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調教8 淫魔による最後の調教

5 一希の意思

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カミールの挑発する目つきと一希の腹部に刻まれた淫紋をヴィンセントは交互に見つめた。
刻まれた淫紋は、暗示にかかり動けない一希の腹を脈打っているようだ。まるで自らを主張するかのように。

それを見て、何も言わないヴィンセントをカミールはせせら笑った。

「両性具有化が完了してすぐに一希を抱くなんて、本当に君は手が早いね。一希を誘惑して、淫紋を刻んだんだろ?」

「違う。これは一希の意思だ」

「アハハハ」

突然カミールは大声で笑い出した。その笑い方は、まるでヴィンセントを嘲笑している。
可笑しくてたまらないと言わんばかりに。

「何が一希の意思だ。可笑しくて大笑いしてしまったよ。淫魔王に抱かれて両性具有化が完了したら、淫魔の誘惑にはただ従うしかないだろ?それを一希の意思だって?可笑しすぎて笑い死にしそうだ。相当この子に入れ込んでいるようだね」

カミールはベッドで言われた通りに脚を開いている一希を見た。
彼の暗示にかけられても感情は残されカミールに弄ばれている。脚を開いた状態にされた一希は、カミールを目頭に涙を溜めたまま見つめた。

「カ、カミール様・・・」

見つめる一希を、カミールは何か思いついたようにヴィンセントに言った。

「そこまで君が言うなら本人に聞けば良いね。折角いるんだから」

脚を開いた状態の一希の脇腹に手を差し入れたカミールはそのまま自身の身体と一希の身体を密着させ、開脚させた状態でヴィンセントに見せつけた。

「一希、教えて。ヴィンセントを受け入れたのは、本当に君の意思?」

それに応えるように、一希は口を開いた。

「そう・・・です」

術中にかかっても是とした一希にさらにカミールは深く掘り下げて聞いた。

「そう。ヴィンセントに無理矢理両性具有化されても?」

その問いに一希は口をつぐんだ。

「おや、どうしたの?話せない筈はないんだが」

カミールが答えを促すが、一希は口をつぐんだままだ。
この反応に気を良くしたカミールは口端を吊り上げると、さらに一希に言った。

「いい事を教えてあげる。淫魔王に両性具有化された人間は、身体だけでなく、心も淫魔王に支配される」

これに一希は、混濁した瞳でカミールを見つめた。対してヴィンセントは、何も言わず黙って一希とカミールを見ていた。
カミールは続けて言った。

「淫魔王に身体を両性具有化されると、どんなに拒絶しても最終的には受け入れざるを得なくなる。なぜなら魔力を身体に循環させて身体の変化に伴って心も変化していくからさ」

人間の身体と心は繋がっている。一度でも淫魔に抱かれ、身体に変化が始まってしまうと、自然に心もついていってしまう。これは身体と心のバランスを均衡に維持するためで、これがバランスを崩してしまうと最悪人格が崩壊してしまうからだ。

その事を淫魔達は心得ている。だから本来は、番になる人間が現れた時、無理矢理抱くのではなく、少しずつ関係を築いて身体の関係へ誘導していくのだ。
そうしなければ、長く番と生きていくうちに少しずつ綻びが生まれ、やがてその綻びが自身を滅ぼす事も知っているからだ。

ヴィンセントは一希の意思で番を受け入れたと言っている。しかし無理矢理ドールハウスに収容し調教といって一希と無理矢理セックスに及んだ。その翌日に両性具有化は始まっている。そうすれば、既に一希は彼に支配されたから番を受け入れたという事になる。それは、一希の意思ではない。

カミールはクスクスと笑っている。支配した上で一希の意思だというから、かなり滑稽で可笑しい話だ。

「君だって知っているだろ?過去に人間に恋した淫魔が、無理矢理人間を拐かし番にした末路を」

「だから?」

「同じ轍を踏んではいけない。番に嫌われると、私達は生きてはいけないじゃないか」

実際、過去にも番を見つけた淫魔王が番の意思を無視して無理矢理身体の関係を持ち身篭らせた例があったが、結果は悲惨なものだった。
子どもを産んだ番は、精神が崩壊し子ども達と番となった淫魔王に憎しみを募らせながら自死した。その後、当然その淫魔王は孤独と絶望を抱えたまま子ども達を残して餓死した。

