モテないゲイは、魔法使いを目指す!

ビーバー父さん

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「その、さとるくん、あそこの人、
 俺見たことあるんだ。
 多分、探偵とかかも。」

「は?え?
 たんてい?」

ひらがな発音しちゃったよ。

「いやいや、なんで?
 探偵ってそんなすぐにわからないでしょ?」

「リストランテに男連れで来て、領収書切ったから覚えてるんだわ」

「ひとみさん、それいつ頃?」

なんだか、点と線が繋がりそう?だといいな。

「このお店が、出来る前だっよ。
 ねぇ、晴翔、あれって、まだこのビル出来てなかったんじゃない?」

「う~ん、あたしあんまり記憶ないのよね。」

「ここが外壁とか設備やってる頃じゃないかな?」

白兎さんが、詳しく言い始めた。


「?????
 えーと、でいつ頃?」

「1年前くらい。
 内装始まる頃に、さとる君たちにこっちで会ったから。」

なんか詳しく言われても分からん!
てか、そっち系の人?

「白兎、施工管理やってたんだよね。
 転職で、うちんとこに来たんだよ。」

へぇ、良く分からん。

1年前くらいって、まだ、こっちに来てない。
てか、27歳で魔法使いになるのならないのって頃で、東京にいた。

じゃぁ、関係ないか。
変な電話もストーカーも、こっちに帰って来てからだし。

「う~ん、じゃぁ関係ないかな?
 俺その頃、東京で派遣やってて、魔法使い目指してたし。」

「え?派遣て、バーじゃないの?」 

食いつくなー、はるとさん。

「会社勤めしてた頃、自己評価高すぎたガキだったんです。
 で、気づかないうちに鼻っ柱を折られてたもんだから、メンタル弱い俺は会社辞めて逃げ出したんですよ。」

「でも、今は逃げてないよね。
 ちゃんと強くなってるし、綺麗になったよ。」

ひとみさん、真顔で言わないで、恥ずかしいから!

「領収書名、あとで教えてくださいね」

アフィニティさんの事は、仕舞いの時に話そう、気にはなるけど違うかもしれないし。





仕舞いの作業は、殆ど手伝う事が出来ないから、テーブル拭いたりしたら、後は座ってみんなの動きを見てるだけだった。

握力が出ない。

指がうまく動かない。

リハビリでどのくらい戻るのか。

時々、ものすごい不安に苛まれるけど、始まったばかりのお店をまた、閉めるなんてしたくないから。





カウンターで、今日の事を3人に話す。


「アフィニティさんの言動が気になるんだけど、よく分からないんだ。」

ひとみさん情報で、探偵かもしれないって話と、妙に俺の体とか気にしてるとことか。

まあ、普通に大丈夫?なくらいは当たり前に聞かれるけど、心配の仕方が家族とか関係者みたいなんだよね。

「ひとみさんのお店で領収書を切った時、探偵社のだったから、記憶にあったんだって。」

うちでも、領収書取る人いるから宛名を書く時に印象に残る事も結構ある。

「探偵なら、俺のほうに伝手があるな。
 聞いてみよう」

海江田さんならでは、だな。

「さとる、あまりオネェたちに近づくなよ。
 どんなストーカーかわからないからな。」

「なんか口説かれてたよね?さとる
 ん?
 ダメなルールだったよね?
 その場でお断りするんじゃなかったかな?」

「お?そんなルールなのか?」

侑士め!
こんな時ばっかり!

「そうなんだよ、口説かれたり連絡先とかなったら、その場で即断しないといけないんだよね?
 さとる?」

「そう、だよ、
 断る前に、アフィニティさんの話になって、なんか流れで」

「んー?」

侑士、近い、怖い!

「自己紹介しただけだから!」

3人が、やれやれ、といった感じで肩を竦めた。

「これが解決して、解禁されたらお仕置きだな。」

「さとるは、お仕置きしてほしいのかなー?」

「お仕置き、ね
 俺は初めてだし、優しくするよ」



これは、自業自得、なのか?





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