神獣ってモテますか？(モテないゲイは、魔法使いを目指す！@異世界版）

異世界は続くよどこまでも

14

周りは騒然とした。
当然だ。
いきなり焔を纏った獅子が、人を焼いたんだ。

ただ、中から出て来た別人を見て人間側の王侯貴族は顔色を変えた。

そして、チカちゃんはグラウスだけじゃなく、弟もトリスタンも包み燃やした。

浄化は何もなければ、幻惑の様に熱さも燃える事もない。
何もなければ、だ。

神様が放った言葉通り、彼らもまた外皮を燃やし尽くされた。

中身は人間。

何故？

「オプスクリタス、あれはお前が拾った自称弟か？
　ガキの方も、笑えるな。
　お前がいない間に、入れ替わったのか、最初からか？
　まあ、見抜けない様に魔法はかけてある様だな。」

「まさか、俺が知ってるトリスタンは最初から？」

タロー様はニヤニヤと笑う。

「昨日だな。
　私が、アキを伴侶とした事を流布してからだろう。
　あの退室以降見てないからな。
　アキが私の上で、一生懸命腰を降ってる時に、結界が歪んだ気配がした。」

「な！何言って！」

「おー、白いから赤さも目立つなぁ。
　アキも赤ちゃんから大人へ一足飛びだな。」

「アレが、アキを狙う人間のコマか。
　服従魔法なら分かるが、皮を取れるとは、かなりの腕なのだろう。」

井戸端会議みたいな事してないで、なんか対処しようよ！
トリスタンも、弟も、殺されたと言うことをさ！

「トリスタンは、死んだの？」

タロー様の表情を見ると、冷酷な笑いを浮かべていた。
仮にも、弟、甥として育てた人達なのに。

「タロー、さま、？」

「あ、ん、トリスタンな、皮一枚取られた所で死ぬことはないな。
　問題なのは、どうやって取ったか、だ。
　本人達が皮を脱いで逃げたなら私のところへくるだろうが、未だに来ないしな。
　囚われているか、向こう側に付いたか。
　後者な気はするが。」

「やはり、神獣の血肉、か」

神様が不穏な事を言う。

「それしかあるまい。
　闇の神である私の所へ来ても死が待っているだけだ。
　アキを手に入れられない今、血肉を得ることしかないだろう？
　人間供は強欲に、神に取って代わろうとする気になるのだ。
　神獣を嫁にと考えるくらいだから、神の力を欲していたのだろうがな。
　ついに、神殺しを考えたか」

「ふうん、お前の弟とか甥は利害が一致したか。
　片や神獣が欲しい人間、片やアキが邪魔な魔族。
　簡単な図式だな。
　しかし、魔族は下半身でしか物事を考えないのかねー？
　アキ、真名を解除して、私の所においで。
　守ってあげる。」

「シムラクルム、いい加減にしろ
　こんな事で兄弟喧嘩はしたくない。
　アキは私のだ。」

神様、シムラクルムって言うんだ。
神様で全てが足りてたからなあ。
タロー様と兄弟か。
光と闇で二分してるんだから、まあ、そうか。