感能力は備わっていない。故に彼は『命の契約』をしなかった。そうだろ?アルカシス」
トールの言葉にアルカシスに怒りが込み上げる一方、エリザベータはにっこりと崩す事なくフフフと笑う。彼女のその笑みは、トールを見下したかのように吊り上げている。
「あら、それは尚早なご判断ですわ。アルちゃんも半分は淫魔の血があるのですから、淫魔だから闘神だからと決めつけるのは極論に過ぎません。むしろ、戦神の貴方の下にいる取り巻きちゃんがショウちゃんに釣り合うのかしらん♡わらわぁ、ショウちゃんが心配ぃ」
そう言うエリザベータはアルカシスに目配せする。彼女の合図を察したアルカシスは瞳の色を鮮やかな赤色へ変化させると、彰とこれまでのやり取りを回想する。
儚さが印象的だった、繊細な人間の青年。
あの人間界の夜、出会った当初はやつれていて、瞳が濁っておりそのまま死んでしまうと思った。
だが自分の城へ連れてきて、丁寧に世話をしていくと、彼に宿った瞳の濁りが消え、美しくなっていく彼を見ているのが楽しくなった。
だがあの時、淫魔界に降り続く雨の調査に赴く直前に見たベッドで眠る彼が流した涙に、どうして泣くのか分からなかった。
あの涙の意味を、知らなければ彼の美しさが消えてしまう。
アルカシスはもう一度、大剣をトールに向けて言った。
「叔父上、不要なご配慮は謹んで辞退致します。貴方が人間を支配して夫婦関係を成立するならば、私に反抗するショウの姿を見るまで貴方に殺されるわけにはいきません」
* * *
ーーガキィンッ!
大剣を構えるアルカシスを見てオーディンは大槍を構え彼に襲いかかる。
「諦めろ、アルカシス」
自分に降りかかる槍を、アルカシスは大剣で受け止める。目の前の槍は、持ち主の背丈を超える長さだった。
「接近戦でその槍を使われると、貴方に勝機を見出す事はできません、オーディン殿」
「ならばそのまま私に殺されてもらおうか、アルカシス。あの青年はロキの妻だ」
「ーーだから今回は貴方を卑怯な手段で倒させて頂きます」
アルカシスは片手で大剣を持ったまま槍を受け止め、懐から小さな巾着袋を取り出すと素早くオーディンの眼前に投げる。
「うわっ!?これはっ!」
「オーディン兄さんっ!?」
「オーディンっ!?」
突然の不意打ちを受けたオーディンは、開眼できず槍を持ったままアルカシスから離れた。
視界が霧がかっているようで見えづらい。一体何をした。
目を手で覆ったままオーディンは言った。
「なっ、何をしたっ・・・」
すぐに強い目の痛みを感じる。痛みで開眼ができない。
「私が調合した毒粉です。一時的に視界不良になるのみで時間が経てば自然に視力は戻ります」
瞬時にオーディンと距離を詰めたアルカシスは大剣をオーディンの腹に一太刀裂いた。
「グッ・・・、貴様っ」
「すいませんが時間がありません。あの洗脳は時間が経てば経つほど解除する事が不可能になるのは知っていますから、手短にさせて頂きました。恨みがあるなら、いつでもお相手します」
「グッ・・・くそっ」
アルカシスに一太刀裂かれた腹から出血が止まらない。これを見て驚いたライアンがオーディンのもとへ駆けつけた。
「オーディン!しっかりして!」
「心配するなライアン・・・、出血はすぐ止まる・・・」
「オーディン殿の言う通り、すぐに止血されます。殺生は好みません」
アルカシスのその背後から、彰を抱えたままトールが巨大なハンマーを振りかざす。気づいたアルカシスは、ひょいっとトールの頭上を一回転するとギィン!!と大剣をハンマーに撃ちつけた。しかしトールは、ハンマーで剣を防御する。
トールの緋色の瞳は、アルカシスを捉えるとさらに赤い輝きを増す。
「やってくれたね、アルカシス。また250年前のように、どちらか倒れるまで暴れ回ろうか?」
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