神獣ってモテますか？(モテないゲイは、魔法使いを目指す！@異世界版）

異世界家族

10

俊樹の状態は分かった。

この邪神の世界でどうしたら良いんだろうか。

「ラエヴ様、俺をそちらの世界へ
　俊樹の所へ行かせて貰えませんか？」

「アキ！
　ダメだ！」

邪神ラエヴは薄っすらと笑った。

「残念だけど、あの人間のせいで
　弟から勝手に入れちゃいけないって怒られてるんだわ。
　だから、弟にそこは頼んでみて？」

目は笑っていない。

「では、弟神と話をさせて貰えませんか？」

「アキ！
　ダメだと言っている！
　シムラクルム！
　お前もなんとか言え！」

タロー様、ごめんなさい、これは俺の人としての名残だから、俺が決着をつけないとダメなんだ。
貴方がトリスタンを消した様に、俺は俊樹を消さないといけないんだ。

「そうだねー、気難しい子だけど
　善神だから悪い子じゃないんだよ。
　頭は固いかなー
　まあ、頑張ってみなよ」

そう言うと、この場にアイドルみたいなヒラヒラのミニスカートを着た、パステルカラーとしか言い様の無い、可愛い子が現れた。

いやいや、何この子？

俺よりデカいけど、可愛い！
えっと、弟言ったよね？

言ったよね？！！

「あ、初めまして
　神獣神のアキです。」

これはえーっと、おとこの娘ってやつ？

「可愛いですね」

しまった！
可愛いって言って良かったワードか？

「アキ様ですね！！
　お会いしたかったのです！」

俺の手を両手で握り込み、ブンブン振る。
力強いっす。

「ボクはアウィス！
　綺麗ですねー！！」

ガクガクと視線が揺れる。

「失礼、私はアキの伴侶で闇の神、オプスクリタスと申す。
　よろしく頼む。」

タロー様が挨拶すると、普通に挨拶を返していた。

「ボクはこの世界の善神アウィスと申します。
　オプスクリタス様、よろしくお願いしますね。」

多分、こんな格好するより、ラエヴみたいなスーツを着た方がカッコいいんじゃないだろうか？

「さて、アウィス
　アキがこの前シムラクルムより送られた人間の事でみえられて、あやつをどうにかしたいそうだ。」

途端に表情が曇った。

「兄上様、ボク、許してませんよ？」

「あ、あぁ、だからこうして
　アキに直接言ってって話したよ？」

「アキ様からのお願いなら、まあ、そうですね。
　シムラクルムなら、即行あの人間が行きたい場所に送っちゃいますけどね」

神様、あんた一体何したの？

「アキが行くなら、私も一緒だ」

タロー様がそう言ってくれたけど、神籍にいる者が二人も行くのはまずいんじゃないだろうか？

「オプスクリタス様は無理です。
　アキ様だけなら、ボクらの世界で動く事を許します。
　そちらの世界での力もそのまま使って構いません。
　ですが、アキ様だけです。」

「アウィス、随分気前がいいな。」

「兄上様
　憧れのアキ様ですからね！
　ケモミミのモフモフは正義です！」

対照的なこの兄弟神に、神様はなにしちゃったんだよ、ほんと。