過去の悲惨な出来事があるからこそ、歴代の淫魔王達は、番の意思を大切にし子孫を育んできた。

だがヴィンセントは、そうなる事は覚悟していた。
7年前に一希を見つけた時点で、既に彼に自分が支配されていた。本来ならリーアムを撃った後、ゆっくりと関係を築くつもりだったがそう言っていられない事情ができた。

一希の霊力が上がり始めた事をリーアムの知るところとなったのだ。

そうなれば、リーアムは必ず一希を狙う。先に一希を手元に置き、この子の命を守らなければならない。
だから、あの夜一希を誘きよせて彼をドールハウスへ連れていき、彼と関係を結んだ。

一希には、リーアムに狙われていたと説明した上で番を受け入れると言ってくれた。しかしこれから、一希の意思がどうなるかは分からない。もし、一希が自分に憎しみを向けた時、それは自分の責任として受け入れなければならないだろう。

ヴィンセントはカミールから一希に視線を移した。

自分が施したとはいえ、裸で自分やカミールに向かって脚を開いている一希の姿を見ると、身体中から彼を欲しているのが分かる。今すぐにでもその透明な粘液が流れ出る蜜穴に、自らの欲望を突き入れ一希の中を満たし繋がり合う事の幸せを感じていたい。

「ほら、一希が欲しいだろ?そんなところで立っていると、私がこの子を頂くよ?」

何もしないヴィンセントにカミールは煽るように言った。
妖艶であられもない一希の姿に、ヴィンセントは脳芯がクラクラする感覚を覚えた。
今自分は、一希に欲情して心臓の鼓動が速く脈打っている。
カミールから視線を移した一希が、何もしないヴィンセントを見つめている。

弟の暗示にかかっているとはいえ、両性具有化によって豊満な胸が艶かしく揺れ、その中心にそそり立つ乳首と開かれて粘液が流れ出る蜜穴が自分を欲しているかのようにヴィンセントには見えた。

ヴィンセントは意を決したようにカミールと一希へ近づいていく。

「いいよ。私も参加しよう。一希、私を誘ったんだ。カミールがいるからと、途中で気を失ってはダメだよ」

二人がいるベッドに、ヴィンセントも腰掛けた。





※※※

ヴィンセントは開脚されたままの一希の脚に陣取ると、熱にうなされるようにして泣いている一希の顔に近づいた。

「君が望むなら、ココを舐めてあげる。声は我慢しなくていい。思うがままに出しなさい」

「はい。ヴィンセント様・・・」

ヴィンセントは一希の開脚され奥まったソコに自身の舌を這わせて流れ出る粘液を丹念に舐め取っていく。
ぷっくりしたそこは、舌で舐められる度トロトロと粘液が溢れ、さらに舐め取っていく。ヴィンセントも一希の奥まったソコの匂いに欲情し、舌で舐めるスピードを速め、刺激でピクピクと勃起したペニスの先端を指の腹でコネコネと愛撫したり、痛みが無い程度に陰嚢を丁寧に揉み込んでいく。
彼の丹念な舌使いとペニスや陰嚢への丁寧な指使いに、一希は快感でビクビクと腰を震えさせた。

「ああ・・・!ああ、いい・・・!ヴィ、ヴィンセント様っ・・・!」

ジュクッ、ジュクッと一希の快感に戦慄く喘ぎ声を聴きながら、ヴィンセントやカミールも煽られるように強い愛撫を施していく。

「ああぁ・・・!ああ・・・!んっ、んうぅ・・・」

カミールは一希の豊満な胸とその勃起した乳首を指で愛撫しながら、自らの唾液を一希の口腔内ぬ流し込み、一希の唾液と混ぜ合わせて、自身の舌で一希の口腔に送り込んでいた。さらに一希の舌を自身の舌に絡め、口腔内でチュパッ、チュパッと一希の舌を堪能する。
一方ヴィンセントは、ひたすら溢れ出る一希の透明な粘液を啜るように愛撫していた。自身の舌を一希の蕾を丁寧に解すように舐め這わせ、さらに粘液が溢れ出るよう促していた。
どちらの愛撫にも一希は身悶え、その妖艶な一希の色気に淫魔二人はさらに欲情し、その精気を吸い取っていた。

