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魔力量
しおりを挟む無茶とも言えるマナイの宿題を頑張ってみた。
マナイのスパルタに理由があるのも知っていたから、頑張るしかないのも理解してた。
トアが動いているからだ。
使用人の一人が、トルクに報告しているのを聞いた。
立ち聞きしたかったわけでは無かったんだけど、出て行くタイミングが無かった。
僕とトリシュ、マナイが仲良くなればなる程、トアの事を考えたんじゃないかって、今更ながらに思った。
ずっと守って来た弟だったんだし、皆んなにとっては家族だから。
トアは僕が目覚めた時を知っているし、お腹に子がいることも知っている。
家族なのに、その家族から僕を守ろうとしないといけないのは…トリシュやマナイとっては三つ子の兄弟なのに。
僕に必死で魔法を教えてくれる二人に、僕はトアにやられないだけのものを身に着けて安心させてあげなきゃいけないんだ。
だって、僕が強ければ、トアは何も出来ないんじゃないかな?
僕が弱いから、弱いところをついてくるんだし。
ん?なんかグルグルしてる気が…悩みすぎた?考えすぎた?
って思ってたら、頭の中なのか、眩暈みたいにグルグルして倒れこんだ。
倒れるっていうか、その場に崩れたっていうか、要はお腹は大丈夫だったんだ。
「咲季様!!
どうなさいました!!!」
ワイスさんがちょうど、通りかかってくれて具合が悪くなった僕をベッドに運んでくれた。
多分、着かず離れず誰かが僕の側にいるようにしてくれてるんだ。
部屋で休んでると、トリシュとマナイが心配そうに覗いて来た。
ベッドの両側に二人が腰かけて、大丈夫?って言いながら、この眩暈の正体を教えてくれた。
「咲季ちゃん、魔法を急に始めたから、魔力循環がうまくいってないのかも。
手を出して、反対側はマナイね。」
トリシュはそう言うと、右と左の手をそれぞれが持った。
「魔力って循環させるようにすると、防御にもなるんだよ。
体をめぐる魔力が自然と外に出て、膜を張る様な感じになるの。
でも小さい子とかはうまくそれが出来なくて、ぐずったり酷い子は吐いたりしちゃうんだ。」
トリシュからポンプみたいに何かが押し出されてきた感触があって、それが体中を巡ったら、マナイが持つ手の方に流れて言った感じだった。
まるでどっかでせき止められてた、枯れ葉とかのクズが水の勢いに負けて下流へ押し流されて言った感じだった。
「押し流された感じがしたけど、マナイ兄様は大丈夫なの?」
「咲季ちゃんはいつもさきに人の事を心配するよね
大丈夫。
私たちは循環してる時にいらないものは外に出してしまう訓練をしてきたから」
なんか、王族最強説は、生まれながらのものじゃなくて、こういう努力の上で成り立ってる事が良く分かった。
こうやって離れてみると、レオハルトって顔が良いだけのジャ〇アンじゃん。
「どう?
咲季ちゃんの循環は結構大量みたいだから、毎日一回、私たちがポンプの役目をするね」
言われた通り、魔力が循環したら、体が随分軽くなった気がした。
「良かった、これからは、循環してそれから魔法陣を作るってサイクルでいこうね」
綺麗な笑顔で結構スパルタなマナイは、どっちかていうとトルクに似てる気がした。
「ははは…」
そこに、トルクが駆け込んできた。
「咲季!
倒れたって!」
「トルク兄様、咲季ちゃんに魔力循環くらい教えてあげなきゃダメですよ」
トリシュから、注意をされて今の今まで気づいていなかったと、落ち込んでました。
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