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天界よいとこ一度はおいで
ノエと言うダンサー
しおりを挟む爆音が流れ、ショーが始まる。
体格的に小さい俺はマスコット的な位置で、劣情を煽る体格のいい彼らに、注目を集めて欲しくて付き纏う役どころだ。
追っかけ的な位置。
素っ気なくされたり、追い払われたりして最後は同じダンサーになると言う短い物語仕立てのダンスショーだ。
ズルはしない主義なので、凄く練習した。
天使の体と言う身体的なポテンシャルのおかげで、小さいながらもダンスショーでは一角の者にはなれた。
ただ、体格や身長はどうにもならなくて、ペラッペラ。
まあ、役がつくだけでも有り難いな。
あとは、夜働いていると俺が本来するべきだった天使の職務も遂行する事ができた。
人と出会う確率は高かったから。
そして、その魂を連れて行く天使と悪魔を見る事が多かった。
店が終わり、帰ろうとしていた所に同僚でもある一番人気のダンサーの御嶽ガレオスが、飲みに行こうと声をかけて来た。
周りには、御嶽と仲の良いグループの二人がいて、正直面倒なのと魂の記録を取り続けているから、あまり人と関わりたく無かった。
実際にはどこに出すわけじゃない記録。
もしかしたら堕天と思われているのかもしれないけど、何故か追ってもなかった。
天使や悪魔が見えるのは当然だけど、俺は天使としては認識されず、人としても眼中には入ってないんだと思う。
「ノエ!
行こうよ、俺、ノエが酔うとどうなるか知りたい!」
御嶽が大型犬の様な人懐こい笑顔で、ガッチリ首をホールドされて連れて行こうとした。
「行きません。
帰って寝ますから。」
「ノエ、仲間になって一週間だけど息もピッタリじゃない?
なのに、少しも打ち解けてくれない。」
「俺は、喋るのは得意じゃないだけだ。
御嶽サンみたいには出来ない。
だから」
「ノエ、可愛い!
御嶽さんじゃなくて、ガレオスって呼んでよ。
仲間はみんなそう呼ぶ。」
ここで仲間じゃないから、とは言えない。
言ったらここでの生活は終わるから。
「分かった
ガレオス、飲みには行かない」
「いいや、行くのさ」
にやりと笑った大型犬に腕を掴まれて、彼らがいつも行くクラブに連れて行かれてしまった。
騒がしい大音量の中で、カウンターでお金を払い、飲み物を受け取る。
「ノエ!
ビール飲むんだ?」
「飲みますよ、それくらい」
「ガレオス、乾杯しようぜ!!」
グループのみんなが片手に瓶やらグラスやら色々持って声を上げた。
「新しい仲間、ノエに!!」
掛け声と共に高く掲げた。
慣れないノリに、照れながら同じく控えめに掲げてみた。
「ノエ、可愛い!
なんで乾杯するだけで真っ赤になってんだよ!」
仲間の一人、飴屋琢砥が頭をガシガシとやられた。
「こんな可愛い子があんなダンスショーに出るとか最初思わんかったわ~」
市来大語が関西なまりで追い討ちをかける様に背中をバンバンと叩く。
「ゲホッ
叩かないでください」
「ノエって、日本語うまいよなー
俺は外人面だけど英語喋れないし
残念ってよく言われてんだよねー」
ガレオスの面と、体格の方が羨ましいと言うと、三人が顔を見合わせてからノエは可愛いから良いんだと言った。
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