子豚のワルツ

ビーバー父さん

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勇者堕ち

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「ピーリング!」

魔法陣が山際を絡め取る。

「デストラクション!」

二段階の魔法なのか…。
そりゃ時間かかるかもな。

見た目に何にも変化は無いし、称号を外せたか分からないから、アイツのステータスも見れたら良いのに。
そう思ってたら、嗅覚が発動した。
えー、嗅覚ってそっち?!
善悪とか、所謂、中身を察知する能力かよ。
トリュフ系じゃなかったわ。
それなら、鑑定とかそっちだろ?と、突っ込みたくなったけど、僕、豚だしな。

嗅覚は相手がどんな人物かわかる能力という事で、山際を見てみた。

種族 人〔成体〕
称号 勇者堕ち〔勇者候補を剥奪されし者〕
Lv.  5

HP  250
MP  350
スキル なし
特殊スキル なし

うわ、見事にただの人になってた。
その前を知らないからなんとも言い難いけど、それよりもまだレベル5!
あれ?僕の最初のステータスより低く無い?
僕のはとステータスを出して見た。

種族 豚〔幼体〕
Lv.  15

HP  1100
MP  2000
スキル 暴食 愛玩 蹄の渾身の一撃 痛覚耐性 衝撃耐性 水耐性 嗅覚 言語理解 
特殊スキル 変態

おー、すげー上がってる!
使い所がわからない特殊スキルもまだあった。
山際自身がもう少し頑張ってたら違ったんじゃ無いだろうか?
そして、もう少し、心が優しければ。

「ルイを追放しろ!」

ステータス見てないのに、大丈夫なの?
僕は分かってるから良いけど。
〔ぷきゅぷひぷきゅ、ぷきゅきゅ?
 ぷきゅぷいぷきゅぷひぷぶきゅぅ〕

王太子は僕を見て、ニッコリと笑った。

「さき、心配してくれてるの?
 大丈夫、称号を壊してしまったからね
 さきが時間を稼いでくれたおかげだ。
 彼は人として、冒険者とかになれば生きていけるよ。
 勇者堕ちとは言え、それなりに強いからね」

そうか、アイツが心を入れ替えて頑張るのに期待だな。
〔ぷきゅ、ぷぎゅぷひぷきゅぷきゅぷひぷきゅぅきゅ。〕

てか、勇者候補より強いなら王太子、勇者じゃないの?
好奇心には勝てなくて嗅覚を使った。


種族 獣人〔成体〕
称号 世界の統治者 獅子王
Lv.  999

HP  999999
MP  999999
スキル 焔の申し子 裁定者 神に選ばれし者 全属性耐性 
特殊スキル 捕食者 愛に殉ずる者

えーっと、これ、もう、神様レベルなんじゃないの?
僕、こんな人に従魔契約されるんだったの?
捕食者って何ー!!

豚の丸焼きにはなりたくないよ。
でも、ここからもう、逃げられる気がしない。
どうしよう、と思っていたらまた抱っこされた。

うおっ、逃げるタイミングだったんじゃね?
約束したしなぁ。
逃げるんじゃなくて、ちゃんと見て知ってから断ろう。

「さきは凄いね。 
 私を守ってくれて、戦ってくれた。」

凄いのはアンタだろ、獅子王とか。
〔ぷきゅきゅぷ、ぷひぷひ。〕

「さきが私に話してくれる言葉が分からないのが悔やまれるよ」

ライオンだった姿が徐々に、キラッキラの王太子へ戻って行った。

うん、なんかこっちの王太子の方が安心する。
ライオンの姿だと、食われるんじゃないかと、気が気じゃなかった。

「父上、さきを認めて下さいますね?」

「あぁ、最初に割った時から認めておるぞ。
 流石に目の前であれだけの事をする子豚を周りも認めないわけにはいかないだろう。
 皆、この子豚さき殿はレオハルトの伴侶候補ゆえ、そのように扱うように」

いや、だからさ伴侶候補って、僕は男だし!
異世界おかしいぞ!

「さき、大事にする」

大事にって、まだ僕は何一つ認めてないからな!
〔ぷきゅぷ、ぷひぷぎゅぷいぷひぶぎゅぷきゅ!〕

抗議をしていた僕のおでこに、ちゅぅっとキスをした。

え?
ちょ、マジか!
〔ぷ?ぷき、ぷきゃ!〕

逃げるに逃げられない気がしてきた。

神様、従魔契約よりピンチな気がするのは気のせいだろうか?

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