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お風呂で櫂砥と話した。
不安な事はお互いちゃんと話す。
愛し合いたくなったら、いつでも。

櫂砥は意外と寂しがり屋なのかも。
俺より甘えたなところがあって、可愛い。

甘ったれな俺とは違う甘えた。

櫂砥は今までたくさん経験してきたのに、俺とは何も役に立たないって。
俺は最初から何も分からないままだったから、きっと、こう言う不安はわからない。
でもね、櫂砥を絶対独りにしないって思うくらい、愛してるよ。

「櫂砥を独りにしない、から、ね」

安楽座椅子は、俺限定でダメにする人間椅子だった。







お風呂で寝ちゃったらしい。

朝目が覚めたら、マッパで櫂砥の腕の中にいた。
反対側には海江田さん。
うん、1番の安全牌だ。
 
両サイドに一志さんと侑士

まあ、だいぶ離れて一人寝状態だけど。
ちゃんとお父さんの言うこと聞いちゃうくらい、櫂砥は怖いお父さんなのかな?

去勢、本当にやりそうだもんね。
なんか想像したら、キュッて痛い感じがしたよ。

「櫂砥、おはよ」

珍しく俺が目を開けても、櫂砥は眠ったままだった。
それだけ、病院では気を張ってたんだ。

「う、ん、さとる
 体は大丈夫?
 無茶をさせた。」

「うん、平気。」

俺の好きなおでこを合わせて、甘々なキスをする。
気持ち良くなっちゃうけど、それじゃあダメだから。




やっと、5人の生活に慣れ始めた。
櫂砥はやっぱり、忙しいみたいで遅い時間に帰宅するようになっていた。
海江田さんは、俺にくっついておくのが仕事だけど、一志さんと侑士はなにやら、やっている。
侑士は本社に時々出社しているし、一志さんはお店の準備を色々やっていた。

俺も、お店の内装とか色々みたいし、やりたいからエレベーターに乗るのを克服しないと。
みんなに隠れてこっそり、練習しようとしてた。

エレベーターの『開』のボタンを押し続けては、入れずに閉まる。

大丈夫、ここには怖い人は誰もいない。
呼べば来てくれる人ばっかりだから。

大丈夫、と何度も言い聞かせた。

一歩足を踏み入れると足元が暗くなるような、血の気の引く感覚に襲われた。
叫びそうになるのを必死に手で押さえて、我慢した。
早く、克服したかったから。

甘やかされたままじゃ、ダメなんだ。

まだ、解決していないストーカーの話は聞けていない。
何でだろう?

笙野の話と一緒にしても良かったんじゃないのかな?
まだ、話せない?
想像と推理で怖くなるだけだった。



でも、知らずにいたら、何にも自衛できない。
それは違う。
だから、ちゃんと聞こう。
お仕置きの一貫で去勢とかなってるのは、ストーカーを見つけられていないからじゃないかと思っている。
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