モテないゲイは、魔法使いを目指す！

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初めてのキスは、たばこの味と匂いがした。

本田家は意外にも誰も吸わない。

だから海江田さんも気を使って、外に吸いに行く。
身体に残るタバコとコロンの匂いに発情しそうだった。

これはダメなパターン。

「ありがとね、海江田さん。
　俺が頑張れることを頑張るから。
　何も、死ぬとか決まったわけじゃないからさ。
　今だって、死にかけたけど、生きてるもん」

ふふふって笑って見せた。

「あのなぁ、お前さんは強いんだか、弱いんだかわかんねーな」

「弱いですよ、
　怖くて、どんなに痛くても反撃すらできなかった。
　どんなに型を知っていても、俺は誰かに拳を当てることすらためらう。
　でも、家族や大事な人が危険なのにためらったらいけないんだ。
　それこそ、大事なものを失う前に。」

俺は腰のあたりに手を回し、海江田さんは肩から背中に腕を回して笑い合った。

「なので、俺が行動することを今夜話し合います。
　海江田さんは全面的に協力してくださいね。」

「う～ん、なら、終わった暁には、ちゃんと抱かせてくれないか？」

「いいよ、みんなで抱き合おうよ」









櫂砥には遅くなるか聞いて、帰ってきた段階で、昼間の話をした。


海江田さん以外の3人は猛烈に反対した。

そりゃそうだよな。
囮やるから、ちゃんと捕まえてね、って言ってるんだし。
この前は死にかけたし。
前のストーカーは俺を恋人扱いしてたしな。

今回のストーカーはどうなんだろう？
幸せにするってことは、やっぱり、俺なんだよな？

俺の特殊な読み方を知ってるってことは身近なの？とか思ったけど、調べりゃそんなの簡単だし。

「そうでなくても、検察庁に行ったりするし、結構、釣れると思うんだけど」

まぁ、スマホの番号変えて様子は見てるけど、解決できるとも思えない。

だって、会社辞めた時に全部変えたもん。

その後のスマホを知ってるってことは、そう言う事だろ？

「だって、海江田さんが守ってくれるんだから、大丈夫だよ！
　ね、海江田さん！」

「あぁ！任せておけ！
　トイレの前で、ずっと、いるよって言ってやる」

ニヤッと笑て親指を立てた。

あー、三枚のお札状態をどうにかしなきゃ。

でもなー、公衆トイレなんて絶対扉の前にいてくれなきゃダメだし。
これ、絶対お笑い状態だよ。

反対はされたけど、危険なことはしない、一人にならない、誰かと必ず一緒にいる、これを約束させられて、GPSを持たされることになった。
持っていても不自然じゃないもの、スマホと、何があっても取り上げられないように、ピアスを付けることになった。

まるでスパイ映画みたい。

腕時計に何か仕掛けがあるとか、眼鏡で画像を映すとかそんなのあったらもう、漫画の世界だけど。

そして、案の定、みんなしておそろいのピアスを開けることになってるし。