一希の精気を吸い取るカミールは、快感に戦慄き、淫らな彼の姿と相まって、得る精気の甘さと質の良さに感嘆な声をあげた。

「君の精気はなんて素晴らしいんだ。快感だけでなく、私の魔力が漲ってくる」

「ああぁ・・・!ああっ」

下は、まだヴィンセントが愛撫している。彼も一希の精気を得て欲情しているのが分かる。彼の頬が火照って、一心不乱に愛撫を施している。

二人に愛撫され、一希は二人にされるがまま快感を享受している事を伝えるよう喘いだ。
あの恥じらいさが今はすっかりなくなり、ヴィンセントとカミールを誘っているような熱を孕んだ瞳を向けている。今の一希は、二人の淫魔にとって熟れた甘い果実そのものだった。

ヴィンセントは一希の下半身から舌を離すとカミールに言った。一希の奥は彼の舌に愛撫され、割れ目は赤く膨れ、トロトロと溢れ出てヒクヒクと刺激を待ち侘びるよう動いている。

「もうここは熟れた。挿れても大丈夫だろう」

言葉から、早く一希と繋がれと催促されているように読み取れなくない。
ヴィンセントに促され、一希の奥を覗いたカミールはこれに芯からゾクゾクしたものを感じ、生唾を飲み込んだ。 

ココに、自身の興奮したモノを挿れた時の快感を想像するだけで、さらにモノがドクっと脈打っているのが分かる。焦ったカミールは兄を見た。

「一希の身体に魔力を定着させるためだ。早くしろ」

あくまで、一希のため。

そう言わんばかりの態度だが、カミールにとってみれば好都合だ。
人間相手に、こんなに自身が滾っているのは、一希が初めての事だ。

何としても、この子を頂く。

カミールは一希の下肢に移動すると一希の両膝裏を持ち上げて自身の猛ったモノを挿入口にぴったりとくっつけた。

「一希、いくよ・・・!」

そのままカミールは、自身の興奮したモノを一希の中に挿れた。その熟れた肉ひだが挿入された刺激に戦慄き、すぐ自身のモノに絡みつく快感にカミールは快感で戦慄き、挿入されて脳芯まで走る快感に一希も悲鳴をあげた。

「ああぁ・・・」

「あああっ」

カミールと一希は挿入と同時に揃って戦慄いた。絡まり合うモノと肉ひだが二人を絶頂に導こうとしていた。

「一希・・・!」

全身を巡る快感に戦慄くカミールは一希の腰を両手で掴むとそのまま腰を前後に抽出するよう動かす。

抽出から擦れる刺激でカミールも一希も快感に喘いでいる。
二人のまぐわう姿に、ヴィンセントはカミールと交代する形で一希の胸を弄ぶ。片方は乳首を口腔内ぬ含み舌で舐めたり吸ったりしている。もう片方は、自身の長い指と爪で一希のコリコリになった乳首を摘んだり引っ掻く。

「ああっ、ああぁ・・・!んぁ、あっ!す、すご・・・!きもち、いぃ・・・!」

グチュ、グチュッ、グチュッ、グチュッ。
ジュル、ジュルッ、ペロッ、ペロッ。
徐々に抽出のスピードが速くなっていく。グチュ、グチュッと粘液が擦れる音はその感覚が狭まり、一希とカミールが絶頂に向かうのがもうすぐだと教えている。
数回抽出するカミールの腰が、最後の一突きで一希の奥まで貫いた途端。

「ああぁ!!」

カミールの一突きからすぐ、一希の奥から噴射するように粘液が放たれた。
それに応えるように、カミールも一希の腰を両手で掴み貫いたまま、中で精液を吐き出した。吐き出した瞬間、カミールは全身に走る快感に背中を仰け反った。
二人の絶頂の様子を見ていたヴィンセントは一瞬目を見開いたが、一希が絶頂を迎えたのだとすぐに理解した。

「一希・・・」

カミールと一希は、絶頂を迎え呼吸を整えながら互いを見つめた。互いに、まだ熱を持っている。このまま繋がっていたらすぐにまた快感が昇って来るだろう。

「このまま、もう一度しようか・・・?」

カミールは呼吸を整えながら、一希に聞いた。一希も呼吸を整えながらカミールを見つめる。その瞳は、カミールの暗示が解かれ、サファイアブルーの瞳がカミールをしっかり捉えていた。

