3 / 122
まだまだ、子豚です!
しおりを挟むイケメン王太子に何故か抱っこされて、城に連れて来られた。
白馬に乗った王子様が、子豚を抱える絵はおかしいと思う。
まあ、籠とかならまだ許せるし、逃げたかもだけど。
そして未だに僕は王太子に抱っこされたまま、国王に謁見されてます!?
「レオハルトよ、討伐ご苦労だった。
して、その魔物は?」
「はい、父上
この者、かなり特別な子豚故、連れ帰りました。
いずれ私の右腕として成すかと。」
「ふむ
豚の魔物を側に置くのか?
いくらなんでも、な
非常食とかなら分かるが」
国王の言葉に、側近達から失笑が漏れた。
「いえ、この者は言葉を理解しております。
心なきお言葉はお控えください。」
「従魔契約をしてしまった後か…」
「いえ、しておりません。
契約の魔法陣を、割られてしまいました。」
「は?
魔法陣を割る?」
「はい」
騒つく人達がまさか、とか、おかしいとか言っていた。
「えぇ、無理矢理契約しようとして、割られました。
ですから、ちゃんと話してお願いをしてから同行してもらい、この子の判断で契約をする約束にしました。」
「レオハルト、この豚がそれを理解したと?」
「はい。」
そうだよ!僕は自分の意思で此処に来たけど、豚だからって舐めんなよ!
〔ぷぎー!ぷきゅぷひぶひぷぎぷぎぷきゅ、ぶい、ぶぎゅぷぎぎぷぎゅ!〕
断固抗議する!
「ふふ、ね?
ちゃんと理解して文句を言ってますよ
可愛いくないですか?
私はこの子の寝姿と、この特別な力に惚れたので、将来はこの子を伴侶にするかもしれません」
はあ?!
〔ぶひ?!〕
ぐりんと王太子を振り返って見た。
この上なくデレた表情で、僕を撫で回していた。
いや、いや、正気になろうよ!
〔ぷき、ぷき、ぶきゅきゅぷひ!〕
「ね、父上、可愛くないですか?」
「ほう、それ程か
まあ、レオハルトがやっとその気になったのなら、良い事だしの。
して、その豚、いやその者に名はあるのか?」
「従魔契約をして付けようと思いましたが、それは叶わなかった為、まだでございます。」
「では、此処で皆に知らせる為にも、仮の名付けをすべきかもな。」
「はい、良い名を道中考えましたが」
名前って僕にはちゃんと咲季って名前があるんだから!
〔ぷきゅぷひぷぎゅぅぷひぷひゅぷきゅきゅぅ!〕
「ん?
名前は付けない方が良いか?」
違う!
首を振る。
「名前があるのか?」
うん!うん!そう!
こくこく頷いて、意思を示すと更にどよめきが上がった。
「名持ち?なのか?」
「従魔契約もせず、名前を持つ魔物など魔王レベルではないか!」
へ?魔王?
〔ぷ?ぷきゅ?〕
違うよ、そんな力もないもん!
〔ぶきゅ、ぷきゅきゅぷひぷひ!〕
「父上、この子はそんな悪ではありませんし、まだ子豚です。
私が悪い方向へいかないよう、育てます」
キラッキラの笑顔で言ってるけど、僕中身は16歳だし、この世界とは関係なく生きて行きたいし、伴侶とか頭湧いてるとしか思えない王太子と一緒なんて怖いよ。
「さあ、名前を教えておくれ?」
咲季、さきだよ。
〔しゃきゅ、しゃきゅぷ〕
「しゃきゅ?」
さ、さ、き
〔しゃ、さ、きゅ〕
「さきゅ?」
ふー、ふー、口が回らないよ、もう一回。
さ、き
〔さ、き〕
おー、言えた!
「さき、か?」
そうそう!
〔ぷいぷい!〕
「さき、可愛い名だ」
「さきと申すのか。
自分で名乗るとは、すごい子豚だな
だが、レオハルトよ、
もし、このさきが悪へと動くようなら勇者ルイに討伐させる。
覚えておけ」
「父上、勇者が現れたのですか?」
「おぉ、紹介がまだだったな。
ルイだ。」
現れたのはやっぱり、山際瑠偉だった。
おしゃれイケメンだと思っていたけど、この世界じゃ、普通だな、普通。
そして、相変わらず性格は最悪な感じだった。
「王太子殿下
ルイ・ヤマギワです。
宜しくお願いします。
で、その豚を始末すれば良いですか?」
「いや、この子は私の可愛い子だから、指一本触れないで頂こう。」
僕でも背中がビリビリするくらいの威圧を感じた。
「マジか!
はっ!豚を可愛いとか、目ぇ腐ってんじゃねーの?
豚だぜ、豚!
