子豚のワルツ

ビーバー父さん

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才能

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可愛い。
史上最高に可愛い。
舐めて舐め回したいくらい可愛い!

ミューミュー泣いてるよ。
一人だけぷきゅに近いけど仕方ないよね。
今は、神様が白豹にカモフラしてるけど、僕と同じ豚だもの。

息してる、お腹がふくふくと動いてる。
何この可愛さ。
これ、なんて生き物?
時々、プスプス言うし、こんなちっちゃいのに生きてるんだよ!凄くない?

もう、ずっと見てられるよ。
アレだアレ、洗濯機の渦な。
二層式限定だけど。
全自動とか、ドラム式は論外!
二層式の洗濯槽の方。
ぐーるぐーるぐーるぐる、ずっと渦を見てられる、アレだ。

可愛いは正義、正にうちの子達のことやね!

はあ~いくらでも見てられるよ。

そんな風に時間が経つのも忘れていたら、トルクが入ってきた。




「咲季、起きてたか
 体はどうだ?
 治癒魔法が遅くなってしまったから心配していた。」

「うん、チビ達見てた。
 可愛くて、もう、この子達の為なら、なんでも出来る気がするよ。」

「私もだ。
 本当にありがとう。
 咲季がこんなに頑張ってくれてたのに、私は何も出来なくて、本当にすまない」

「あ!
 そうだ!
 そうだったねー!
 死ぬほどきつかったし、痛かったし!!
 その上戻ってこないって、何、あれ!」

思い出し怒りだ。

正直、胸中はふざけんな!だったわ、あの時。

「あ、ごめん!ごめんなさい!
 つい、二番目の子が黒でびっくりして、父上とか兄上達が、どうする?ってなって…」

「黒豹でしょ?
 それだけじゃない?」

「いや、この世界の黒は神の子なんだよ。
 だから、咲季も黒目黒髪で狙われているんだし。」

あ、そんな設定だった気がする。

「神様が、危ないからチビ達がちゃんと力をつけるまでは、本当の姿は封印されたみたいで、いま白豹だよ。
 だから、そんなに心配はいらないと思うけど。」

「え?いつ?」

「多分、さっき?」

トルクは急いでチビ達が寝ているベッドを覗き込んだ。

「あは、は、いいね、これ!
 これなら安心だよ。」

色がそんなに重大だとは思っていなかった。





しっかり寝て回復したから、トリシュとマナイにお礼が言いたくて、二人の元へいった。

途中で会う、使用人さんたちにもお祝いを言われた。

「おめでとうございます。
 咲季様同様、可愛いわ。」
「おめでとうございます。
 最高に可愛いわ。」
「素晴らしいお子達だわ」
「強くて綺麗で可愛いお子達だわ」
「人化したら、どれ程可愛いのかしら」

相変わらずの様で、ありがとうございます。
腰は引けちゃったけど。





コンコンコンコン

「トリシュ兄様、マナイ兄様
 咲季です、入りますね?」

「ああ、咲季ちゃん。
 もう体調は大丈夫?」

「はい、兄様達は、大丈夫ですか?
 僕のために、あんなに無茶をさせてしまって、ごめんなさい」

二人はそれぞれのベッドでグッタリしていた。

「さすがに、想像の範疇を超えてたから、
 疲れちゃっただけだよ。」

「トリシュは魔力が枯渇したので、しばらくは魔法は無理だしね。
 咲季ちゃんが無事でよかったよ。
 子供達は異変はない?」

「はい、神様が本当の姿のままでは危ないと言う事で、白豹に変えられていますから。
 うちの子たちは皆んな白豹だったと言うことで。」

「こんな事もあるかと思って、結界を張ったんだ。
 外部には漏れないから。」

マナイって、トルクよりも宰相が似合ってると思う。
最初のマナイからは考えられないくらいだった。
可哀想な三つ子だったのが、トアがしでかした事で、更に小さくなっていたのに、僕の為に色々動いた事が、本来マナイやトリシュが持っていた才能を開花させた様だった。

「トリシュ兄様、マナイ兄様
 ありがとう。」

「私達こそ、ありがとうだ。
 いつも居場所のない、居心地の悪い気がしていたけど、咲季ちゃんが居場所をくれた。
 お兄様たちと、あんな風に協力して何かをしたことが無かったし、まして、怒鳴るなんてした事も無かったよ。」

「うん、マナイ兄様、凄かった。
 でも、カッコ良かったし、頼りになりました。」

ふふふって、三人で笑った。
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