33 / 116
天界よいとこ一度はおいで
嫌い
しおりを挟む「和郎さん、ごめんなさい。
まだ、恋愛は分からない。
流されるような付き合いは、貴方に失礼だから。」
「そっか、そうだよな。
イズが、素直で誠実なのが嬉しい
いつまでも、俺がいるから
困ったことがあったら、頼ってくれよ?
そんで、そのまま俺を好きになってくれたらいいな」
暖かい人だった。
その日の作業を終えて、執務室に戻ろうとした時、青ヒゲクソハルカがウリエルに腕を絡めて、廊下の向こうから来た。
「お疲れ様です。」
頭を下げて廊下の端に避けた。
「うわ、汚い
この辺りは奉仕の人は入れないはずだけど?」
「…仕事ですから」
ウリエルはなんでこんな奴をそばにおくんだろう?
「そうなんだ、ふーん
あ、ウリエル様
明日の事なんですけど、お部屋で話せますか?」
甘ったるく鼻にかかった声を出して、ウリエルの腕に更に絡み付いた。
「わかった、執務室にいなさい
この子と話がある」
「分かりました、待ってますね」
青ヒゲが行ったのを確認してから、ウリエルが俺に向き合った。
「イズラエル、その髪はどうしたんだ!?」
「自分で切りました。
その方が人に見えると思ったので。」
「そう、か
何か危険な事はないか?
変な事をされてないか?」
「大丈夫です。
和郎さんが、守ってくれていますから
問題ありませんでした。
彼は、良い人でした。」
和郎さんの笑顔を思い出すと、胸が暖かくなった。
愛情を貰うって、あんなに嬉しいものなんだ。
「守るだと?」
「ええ」
「イズラエル、どうして
そいつが好きなのか?!」
「いえ、ただ」
「なんだ?」
「嬉しかったのです」
「君は、好きだと言ってくれる者ならば
誰でもいいのだな」
「はあ?
違い」
「体を、その唇を許したのか?!」
ウリエルが俺の言葉を遮って、酷いことを言葉を投げつけた。
「貴方、だって
あんな奴を侍らせてるじゃないですか!
それなら、あいつとさっきみたいにイチャイチャしてればいいんだ!
なんで、俺に辛く当たるんですか?
昼間のキスも嫌がらせするなら、今までみたいに、酷い罰を与えたらいいじゃ無いですか!
話も聞かずに、俺にしてきた事を
またすればいい!!」
涙がボロボロと滝の様に流れて止まらなかった。
心も体もあれだけ痛めつけられてきたんだ、今更何を罰としようが、どれもこれも大した差はない。
「違う!
ハルカは」
「あんたなんか、大っ嫌いだ!!!」
俺は部屋の方向から回れ右をする様に、反対側へ駆けた。
行くとこも帰るとこもないけど、この場から逃げたくて、走るしかなかった。
翼があれば、飛べたんだろうけど。
どこへ繋がってるか分からない扉をすり抜けて、建物を後にした。
1
お気に入りに追加
123
あなたにおすすめの小説
システムエンジニアがとんでもない開発をはじめました。
大田ネクロマンサー
BL
※R18
システム会社のスタープレイヤーであり、上司である長谷に思いを寄せる周防。
周防の下心で長谷のとんでもない性癖を知ってしまい……。
システムエンジニアの開発範囲は広い。
イラスト:晴海六
EDEN ―孕ませ―
豆たん
BL
目覚めた所は、地獄(エデン)だった―――。
平凡な大学生だった主人公が、拉致監禁され、不特定多数の男にひたすら孕ませられるお話です。
【ご注意】
※この物語の世界には、「男子」と呼ばれる妊娠可能な少数の男性が存在しますが、オメガバースのような発情期・フェロモンなどはありません。女性の妊娠・出産とは全く異なるサイクル・仕組みになっており、作者の都合のいいように作られた独自の世界観による、倫理観ゼロのフィクションです。その点ご了承の上お読み下さい。
※近親・出産シーンあり。女性蔑視のような発言が出る箇所があります。気になる方はお読みにならないことをお勧め致します。
※前半はほとんどがエロシーンです。
こっそりバウムクーヘンエンド小説を投稿したら相手に見つかって押し倒されてた件
神崎 ルナ
BL
バウムクーヘンエンド――片想いの相手の結婚式に招待されて引き出物のバウムクーヘンを手に失恋に浸るという、所謂アンハッピーエンド。
僕の幼なじみは天然が入ったぽんやりしたタイプでずっと目が離せなかった。
だけどその笑顔を見ていると自然と僕も口角が上がり。
子供の頃に勢いに任せて『光くん、好きっ!!』と言ってしまったのは黒歴史だが、そのすぐ後に白詰草の指輪を持って来て『うん、およめさんになってね』と来たのは反則だろう。
ぽやぽやした光のことだから、きっとよく意味が分かってなかったに違いない。
指輪も、僕の左手の中指に収めていたし。
あれから10年近く。
ずっと仲が良い幼なじみの範疇に留まる僕たちの関係は決して崩してはならない。
だけど想いを隠すのは苦しくて――。
こっそりとある小説サイトに想いを吐露してそれで何とか未練を断ち切ろうと思った。
なのにどうして――。
『ねぇ、この小説って海斗が書いたんだよね?』
えっ!?どうしてバレたっ!?というより何故この僕が押し倒されてるんだっ!?(※注 サブ垢にて公開済みの『バウムクーヘンエンド』をご覧になるとより一層楽しめるかもしれません)
勇者の股間触ったらエライことになった
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
勇者さんが町にやってきた。
町の人は道の両脇で壁を作って、通り過ぎる勇者さんに手を振っていた。
オレは何となく勇者さんの股間を触ってみたんだけど、なんかヤバイことになっちゃったみたい。
少年ペット契約
眠りん
BL
※少年売買契約のスピンオフ作品です。
↑上記作品を知らなくても読めます。
小山内文和は貧乏な家庭に育ち、教育上よろしくない環境にいながらも、幸せな生活を送っていた。
趣味は布団でゴロゴロする事。
ある日学校から帰ってくると、部屋はもぬけの殻、両親はいなくなっており、借金取りにやってきたヤクザの組員に人身売買で売られる事になってしまった。
文和を購入したのは堂島雪夜。四十二歳の優しい雰囲気のおじさんだ。
文和は雪夜の養子となり、学校に通ったり、本当の子供のように愛された。
文和同様人身売買で買われて、堂島の元で育ったアラサー家政婦の金井栞も、サバサバした性格だが、文和に親切だ。
三年程を堂島の家で、呑気に雪夜や栞とゴロゴロした生活を送っていたのだが、ある日雪夜が人身売買の罪で逮捕されてしまった。
文和はゴロゴロ生活を守る為、雪夜が出所するまでの間、ペットにしてくれる人を探す事にした。
※前作と違い、エロは最初の頃少しだけで、あとはほぼないです。
※前作がシリアスで暗かったので、今回は明るめでやってます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる