子豚のワルツ

ビーバー父さん

文字の大きさ
上 下
111 / 122

慰め

しおりを挟む
ああ、嫌だ。
体が思うようにならない。
喘ぎにも似た熱い息を吐くと、下腹部は爛れた様にぬるぬるとした、透明な液体を溢す。

「い、や、」

嫌、触らないで。
でも吐き出したい。

「ごめん、咲季ちゃん
 薬のせいだから」

「ぁぁ、ゃだ
 触らないで」

乳首も、おちんちんも、全部気持ちいい。
でも足りない、足りない、足りない。
お願い、お願い。

「何を?」

「っ、ひぁ、あ、ん」

中を擦って欲しい、でも、だめ、トルクがいない。
空を切る手を、掴んでくれた温かい手が、ロゲルだと分かっていた。

「いや、あ、ごめんなさい、ごめんなさい」

「咲季ちゃん、謝る事ないよ」

頭が溶けそうだ。
だめ、だめ、だめ。
おちんちんが心とは裏腹に反応する。
コレしたら、皆んなを傷つける。

「やめ、て。
 助けて、たす、けて、いや、だよ」

触らないで、何で薬に負けてるんだ。
朦朧とした意識の中で、神様に助けを求めた。







トルクがマロの転移魔法で船の中に行き、そこから咲季達が連れて行かれた売春宿へ辿り着いた時には、大分時間が経っていた。

「ロゲル兄上!!
 咲季は?!」

「トルク、すまなかった。
 俺は、咲季ちゃんを助ける為に」

言い終わらないうちに、トルクはロゲルを殴り付けた。

「ぐっ、すまない。
 お前が怒るのも当たり前だ。」

「トルク兄上!
 ロゲル兄上は仕方なく、咲季ちゃんの体から常用性のある薬を抜く為に、緊急措置だったんです!!」

「すまなかった。」

「…分かっている、
 分かっているから…!
 一番自分に腹が立つ!!」

「トルク…」

「咲季はどこだ?」

青褪めた顔から、苦渋の表情を浮かべて咲季の行方を聞いた。

「それが、」
「神様が、連れて行ったの。
 母様が飲まされた薬、毒だからって。」

エリュが割り込んできた。

「幻覚が酷くなっていた。」

ロゲルが俯きながら、自分の爪で血が出るほど握りしめていた。

「お前を探して、ずっと、嫌だと言っていた。
 薬を押し流す為に、魔力を流したら余計に悪くなる薬で、悪化していた。」

「母様が神様を呼んだんだよ!」

トルクに神を呼び出す術はなくて、ただ、咲季を戻して貰えるのを待つしか無かった。

「父様!
 母様は無事!
 神様に任せて良いの!
 だけど、シュリ兄様が連れて行かれたから、助けないと!
 早く!」

エリュが咲季は神様のとこにいるから、大丈夫だと言い、シュリを助け出さないと大変だと騒いだ。





神殿で奴隷を売買していた、と言う事実が掴めてシュリは、ここに用は無いとばかりに出て行こうとした。
脳筋故に、真正面から出て行こうとしたので、当然見つかるし格闘になった。

「メンドクサイ」

「待って。待ってください!!
 貴方様を奴隷として買ったわけではないんです!
 ここで神の子として、伴侶を持っていただきたのです!!」

見た目的には可愛い部類の神官服を着た青年が、シュリの足を止めさせた。

「それは何故だ?」

「貴方様が限りなく、白だからです!」

懇願するように、シュリに告げた。

「神は黒だろうが」

それを蔑むわけでも無く、ただ、見下ろしていた。

「他の国では黒でも、この国では城を信仰しているのです」

「そうか、だが俺は黒が好きだ。
 因って、白に特別な感情は無い。
 失礼する」

「行かせません!!
 では、無理にでも貴方様を支配させて頂きます」

その神官の青年は、魔法陣を展開した。

「神官が人身売買するくらいだもんな。
 無理やり支配をするのもアリか。」

『シュリ、遊んでないで、母様が大変なんだ』

フロウの声が、咲季の緊急事態を知らせた。

「母様が!?」

気持ちが揺れたそこを、青年神官の支配魔法がシュリを絡め捕ってしまった。






しおりを挟む
感想 34

あなたにおすすめの小説

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果

てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。 とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。 「とりあえずブラッシングさせてくれません?」 毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。 そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。 ※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。

完結·助けた犬は騎士団長でした

BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。 ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。 しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。 強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ…… ※完結まで毎日投稿します

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご
ファンタジー
 アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。  最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。  だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。  女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。  猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!! 「私はスローライフ希望なんですけど……」  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。  表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。 ★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

【完結】守護霊さん、それは余計なお世話です。

N2O
BL
番のことが好きすぎる第二王子(熊の獣人/実は割と可愛い) × 期間限定で心の声が聞こえるようになった黒髪青年(人間/番/実は割と逞しい) Special thanks illustration by 白鯨堂こち ※ご都合主義です。 ※素人作品です。温かな目で見ていただけると助かります。

【完結】ここで会ったが、十年目。

N2O
BL
帝国の第二皇子×不思議な力を持つ一族の長の息子(治癒術特化) 我が道を突き進む攻めに、ぶん回される受けのはなし。 (追記5/14 : お互いぶん回してますね。) Special thanks illustration by おのつく 様 X(旧Twitter) @__oc_t ※ご都合主義です。あしからず。 ※素人作品です。ゆっくりと、温かな目でご覧ください。 ※◎は視点が変わります。

処理中です...