最後は物凄いデブになる上に汚くね?」
「私の伴侶を愚弄するか、勇者モドキよ」
キラッキラから、ザワザワと髪やらが逆立って、姿が全身毛に覆われたライオンに変わった。
獣人族ですか。
体は人間だけど、見えるとこは毛に覆われて顔はライオンだった。
2
お気に入りに追加
791
あなたにおすすめの小説
獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。
2023/04/06 後日談追加
【R-18】僕のえっちな狼さん
衣草 薫
BL
内気で太っちょの僕が転生したのは豚人だらけの世界。
こっちでは僕みたいなデブがモテて、すらりと背の高いイケメンのシャンはみんなから疎まれていた。
お互いを理想の美男子だと思った僕らは村はずれのシャンの小屋で一緒に暮らすことに。
優しくて純情な彼とのスローライフを満喫するのだが……豚人にしてはやけにハンサムなシャンには実は秘密があって、暗がりで満月を連想するものを見ると人がいや獣が変わったように乱暴になって僕を押し倒し……。
R-18には※をつけています。
俺の伴侶はどこにいる〜ゼロから始める領地改革 家臣なしとか意味分からん〜
琴音
BL
俺はなんでも適当にこなせる器用貧乏なために、逆に何にも打ち込めず二十歳になった。成人後五年、その間に番も見つけられずとうとう父上静かにぶちギレ。ならばと城にいても楽しくないし?番はほっとくと適当にの未来しかない。そんな時に勝手に見合いをぶち込まれ、逃げた。が、間抜けな俺は騎獣から落ちたようで自分から城に帰還状態。
ならば兄弟は優秀、俺次男!未開の地と化した領地を復活させてみようじゃないか!やる気になったはいいが………
ゆるゆる〜の未来の大陸南の猫族の小国のお話です。全く別の話でエリオスが領地開発に奮闘します。世界も先に進み状況の変化も。番も探しつつ……
世界はドナシアン王国建国より百年以上過ぎ、大陸はイアサント王国がまったりと支配する世界になっている。どの国もこの大陸の気質に合った獣人らしい生き方が出来る優しい世界で北から南の行き来も楽に出来る。農民すら才覚さえあれば商人にもなれるのだ。
気候は温暖で最南以外は砂漠もなく、過ごしやすく農家には適している。そして、この百年で獣人でも魅力を持つようになる。エリオス世代は魔力があるのが当たり前に過ごしている。
そんな世界に住むエリオスはどうやって領地を自分好みに開拓出来るのか。
※この物語だけで楽しめるようになっています。よろしくお願いします。
異世界で大切なモノを見つけました【完結】
Toys
BL
突然異世界へ召喚されてしまった少年ソウ
お世話係として来たのは同じ身長くらいの中性的な少年だった
だがこの少年少しどころか物凄く規格外の人物で!?
召喚されてしまった俺、望月爽は耳に尻尾のある奴らに監禁されてしまった!
なんでも、もうすぐ復活する魔王的な奴を退治して欲しいらしい。
しかしだ…一緒に退治するメンバーの力量じゃ退治できる見込みがないらしい。
………逃げよう。
そうしよう。死にたくねぇもん。
爽が召喚された事によって運命の歯車が動き出す
嫌われ者の僕はひっそりと暮らしたい
りまり
BL
僕のいる世界は男性でも妊娠することのできる世界で、僕の婚約者は公爵家の嫡男です。
この世界は魔法の使えるファンタジーのようなところでもちろん魔物もいれば妖精や精霊もいるんだ。
僕の婚約者はそれはそれは見目麗しい青年、それだけじゃなくすごく頭も良いし剣術に魔法になんでもそつなくこなせる凄い人でだからと言って平民を見下すことなくわからないところは教えてあげられる優しさを持っている。
本当に僕にはもったいない人なんだ。
どんなに努力しても成果が伴わない僕に呆れてしまったのか、最近は平民の中でも特に優秀な人と一緒にいる所を見るようになって、周りからもお似合いの夫婦だと言われるようになっていった。その一方で僕の評価はかなり厳しく彼が可哀そうだと言う声が聞こえてくるようにもなった。
彼から言われたわけでもないが、あの二人を見ていれば恋愛関係にあるのぐらいわかる。彼に迷惑をかけたくないので、卒業したら結婚する予定だったけど両親に今の状況を話て婚約を白紙にしてもらえるように頼んだ。
答えは聞かなくてもわかる婚約が解消され、僕は学校を卒業したら辺境伯にいる叔父の元に旅立つことになっている。
後少しだけあなたを……あなたの姿を目に焼き付けて辺境伯領に行きたい。
獣人の子育ては経験がありません
三国華子
BL
36歳シングルファーザー
転生したら、見た目は地味になったけど、可愛い子供ができました。
異世界で、二度目の子育て頑張ります!!!
ムーンライトノベルズ様にて先行配信しております。
R18要素を含むタイトルに「※」をつけます。
感想はネタバレも公開することにしました。ご覧になる場合はご注意下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる