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敵国と属国
しおりを挟むワイスが持ち帰った情報に、フロウはやっぱり、と呟いた。
「今まで獣人の特性や性質を考えていたけど、何も地を歩く獣人ばかりではないって事とは思ってたからね。
しかし、鳥獣国ライハンかぁ、随分と遠い国からも狙われたもんだな」
シャズも鳥獣国を気にはしていた。
「ライハンは広すぎる未開国と言われています。
そこがどこかの国と交流があるとは思えませんが…」
マナイはライハンが同盟を組んだとか、開国したという情報は掴んでいなかったので、困惑の色を隠せなかった。
実際、鳥獣国は獣人の国とは違って、卵で産まれて来る事以外、殆ど知られていない国だった。
歴史はそれなりに古いが、魔獣に近い存在で卵を孵せば意のままに使える事から、暗殺などに使われていた。
昨今はその卵も入手を禁じられていて、鳥獣人自体が減っているという話だった。
「何か事情が変わったんだろう。
マロ、ライハンを索敵できるか?」
「やってみる」
「ライハンは、母様に助けを求めてるのかもしれないな」
「フロウ?」
「情報を整理して、考えた結果だ。
好戦的な国ではないライハンが、交流も持たない国を頼ってでも、母様が欲しい理由
そしてあのおっさんが言ってたのは、子供を売るって事。
どう考えても、繁殖が頭打ちになって、絶滅しそうなんじゃなねぇの?」
その言葉を聞いて、周りは納得もしたが、咲季である必要が分からなかった。
「母様は魔獣だろ。
俺たちは魔獣と獣人の間に生まれた子供だ。
そしてハイブリットも生まれてる。
なら、鳥獣人の子も卵ではなくても、母様のお腹なら育つと考えた、これが正解だろ?」
マナイはそんな馬鹿な、と否定した。
「確かに三兄弟は対外的にも公表しているが、ハイブリットは公表していないし、ここでも結界を張って出産させたから漏れてるとは思えない」
「マナイ宰相、ワイスの所のは王宮にいて、そこから漏洩してる。
すでに、ハイブリットは漏洩してると思って行動しないと、後手後手になる」
マロが、先程言われた索敵の結果を出した。
「索敵出来たよ。
可視化するね。
ライハンは密林って感じの国だ。
鳥がメインの種族で、高い木の上を棲み処にして、敵から身を守ってはいるけど繁殖が出来ていないようだ」
マロがライハンの記憶を見せた。
「北端のレイシンは、おばあ様の国だっけ?
白豹が生まれなくなって白豹が欲しい、あわよくば黒が生まれたらラッキーってとこか」
ライハンを見ながらフロウが他の国が咲季を欲しがる理由を解析した。
「確かに小さい子が少ないね。
卵を抱えてる親も少ないし。
原因は乱獲されてるって事かな?」
じゃぁ、乱獲してるのはどこの国の、誰なんだろうって事になれば、浮かび上がるのはレオハルトのリサマールが有力だった、
「エナグラは、リサマールへの牽制ってとこか」
フロウの解析が正しければ、やっぱり一番の原因はレオハルトでありその国リサマールが問題だと結論付けた。
「だから滅ぼそうって言ったじゃん。
あそこの国嫌いなんだよねって。
トルクもそれに同意したじゃん。
もう、滅ぼす一択で!!!」
シャズが駄々っ子のように、喧嘩買おうよ~ってなってた。
「買うためには、下準備が必要です。
攻撃は最大の防御ですよ」
マナイが珍しく好戦的に、その準備のあらましを述べた。
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