【加筆・修正版】最期に、お願いです…… 本編完結

ビーバー父さん

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17 神様のギフト 本編完結

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神様のギフト

そうとしか思えなかった。

あの再会のあと、帰国してからの事を話してくれた。

まずは事務所に行き、僕の復帰やらそう言うのは本人がやりたいとか道を考えたら話すって事で取りまとめて来たそうだ。
日本では示談にした相手が海外迄追いかけて僕を刺したと、凄いニュースが駆け巡ったらしく結局僕の過去は詳らかにされてしまった。
だけど、そこは二人と事務所のお陰もあって、真実が当時流れた噂とは違うと言う事がマスコミに流れ、新庄やその仲間たちが他でも似たような事をしていたと公表されたのは、あのCAのテオドール・永井からの脅迫メールや、録音されていたデータのお陰で警察が動いて過去の犯罪が暴かれたからだった。
逆恨みされないかって怖かったけど、弟は裁判が始まる前に自ら命を絶ったそうだ。
アイツは薬物依存になって廃人同然で親の伝手を使って、専門の病院に入院していて多分一生出てくることは出来ないと言う事だった。
そして、新庄の病院は田舎のあの場所では続けられず、閉院して別な土地へ移って行ったらしい。
事務所を通して慰謝料を受け取った時に、こんなあらましを聞かされた。



あとは、僕の為にお父さんとお母さんに連絡を取ったら、前にボクが住んでた家に来てるからってすぐに会って、僕の為に何か協力したいとか、いっそちゃんとした家族になりたいとかそんな話を出して、考えてくれと僕の所へ送り出してくれたそうだ。
僕の所に行ってる間に、顕彰さんは妹さんの旦那さんに、お店を引き継いでやらないかと打診をしたら、下手な飲食店に勤められるより良いと妹さんが推したそうで、そのまま今は義弟さんがやってるそうだ。
自分たちの事は済ませて、戻って来た両親に今までの事、今後の事を話して自分たちを使って守らせてくれって言葉に、お父さんもお母さんも絆されちゃって、何かあった時に他人だと何も手続き出来ないからって養子にしたそうだ。
お父さんもお母さんも、ちょっと、ねぇ、どうなの?
もしかしたら悪い人で、借金作ったり保険かけられたりとかしたらどうすんだよ、って突っ込んだらそれでも僕を守るって言ってくれた二人の言葉を信用したって。

「私たちはもういい年で、君より長くは生きられない。
 でも、こんなに君を想ってくれるなら、そのバトンを渡したくなったんだよ」

「そうよ、希ちゃんが少しでも幸せにしてもらえるなら
 お母さんたちは全力を尽くすわ
 もし、これが間違った選択だったとしてもね。
 だって、せっかくの人生よ
 最期に笑って終わった方が良いじゃない」

「そうだ。
 最期は笑顔で、君たちにありがとうって言うよ」

「もちろん、私たちはお義父さんとお義母さんを看取るって決めてるし
 希を幸せにすることも決めてるからね」

「そうそう、俺だって、同じだよ
 もう、みんな新名家になってるんだから」

幸せすぎて泣きたくないのに、涙が出て鼻水まで出て、ぐちゃぐちゃのべしょべしょで、しゃくりあげて吐きそうな感じで泣いた。

「もう、希ちゃん
 小さいころみたいよ」

お母さんより高くなった身長なのに、背伸びをしてヨシヨシってされながら、抱きしめてくれた。











こんな田舎でお客さんが来るのかと思っていたら、二人目当てのお客は沢山いた。

カウンターに立つ顕彰さんは、相変わらずオネェだし蓮見さんも今は同じ新名だから、名前で呼ばれて、琉人りゅうとさんもカミングアウトしたゲイって事でなんか人気だった。
そりゃ、二人ともモデルだったんだもん、かっこいいに決まってるじゃん。
意外と田舎でこれってウケたらしくて、人の入りは良かった。

僕は隠れて見ているしか出来なかったけど。

お店の上が今日中スペースだけど、お父さんとお母さんは、上の居住区じゃなくてお隣の家に住んでた。
夜中煩いだろうしって思ってたら、新婚さんの邪魔はしたくないって普通に言われて物凄く恥ずかしくなった。

じゃぁ、昼間は?カフェをお母さんたちがするのかと思ってたら、都会の時と違って25時には必ず閉店するからランチ営業をして、休憩を入れてからの夜なんだって二人が説明してくれて、じゃぁ、お父さんとお母さんは?って聞いたら、孫の世話だと言った。
子猫の麿が孫だって。
ゲイだし、孫を抱っこさせてあげる事も出来ない僕からしたら、子猫を孫だって言う両親に申し訳なく思いながらも、それを受け入れてくれてる事が嬉しかった。


あっという間に店は仕舞いを始めて、ごねるお客さんにも軽くまた明日って言って帰してしまった。

「鮮やか、ですね」

感心していたら、僕がいるのにダラダラ開店しておかないって。

「さぁ、今夜は初夜だね」
「初夜だからね」

「へ?」

「ちゃんと、お義父さんにも、お義母さんにも許可を貰ってるから」

「そうそう、安心して」

「えっと、それって三人で?」

「もちろん、だって選べないし三人が良いって希言ったじゃない」
「マレ言ってたよ」

どこからどこまでが夢と言うか妄想だったんだ?

「えっちな夢見てたんでしょ?」

それは、恥ずか死ねるレベルでは?

「だからね、もう、ちゃんとマレの気持ちも知ってるから、
 ちゃんと恋人で、夫婦で、家族になろう」

琉人さんと顕彰さんに両脇を抱えられて、二階の寝室へと運ばれました、とさ。






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