子豚のワルツ

ビーバー父さん

文字の大きさ
上 下
65 / 122

成長って…半端ない

しおりを挟む





半年も経つと、立派な青年になっていた。

何事も無かったわけじゃな無かったけど、ほんの一瞬の出来事みたいに通り過ぎて行った。





「咲季お母様、マナイ叔父様と視察に行きますから
 一緒に城下に出ませんか?」

後ろからいきなりぎゅうってされて焦った。

「シュリ!
 視察かぁ、お父様は行かないの?」

「咲季ちゃん、トルク兄上はシャズ兄上に捕まってたよ。
 多分、予算組をまだやって無かったんじゃないかな?」

またあのアホな会話しながらやってるんだろうか。

「シャズ兄上は、仕事したくないときは非常用の備蓄庫に逃げるからね」

「あぁ、あれですね。
 やっぱり。
 災害級の魔物が現れたって奴ですね」

「今回は三頭も現れたそうだよ」

くすくすと笑っていると、シュリがなに?って顔をした。
トルクそっくりな顔なのに、物凄い武闘派に育ってくれて、今日は視察とマナイ兄様の護衛を兼ねてるから、僕も誘われたんだ。

「じゃぁ、トルクに言ってくるよ。
 多分、フロウもマロもあっちで手伝ってるだろうから。」

「じゃぁ、裏門で待ってるね」




この国は正面に真っ向から王城が建ち、まずは王族が武力行使をして国民を守る役目をしている。
だから、この王城を通らないと、国に入れない仕組みだった。
僕たちが城下へ行くときは、裏門を使う事になる。

国民や流通の為の商人なんかは王城の脇に作られてる、馬車が一台通れるだけの幅の道を使う事になる。
国内に素行のよろしくない人たちを入れないためと、犯罪になりそうな物の流通を抑止するためのシステムだった。
そしてそこにはロゲルの透過魔法が使われているので、申請された人数と合ってなければ当然検査官が立ち入って荷物を調べる。
これって、空港にある様な手荷物検査のシステムみたいだった。

それでも入って来てしまったりするんだ。
全てが防げるわけではなかった。

所謂特権階級の人が持ち込むと、一般の検査官はお手上げであった。
どこにでもいるんだよね、悪い貴族って。

王族がこれだけ強固なら、十分抑止力になると思うのに、国民はそれに甘えすぎてしまって、良くない状況が出ているそうだ。
ある程度の軍隊を編成して、内外に対して力があることを見せることはが狙いだって。
その部隊長をまだ半年にしかならない、シュリに任せようとしていた。

そのための視察をマナイがして、実地訓練も兼ねてシュリが護衛についていた。

ちなみに、僕が誘われた理由は、もし、シュリがダダを捏ねたり暴走したりしたら、叱る役目らしい…。
マナイって結構、悪どい。

城下に出ることをトルクに伝えたけど、ちょっと生返事な感じではあった。

余程仕事が溜まってるんだろう。
最悪、半年近くシャズは遊んでいたんじゃないだろうか?

想像しただけで、やばい気がした。





裏門に行くと、既に二人は準備万端で待ってくれていた。

「咲季ちゃん、可愛いねぇ」

城下に行くって言ったら着せられた猫耳付きのフードコートに、割と太目なハイウエストのパンツ、丈は短めでショートブーツと言う出立ちだった。

「咲季お母様、私はお母様と伴侶になるよ!」

これ、子供がママをお嫁さんにする!ってやつ?

「シュリには別の誰かが出来るからね」

まだ半年の子供だとこんな時は思い知らされた。
しおりを挟む
感想 34

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

【完結】もふもふ獣人転生

  *  
BL
白い耳としっぽのもふもふ獣人に生まれ、強制労働で死にそうなところを助けてくれたのは、最愛の推しでした。 ちっちゃなもふもふ獣人と、攻略対象の凛々しい少年の、両片思い? な、いちゃらぶもふもふなお話です。 本編完結しました! おまけをちょこちょこ更新しています。 第12回BL大賞、奨励賞をいただきました、読んでくださった方、応援してくださった方、投票してくださった方のおかげです、ほんとうにありがとうございました!

【第1章完結】悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼第2章2025年1月18日より投稿予定 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている

迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。 読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)  魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。  ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。  それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。  それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。  勘弁してほしい。  僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!

棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。

社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈

めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。 しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈ 記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。 しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。 異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆! 推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

処理中です...