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プロローグ

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 俺が目覚めた時見えた母様の涙と笑顔、父様の喜んだ声を聴いて、生まれて来てよかった、そう思ったんだ。



「リュリュたん、じーじとばーばのとこへおいで~」
 
 自分の事情は何となく察していた。
 この世界は男が子供を産めて、同性でも異性でも結婚が出来るって言う事と、魔法があると言う不思議な世界。

「う、あ」

 どんなに喋りたくても、赤ん坊の筋力では口もまともに動かせない。
 それにいきなり喋ってバケモノ扱いとかは勘弁して欲しいし。
 
「シアンが本当に可愛い子を産んでくれて、それにあちらの御母様も美しいから将来はきっとモテてモテて困っちゃうわねぇ」

「リュリュの成長が楽しみじゃの」

 多分、この二人は凄く偉い人なんだと思う。
 一応、笑っとくか。

「うひゃ」

 うわ、何だよこの笑い声。

「んふふ~、可愛い声ねぇ」

 そんな声を掛けられてると、母様と目が合った。

 ん? なんだろ? 何か言いたげなんだよなぁ。
 ま、俺にとっちゃ良い世界だわ。
 元々ゲイだし、隠れる必要もないし、堂々と恋が出来るし。
 少し心残りなのは、一番好きだったあいつを残して死んでしまった事だ。
 多分、あのストーカー野郎に刺されて死んだんだろうって事しか分からないけど、俺は身から出た錆だと今は諦めてるし、あいつがいないこの世界でなら初恋をやり直せる気がした。







 二人の結婚式が盛大に開かれ、所々で変な輩に遭遇してたけどやっと休憩室に着いてミルクが貰えるってなったら、突然母様から話をしようかって言われた。
 ヤバい、これバレた?
 俺が前世を覚えてる変な赤ん坊だって。

「転生者でしょ」

 母様から驚くようなキーワードが飛び出して来た。
 
「僕も転生者だから」

 は? え? 

 ここからは質問をされて二十代の転生者だって事がバレたわけだ。
 しかもゲイかもなんて言われて、俺も!って感じで見てしまったし、ゲイにとっては良い世界だって話してくれた。

 そこで父様が哺乳瓶を持って来たから、話は終わったんだけど。

 俺が一歳になるまで、色んな事があった。
 母様を傷つける奴とか、俺が父様の子供じゃなかったとか。
 それでも父様は自分の子だって言い続けてくれて、俺もそれが当たり前になっていった。
 だって、こんなに疑いようのない愛情を貰って、不貞腐れるよな曲がった人間じゃなかったからね。
 父様のすぐ上の兄貴がちょっと、発言とかがくそヤローだったけど、キンクマハムスターにしたら大分更生したから最近はちょっと許してやろうかって気にもなってるんだ。
 
 だって俺たちと一緒にいたいから、このまま飼ってくれってアホな事言い出すし。
 そこは笑って受け入れてやろうじゃないの、って思ったんだ。

 母様と前世の話をじっくりした時も、俺を刺殺したストーカー野郎が同じように転生してたら潰すってすごい勢いで怒ってくれてるし、この世界で俺は幸せになるって決まったようなものだって確信したんだ。

 だから、これから出会う俺の恋人の話をしていきたい。

 

 
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