98 / 105
96
しおりを挟む俺たちが着いた時には検査とかで、一志さんは既にいなくて、侑士が処置室で、傷を縫われていた。
侑士!腕と手だけど、神経とかは?
俺みたいになったらどうしよう。
「侑士!侑士!」
櫂砥から抱き上げられてたけど、おろしてもらって、上着を羽織っただけの姿で、侑士のとこまで駆け出そうとしたら、思うように動かなかった。
痛い、?
「さとる!
良かった、傷もなくて。
痛い所とかは無い?」
そう言われて足を見たら、右足の甲が腫れ上がってる!
急に痛さを感じて、ヘナヘナと崩れ落ちそうになる所を、櫂砥に支えられた。
「さとる、その足は?!」
櫂砥に抱き上げられながら、そういや俺靴も無いじゃん!
じゃなくて、腫れてる感じ!
「あれ?
何でだろう?」
「ぶふっ!
さとるの綺麗な蹴りが炸裂したからでしょ?」
侑士が笑いを堪えながら、櫂砥にも教えた。
「ウチの嫁、怒らせたら怖いよな。
あんな高さの蹴りが入るんだもん。」
「えぇ?
さとるが蹴りを入れたの?」
実はあんまり記憶にない。
一志さんが刺されて、倒れ込んだのと振り上げたナイフがその体に更に突き立てようとしたとこまでしか、覚えていない。
蹴れたって言うと変だけど、無我夢中で蹴っちゃったみたいだ。
「あんまり、覚えてない
無我夢中で、どんなか分かんない」
櫂砥は凄く嬉しそうに、抱きしめてくれて俺の頭をクシャクシャにした。
「凄い!凄いよー!
さとる、頑張ってくれたんだね!」
何が、と言うか曖昧すぎてよく分からん。
「さとるは、自分で一番嫌な事を家族のために克服したんだね。
優しいさとるには、辛い事だったと思うよ。」
「櫂砥、ただ助けなきゃって気持ちだけだから、自分にだったら動けないよ」
照れ笑いしながら、2人を見た。
「さとるの蹴りは、凄かったよー!
あいつの顎まで綺麗に上がって、本当に綺麗に回ってたよ。」
「へぇー、見せてもらいたいね。」
櫂砥も侑士も、一志さんが手術なのに!
「一志さんが心配なんだけど。」
解決したんだよね?
一志さんの手術が、成功した事を教えられた。
2
お気に入りに追加
415
あなたにおすすめの小説
ブレスレットが運んできたもの
mahiro
BL
第一王子が15歳を迎える日、お祝いとは別に未来の妃を探すことを目的としたパーティーが開催することが発表された。
そのパーティーには身分関係なく未婚である女性や歳の近い女性全員に招待状が配られたのだという。
血の繋がりはないが訳あって一緒に住むことになった妹ーーーミシェルも例外ではなく招待されていた。
これまた俺ーーーアレットとは血の繋がりのない兄ーーーベルナールは妹大好きなだけあって大いに喜んでいたのだと思う。
俺はといえば会場のウェイターが足りないため人材募集が貼り出されていたので応募してみたらたまたま通った。
そして迎えた当日、グラスを片付けるため会場から出た所、廊下のすみに光輝く何かを発見し………?
転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!
音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに!
え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!!
調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。
誰よりも愛してるあなたのために
R(アール)
BL
公爵家の3男であるフィルは体にある痣のせいで生まれたときから家族に疎まれていた…。
ある日突然そんなフィルに騎士副団長ギルとの結婚話が舞い込む。
前に一度だけ会ったことがあり、彼だけが自分に優しくしてくれた。そのためフィルは嬉しく思っていた。
だが、彼との結婚生活初日に言われてしまったのだ。
「君と結婚したのは断れなかったからだ。好きにしていろ。俺には構うな」
それでも彼から愛される日を夢見ていたが、最後には殺害されてしまう。しかし、起きたら時間が巻き戻っていた!
すれ違いBLです。
初めて話を書くので、至らない点もあるとは思いますがよろしくお願いします。
(誤字脱字や話にズレがあってもまあ初心者だからなと温かい目で見ていただけると助かります)
好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる