その瞳の先

sherry

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しばらくして、湊斗が俺の顎に手をかけ顔を向ける。

「で、その怪我はどうした?昨日何があった?」

昨日の事を知らない?風紀から連絡が入ってるはず・・・

「風紀から連絡あっただろ?昨日月島が制裁にあった。俺月島とペアだったからさ...その・・・」

俺はあまり思い出したくもないことまで頭に浮かべながら昨日の出来事を話した。

「そんな事聞いていないぞ!確かに何件か報告はあったが、お前達のことは聞いていない。昨日冴島も月島を探していたが俺たちは何も聞いていない。」

えっ・・・聞いてない?大体イベント中に起こったことは風紀から生徒会へと報告されるそれなのに何故?

「それで、大丈夫なのか?」

「とりあえず2・3日は安静かな。そこまで酷い怪我じゃないし、全身筋肉痛だけどね(笑)」

「そうか・・・無事で良かった・・・が 、連絡位しろ。何かあってからでは遅いんだぞ。とりあえず風紀には後で確認しておく」

連絡・・・出来るわけがない。だってあの時亜蓮といるお前を見てしまっていたから・・・

「うん。ごめん。だから飯食べさせて♪」

おどけながら湊斗に言うと、呆れながらも食べさせてくれた。
その後、テレビを見たり会えなかった時の話をして久しぶりに2人でまったりした。
寮は個室なので、いつも湊斗はそのまま俺の部屋に泊まる。だから俺の部屋には湊斗のお泊まりセットが置いてある。
流石に体を重ねることは出来なかったが、その分会えなかった時間を埋め合わすように抱きしめあって眠った

「零好きだ」

「俺も湊斗が好きだよ」

そんな幸せな夢を見た。
翌朝目覚めると隣に居たはずの湊斗の姿はなかった。
ただ確かに昨日一緒に居たはずの人物の微かに残る温もりと残り香だけがそこにあった。

しばらくして携帯に着信があることに気づく。
湊斗からだった。

≪すまん。亜蓮が体調を崩したらしくて様子を見てくる。≫

どちらが大切かなんて分かっていたはずなのに、昨日の湊斗があまりにいつも通りだったから・・・甘えてしまった。
馬鹿だな・・・俺は・・・

虚無感を抱きながら湊斗に返信をした。

≪おはよう。分かった。亜蓮の側にいてあげて≫

俺はそのままベットに沈み、これからの事を考えた。
湊斗と亜蓮の事、親衛隊の事、この先どう動けば皆が笑顔で居れるのか・・・そして自分の事・・・


守護者の瞳・・・俺の瞳は今・・・ あの時より色彩が減っていた。

午前10時・・・朝食べる気が起きずやや遅めの朝食をするため部屋の冷蔵庫を開ける。
そこには昨日一緒に食べようと湊斗が買ってきたサンドイッチが入っていた。

食事を終え、何もする気になれずボーッとしていると、携帯が鳴った
ディスプレイをみると煌夜からだった。

「もしも「生きてるか?飯食ったか?昨日連絡がなかったからどうしてるかと思ってな」生きてるよ!飯は昨日湊斗が買ってきてくれた」

「だよな!良かったな。動けるようになって。今も会長と一緒だろ?会長に一昨日の件で話があったんだが、また後でにするか」

「ん?一緒じゃないよ。俺今1人」

「 じゃああれは神坂のほうか?さっきコンビニで会長と一緒にいたからお前かと思ったんだが」

「そっか。 パッと見だと似てるからな(笑)」

コンビニ?亜蓮体調崩したんじゃないの?今も一緒にいる?
湊斗からのメールが来たのは朝方・・・それからずっと一緒に?

「あぁ~すまん。動けるなら今日月島が帰って来るから一緒にと思ったんだが・・・」

「行くよ。っても保健医と一緒じゃないの?」

「昨日検査結果は聞いているし、保健医は今日休みだからな」

「そっか。分かった。じゃあ着替えて玄関前に行く」

俺はそのまま着替えて携帯とカードキーを持って部屋を出た。 
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