「これで、終わりだろ?カミール」

「っ!?一希」

暗示が解かれている事にカミールは驚いた。ヴィンセントも、一希がはっきりと拒否した事に驚きを隠せなかった。

「どうして・・・」

暗示が解けたんだ。
そう言わんばかりのカミールの表情に、一希は胸を上下に動かしながら言った。

「こんな事したって、無意味なのは、お前が分かるだろ?俺が、決めたのは、ヴィンセントで・・・お前じゃ、なぃ・・・」

そのまま一希は、力尽きたように瞳を閉じた。

「一希っ」

自失した一希にヴィンセントは、脈を確かめようと一希の頸部を触った。

弱々しいが脈打っている。
激しく互いを求めたのだ。絶頂に登り詰めて、疲労困憊だったろう。

安心したヴィンセントは、呆然と繋がったまま動かないカミールに言った。

「分かったか?カミール。これが一希の意思だ」

「ーーっ!?」

カミールは一希から自身のモノを抜くと、ヴィンセントの胸ぐらを掴んで睨んだ。

「これが一希の意思だと・・・!ふざけるな!これは貴方が支配した姿だろう!これが一希の意思なら、これじゃまるで・・・!」

最初から、意味のないセックスだったのだ。ただ自分は、一希の魔力を定着させるため、兄に利用されていただけ。

「よくもやってくれたな・・・!」

カミールはヴィンセントを殺気を込めた目つきで睨んだ。対してヴィンセントは素知らぬ顔で、胸ぐらを掴んでいるカミールの手を振り払った。

「お前が最初から一希を愛していなかった。それだけの事だ」

自分の眼下で自失している一希を見たヴィンセントは、汗と唾液でべったりした一希の横髪を耳にかけてやり、指に付いた一希の体液をペロッと舐めた。

「お前の言う通り、淫魔王に身体を両性具有化されると、どんなに拒絶しても最終的には受け入れざるを得なくなる。一希が既に私に支配されて番を受け入れたと解釈してもおかしくはない。だがこの子は、私が思う以上に自我があり、私が思う以上に慈悲深い」

ヴィンセントは一希と今まで何があったのか全て話した。
速水が殺されるのを察知して一度は番を拒否して人間界に帰還した一希。これはこの子の自我が、自分を敵視した結果だろう。
リーアムと自分達の因縁を知り、番を受け入れてくれた一希。これはこの子の慈悲が、自分を受け入れると判断した結果だろう。

どちらも、一希が自分から知ろうとして得た真実からこの子が導いた答えだった。
ヴィンセントはこの二つから、これはこの子の意思である事は間違いない。そう判断した。
この先、この子が自分を憎む事があったとしても。

「信じられない」

カミールは驚いた様子で言った。
自分もそうだが、兄の魔力も強大だ。一度自分達の毒牙にかかれば、決して自分の意思を持つ事なんてできる筈がないのに。

「カミール。人間は私達の想像以上に自我も強ければ思考も深いのだ。私達が人間を支配するのではなく、私達が人間に支配されなければならないのだ」

そうでなければ、自分は生きていけない。だから歴代の淫魔王達は、番の感情に敏感になり、番の意思を尊重したのだ。

「兄さん・・・」

カミールは羨ましげにヴィンセントを見た。
ヴィンセントは自失した一希の頬を愛おしそうに撫でている。その表情は穏やかで、今まで自分が見てきた兄とは全く違う物だ。その姿に、兄を羨ましいと思いながら、同時に自分にも番になる人間が欲しいとカミールは思った。
カミールの視線を感じたヴィンセントは、ため息をついて言った。

「何をしている。早く服を着ろ。一希に暗示をかけた事は許し難いが、まだお前には仕事がある」

カミールは禍々しく巨大な魔力を感じた。これは、リーアムだ。
ヴィンセントも気づいたのだろう。部屋の窓がリーアムの魔力に振動を受けてガタガタと動いている。

「来ると思っていた。この森は日本よりは奴の拠点と近いからね。カミール。我が番を守れ。再び一希を支配しようとするなら、次は消滅させる」

ベッドから立ち上がったヴィンセントは、サイドテーブルに置かれた赤い石を持って部屋を後にした。
残されたカミールは全く目を覚さず眠り続ける一希を見て嘆息した。

「ヴィンセントをここまで人間に近い存在にするなんて、なかなかすごいね、君。ヴィンセントが、すごく羨ましくなったよ・・・」

ーー番を見つけると、淫魔も変わる。

誰かが、そう言っていた事をカミールは思い出した。
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