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子豚の中身
しおりを挟む王太子と同じ部屋で、王太子のベッドで寝る。
と言っても、よく犬や猫と一緒にお布団に入ります的なアレです。
伴侶とか言うから警戒してたんだけど、まさに、ペット扱いでした。
うん、ペットだな。
僕は一人の時間が欲しい。
お触り禁止と言いたい!
起きてる間は、執務や色々と忙しいんだから僕を置いていって欲しいのに、いつでも抱き抱えられて同行?させられていた。
初めて執務室に連れて行かれた日は、めんどくさかった。
「レオハルト様、こちらの子豚は?」
初めて連れて行かれた時に、宰相と呼ばれる男の人が王太子に尋ねた。
当たり前だよ。
仕事するのに、豚連れて来るとか無いわ。
そういえば、会社に犬がいるとか猫がいるとかあったな。
癒しとかだっけ。
「私の伴侶候補だ。
帰還した際に、父上に報告したが、
あぁ、そう言えばお前はいなかったな。」
「えぇ、調査に出ておりましたから。」
ん?調査ってなんかあったのかな?
人の国のことながら、あ、獣人か、調査を宰相なんて位の高い人がするなんて、余程の事だとうかがえた。
「討伐の帰還途中で寄った森の中で見つけた。
あまりに可愛い寝姿でな。
従魔契約をしようとしたら、魔法陣を割られた。
はっはっは!
凄くないか?
そして、勇者候補の攻撃すら防いでくれたぞ」
「はあ?
子豚がですか?」
「そうだ、それに名前はさきだそうだ。
自分で名乗ったぞ」
「あの、全てが規格外と言うか…
それが本当のことなら、少し危険ではないでしょうか?
国王もお認めになられているのなら、尚更、
この子豚の鑑定をさせてはいかがでしょう?」
鑑定ってステータスを見るんだろう?
特殊スキルが変態ってバレちゃうじゃん!!
使ったことないけど、使う気もないけど、変態だよ変態。
どんな変態さんのスキルなのか良く分かんないけど、あれか!
変な踊りを踊ったらMPを取れるとか、それか!
ちなみにあの魔法陣を割るやつは、蹄の一撃ってやつだったみたいで、この前スキルアップして蹄の渾身の一撃に変わってた。
変わってから使ってないからどれだけの威力なのかさっぱりだけでど、この世界のスキルに意味が分かんない。
でもこのステータスを周知されるのはちょっと…。
変態ってなきゃいいよ、変態だよ?
しかも痛覚耐性だの、SMプレイの上級者みたいじゃん。
「それなら、さきに許可を取ってごらんよ」
「えぇ?
子豚に許可ですか?!」
おい、失礼だな!
〔ぷぎゅ、ぶぎゅぶい!〕
「さきは嫌なんじゃないか?」
「たまたま鳴いただけでしょ」
宰相はカラカラと笑った。
むっかつく!!
「宮廷鑑定士をすぐに連れて来させます」
執務室の護衛騎士に魔法省から鑑定士を連れてくるように伝達していた。
こっちの意志を無視するんだな?
鑑定が魔法陣なら割って見せるけど、う~ん、どうなんだろう?
ステータスって隠すかなんか出来ないかなぁ。
「さき、嫌なら受けなくていいぞ」
嫌だ、嫌に決まってる!
〔ぶぎゅ、ぶぎゅぷきゅきゅぅ!〕
「あの、本当に、言葉を理解してるんですか?
子豚なのに?」
子豚だけどな!
僕は咲季って人間だったんだから!
プンスカしていたら鑑定士が到着した。
僕も王太子のステータス見ちゃったけどさぁ、でも獅子王と変態じゃ全然違うでしょ。
診られて困らないステータスなのと、見られたら恥ずかしいステータスなのとではさ。
隠しようが無い。
こうなったら、肚を決めるしかない。
もし、このステータスで咎められる様なら、逃げ一択で。
物理攻撃される前に、逃げる、と決めた。
「レオハルト様
鑑定士が到着しました」
「さき、嫌な思いをさせてすまんな」
王太子は僕に謝ってくれたけど、されちゃうことに反対はしていなかった。
僕は納得していないのにさ!
「では、この子豚の鑑定を致します。」
鑑定士の体に白い魔法陣が浮かびあがった。
ここで気づいたんだけど、攻撃魔法は赤い事が多くて、防御魔法は緑とか青系みたいだ。
そして鑑定とか治癒系の魔法陣は白なんだ。
ほほう、と思ったところで、魔法陣なら割れるじゃん!
と、ちょっとだけ魔法陣が僕にかかったところで、ちょんちょんって突いて割った。
はははは!!!見たか!
同意も得ずに見るんじゃない!
獅子王の勝手に見ちゃったけどな!
「え?
割るって、本当だったんですね」
宰相と鑑定士が茫然としていたけど、ちょっとかかったところで少しだけ見られちゃってた。
「最初の項目くらいですが見れましたよ
種族は豚で幼体です。
レベルは15、HP,MP共に1000超えです。」
細かい数字までは見れなかったみたいで、桁数だけを言っていた。
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